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長良川センチメンタル...【J2第3節FC岐阜vsファジアーノ岡山の感想】




じゃーん、と今回は長良川競技場まで行って参りました。感想の方も現地で見て思ったことを記していきます。映像で見た人と大分違う可能性があります。すべて「※飲酒した状態です」をつけてお読みになってくださいまし。どれくらい違うものでしょうか。我輩がモルモットだ。



試合記録


岐阜のグルメブースの中心に彼は鎮座しているんですが、高次存在に来場を感謝されるみたいになってるのがエスエフみたいで良い。23世紀のJリーグだ。


車内で検索とか映像リンクとか張りながら書くのはめんどくさすぎるのであとで帰ったら書きます(おうちのひとがしらべてね)


試合概要


飛騨牛串。買ったその場でがっつきたくなる本能に刺さる芳香。我慢して席まで運んだのに滴る脂で手がべしょべしょになって却って行儀悪くなってしまった。なんてふしだらな。いけないぞそんなことでは。そして口の中に広がる炭火と粗粒の塩胡椒の計算され尽くしたバランス。魔性だ。魔性が串の形をとったものだこれは。



①ビルドアップ捕まえた合戦

この試合は岐阜も岡山もいい「準備」を見せた試合でした。岐阜は岡山のビルドアップ...上田のサイドチェンジで加速する...をさせない、岡山も岐阜にショートカウンターを発動させないようにシンプルに蹴ってヨンジェとレオミネイロでサイドを取りに行く、という締まった形で進行していきました。

岡山の守備もまた、岐阜と同じようにボールサイドの選手を捕まえていったことで岐阜は思ったようにボールを持てず、空中戦の強くない前線に蹴らざるを得なかったことで試合はやや岡山のペースと言える状態となりました。岐阜としては中島や北谷の欠場が痛かったところでしょうか。結構早めに前線に当てに行ってたので予定してたかもしんない。


②3センターを攻略する岡山

ヨンジェとレオミネイロでゴーという形と前から全員捕まえる守備で岐阜を空中戦に誘導することで、時間を得ることのできた岡山は攻撃に余裕が出てきました。やはりサイドに開かせたヨンジェレオミネイロを狙いますが、入れ違いに久保田と仲間を中に絞らせることで岐阜の守備を困らせることができました。この辺の入れ替わりのタイミングがよくなってましたし、そこへSBからすっとパスが通るようになったのも積み上げを感じました。

とはいえ、岐阜の方も空中戦の競り敗けからカウンター気味に攻められる場合を除けば前線からの守備は健在で、SB誘導から同サイドに追い込まれると厳しいものがありました。上田に繋がれば3センターの圧縮を抜け決定機、繋がらなければ捕まってピンチという極端なゲームになってしまいました...結果そのゲームに負けてしまったという形ではあります...

圧縮の抜けかたはボランチと同じ高さのSBからサイドに開くレオミネイロとレーンを内側にずらす仲間、その横に上田という四角形が基本。上田に繋がればその横に武田、前に久保田、大外に廣木という感じ。ただこれはあまりフィニッシュにつながりませんでした。

この関係を後半右サイドに移してレオミネイロが大外、久保田がトップの位置から流れてきてハーフスペースをとってその手前に上田、逆サイドのインサイドハーフの脇に仲間を配するという形に変えるとうまくはまりました。昨季得点力を見せた仲間がシュートを打つということから逆算している崩し見せたのはとてもポジティブ。



③堅守と速攻を貫いた岐阜

この得点で勢いにのった岡山はSBも敵陣に突っ込む形をとって逆転を狙います。レオミネイロがサイドをとって、内側に廣木が追加されます。久保田は逆サイドで起点になってました。さらに攻撃の形に幅をみせていたのはちょっと驚きました。ただ、この形が結果になるには、サイドをとったぞ、という瞬間のトラップのミスやパスの遅さが勿体なかった...。

岐阜が堪え忍んでいるとご褒美のような勝ち越し点となりましたが、山岸とデフリースの前線プレスと二人で攻めきる能力は素晴らしかった。3センターと2トップの激しい守備で空いてしまう場所、つまり岡山の狙いたい場所を大抵塞いでた風間も嫌でしたね。風間、ええ選手です。うしろの坊やが猛烈に推す気持ちもわかった。風間が持ってったときなんであんな雰囲気でるんやろうな。技術に裏打ちされた確信...チームメイトの信頼...そういったもの...

勝ち越されてしまった岡山は斎藤、赤嶺を投入してパワーで打開を図るものの、自陣の守備に徹した岐阜は今までのようにサイドのスペースを明け渡してくれず。上田から叩こうにも岐阜は相次ぐ交代カードでここをガッチリと塞ぎにかかると、岡山は前線にいい形でボールをいれることができないまま時間が過ぎてしまいました。ここは武田くんからの展開に宿題があると見せられた感じ。岐阜の全員守備はまあすばらしかった。いいものを見ました。




お気持ち


岐阜グランドホテルのビーフカレー。料理漫画で口のなかで旨味が爆発するみたいなeffectあるじゃないですか。100%嘘だと思ってたんですけど、アレって本当にあるんですね。ばくはつしました。とかくスパイシーと野菜の甘味とビーフや脂のうまみが渾然一体、重層的に襲ってきます。味の情報量に舌が追い付かずなんだこれは?!と思案しているうちに消滅してしまった。



少ない選択肢を研ぎ澄ませた岐阜

この試合に関しては岐阜の方はやりたいことの半分も出せなかったの出はないかと思います。それでも開幕2試合で見せたバックパスへの追い込みとショートカウンターは完璧にやりとげ、自陣の守備も3センターがはがされた脇をCBとSBがよく守りましたし、SB がやられれば中盤が戻るという形を徹底することができていました。齋藤さん入ったあと岡山の攻め方が変わったぞとSBの会津にすぐ指示を出してたコーチングスタッフかっこよかった。

また、この堅守には3センターのがんばりが大きかったわけですが、押し込まれた戦局では最も厳しい手となるボランチの加勢を、食い止めたり逆に自分達のカウンターチャンスにしていた風間宏矢の判断力には光るものがありました。王様や。前を向いたときは守備も攻撃も別人のようにうまかった山岸とデフリースの電撃ツートップもすごかったっすね。欠場者が相次いで内容もよくなかったのに勝利した、チームの充実に自信の持てる試合でしたでしょう。石の上にも三年。



選択肢を拡げつつある岡山

岡山の方は岐阜のボールの奪い方を見越した攻撃の仕方をできていたと思います。残念ながら岐阜の精度に屈することになってしまいましたが、前半のヨンジェとレオミネイロの強さを起点に得た時間とスペースを仲間と久保田が活用した崩しもよかったですし、後半の久保田とレオミネイロを入れ換えて久保田を遊軍とした崩しは効果が抜群でした。

岐阜の守備組織が一枚上手だったという結果ではありますが、きっちりと相手の特徴と自分達の特徴から逆算してゴールを奪う、ボールを奪う、という形をゴールやシュートチャンスという結果に結びつける数と質というものは開幕3試合のなかでも一番よかったのではないかと思います。自陣で引っ掛けられてしまったシーン以外のピンチは少なかったということもまた収穫と言えるでしょうし。まあ、生で見た贔屓目でしょうけど..w

あとは岐阜の3センターのところをこじ開けた瞬間の、流れたFWとSBの関係が主にSBのトラップの精度や向きが悪くてもたついてしまったりだとか、二次攻撃でボランチがもらいに行くときに、武田君が惜しいところだとか(時間がたつにつれ相手の奪いどころにされてしまいました)、そういった部分ですね。いずれももう一歩の部分で、時間が解決してくれそうなのでポジティブに捉えられる課題です。

懸念点は今日のようにボランチがパスコースから消されてしまった場合のDFラインの対処の仕方になるでしょうか。SBが主役になるのですが良くない意味で目立ってしまいした。バックパスへの追い込みが岐阜がとてもうまかったというのがあって戻すのも苦しいというシーンが続いてしまいました。ここまで追い込まれたらスローインに切り替えようとか、GKとCBで時間をつくってあげてから渡さないととか、SB本人の技術のみならず約束を詰めておく必要性を突きつけられた形。

これはどの試合でも起こるでしょうから、次戦以降の経過を待ちたいところ。失点したあとも攻勢を続けようという縦パスを見せた上田は流石でしたが、これをチーム単位ユニット単位で出来るようになると成績も変わってくるのでしょう。



現地で一番見応えがあった武田君の伸びしろ

さて、最後に現地で見て一番気になったトピックを。

前述のように、ゴールへ向かう形、前線にボールを届ける形と有馬監督の新体制の掲げる「攻撃性」が形となって現れてきています。その中で上田の相方になっている武田君が頼もしくなっていたり、もう一歩良くなればチームが大きく変わりそうだなという伸びしろを感じさせたり、個人的には一番目を引きました。

昨年猛烈な前線プレスと左脚を見せてた彼ですが、今季は攻撃の切り札となる前線の4枚とそのスイッチとなる司令塔の上田との間を繋ぐ選手になっています。周辺の状況を把握して、あるときは頭脳的な寄せ、あるときは泥臭いタックルと使い分けていたと思います。

ただ、押し込めた時の判断が味方が居れば横へのパス、味方が居ないからシュートという終始してしまい、岐阜の守備の思惑を超えることが出来ませんでした。加えて、岐阜のラインが下がってしまうとほぼうまいプレーはなくなってしまいました。勝ち越されて以降は上田を前に上げて自身は下がってビルドアップを担うことになりましたが、パスコースを作り出せずうまく行きませんでした。これはチームの方もパワープレイみたいなポジションとってるけど何故か繫いでるぞ?という齟齬があったのですが、武田君に前進してほしいぞ!ということだったっぽいですかね。

押し込んだときの課題については押し込める場所自体には居ましたし、最終ラインからボールを貰うようになったあとのうまく行かなさもどちらかというとチーム全体の誤算のように感じます。

やってること自体は間違ってないのだと思いますし、成長したら岡山の景色がだいぶ変わりそうですので、ちょっと気になる選手になってきました。上田だけじゃないぞということを見せないといけないチーム状況の中でそれを見せようとしてたのが良かった。たいていミスになってしまいましたが、うまくいけばヒーローだなという狙い自体は見えてたので見てて面白かったです。まあ、ちょっと前半の首振りはどこいっちゃったの!というミスだったんで、アレなんですけどね...w


そのほか気になったこと箇条書き。

・GKのアップから去年と全然違う岡山。バックパスで逆サイを確認しながらパスする練習。

・をしたのに試合では空いてる右を確認せず同サイドに出して大ピンチ。なんのためのアップだ金山よ...

・金山と田中の熱い抱擁で活の入れ合うのはルーティンなのかどうなのか。エモーショナルでよかった。

・岐阜とアップが似通ってて面白かった。鳥かごっぽいアップがよくわからんことになってる岡山、形になってる岐阜。試合でもそういう鳥かごを見せたのは岐阜の方だった。石の上にも三年。

・ギッフィー君初めて見たけどユニセックス(死語)な活発さがキュートでした。今節はアイドルをとても推してたけど、振り付けバッチリでオタクめいた?掛け合いみたいな手をかざす振り付けの魂のこもりっぷりが面白かった。ガチのファンのひとより動きうめえがな。パスミス、あのハンドパワーのせいかもしれないです。





・あとはごはんとか酒で忘れました。岐阜の人は毎週こんなうまいもん食っとるとかゲームバランスがおかしい。イニエスタとかビジャとか居るより羨ましいし。





空気がきれいでカラッと晴れ渡ったのでとても気持ちのよい観戦でした。自転車で巡ったのですが、最高にハイってやつになりました。綺麗な空気、うまい飯、そして白熱したサッカー。理想の休日。

帰りの長良川が非常にセンチメンタルだったので最後にご報告致します。こう出し抜けにかけがえのない瞬間にぶつかるから現地に行くことはやめられないのですよね。人はユング的な何かを求めて遠出をするのかもしれません。




いつになくクサいシメになってしまった。

それでは。