『ジェニーハイのテーマ』

「よう」「うい」「よっ」「おいっすー」
四人いれば、挨拶も四通りだ。
「どこ行く?」「知らん」「どこでもいんじゃね?」「金ねーよ」
このメンバーで集まるのは、これが何度目だろう?
「じゃトリキ?」「また酒かよ」「別によくね」「財布カラッぽだから」
これから先、あと何回、このメンバーで集まるだろう?
「どーすんの」「公園でよくね」「酒のまねーの」「だから金ねえって」
僕は時々、人生のあらゆることをカウントしてくれる機械のようなものが常時駆動して、僕の人生を細かく監視してくれるのを期待している。
今までに食べた食事の量の総計とか、大便の総量とか、移動距離の合計とか、そういった、誰も好き好んで数えたりなんかしないようなあれこれを、冷徹に数えていて欲しい。それで、時々僕はその記録集を覗き見るんだ。寝る前にとか、それこそトイレの中でとか。
最高の暇つぶしだと思わない?なんでも載ってるんだよ。
とまあ、僕はずっとそんなことを考えてる。
あとはそうだな、例えば、こいつらとバカな話をした累計時間とかね……。
「なあ、聞いてる?」「またショウセツかよ」「サッカ様は違うね」「俺の名前、ショウセツに出していいよ。100マンで」
はっ!そりゃ傑作!と盛り上がる四人に、俺は呆れ果てた。

「うっせーよ、ばかどもが」
俺は言って、イヤホンを耳に差し込む。心地よいイントロが耳をくすぐった。

♪『ジェニーハイのテーマ』

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