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湯上り猿

1泊2日のスキースノーボード旅行、友人が膝を痛めたので、2日目はスキー場に行く予定を変更して長野の地獄谷へ行った。駐車場へ車を置いてから30分以上歩くとは知らず、凍結したつるつるの道を歩いた。足元と前方を気にしながら、これほど集中して一歩一歩進めたことは無い。一歩を確かに進めて、30分ほど経った頃、しっかりお猿がたくさん現れた。そう、ここが地獄谷。お猿が温泉に浸かる場所。

温泉に浸かって顔がいい湯上りのお猿たち、君たちはこんなに素晴らしい場所を知ってしまって、そこから極寒の外へ足を踏み出すことができるの?絶対にずっといるなあ、たまに出てもずっと。

何匹かで集まって毛づくろいをしている様子をずっとみていた。2匹がかりで毛づくろってる(造語)お猿たちもいて、毛づくろいの目的を知らないわたしは何を取ってるのか考える。ノミ?ダニ?シラミ?アリ?ふ、ふけ?思ったよりお目当てのものは見つからないらしく、ぎっしりふわふわの毛を左右に広げて地肌(?)を覗いては閉じ、覗いては閉じをしていた。

余談を挟みますが、海外では日本猿をスノーモンキーというらしい。確かにお猿は南国や暖かい地域にいるイメージが強い、寒いところにいるのは珍しいようで、"さるだんご"も面白い様子。ちなみに地獄谷はhell the valleyとあった。ふふ。

動画を撮っている画面越しに猿の毛づくろいをみていると、その瞬間(とき)がきた。覗いて閉じ、覗いて閉じ、、チュッて食べた。チュッて食べた!!何食べたの、このお猿。最後食べるって知ってた人、どれだけいる?ほらまたチュッて食べた!!どれだけ好きな人でも家族でも親友でも、私はできないかも、、ってすっかり感服。愛情深さが毛づくろいできるか否かで測られる人間社会を想像して、やっぱりまたお猿に感服したと同時に、人間視点でしかものを考えられない自分を若干毛ぎらい(全然使い方違うし上手くもない)した。言いたかっただけ、毛ぎらい。

序盤に戻るのだけれど、しっかり浸かった猿たちは極寒の地獄谷へ、びしょびしょのままちゃんと出ていく。これは野生のサウナなのかもしれない。芯まであったまってもう無理!のところで出て、外気浴中なのかもしれない。猿がやっているだけで、やっぱりサウナって生命にいいのかな〜とか、人間界で流行るのもわかるな〜とか安易に思ったりする。

猿は毛づくろい中にお目当てをものをチュッて食べるんですよ、を伝えたくて1000字以上連ねている今ですが、よく考えると犬がおしり嗅ぎあったり鳥が並飛び(並走の飛ぶ版ってなんだろう)したりするのも、最後まで見ていたらなにかドラマがあるのかもしれないね。日本に1匹だけいたタスマニアデビルのテイマーが死んでしまって、新しく2匹(名前が決まったらしい!)が多摩動物公園に来てくれるそうだから、次はその子たちを見に行く。

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