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カードの規制・ナーフの裏には何かしらの理由がある


0.前置き

ここ最近、筆者がプレイしているゲーム「デュエル・マスターズ・プレイス」にて、1つのデッキが賛否を呼んでいた。
その賛否の声を見て、ふと今回のような「カードの規制理由」に関する記事を書きたくなったので、今回は筆者がこれまで経験してきたTCG/DCGにおけるカードの規制理由についての筆者なりの考察・分類を語りたいと思う。

1.そもそもカードの規制は運営視点でも望ましく無いだろうという前提

まず、前提条件として運営側もカードの規制は望んでいない(はず)と言うのは今回の考察を語る上で念頭に置いておきたい。
理由はシンプルで、カードの規制はTCG・DCG問わず多くの場合運営の信用と商品価値を下げかねないためである。
パックやデッキに入っているカードを規制すると、そのパックやデッキの価値が下がり、TCGなら売れ残る可能性が多くの場合増え、運営の信用問題にも発展しかねない。
そのため、「基本的に」運営側はカードの規制は望んでいないだろうと筆者は考えている。
すなわち、それでもカードを規制する時はそれ以上にその環境を放置していると売上や運営の信用問題に支障が出るほどの事態であると考えて良い。

2.カードの規制タイミングも、実はTCGは結構決まっている

また、カードを規制するタイミングも色々なTCGを見るとある程度決まっていることが多い。
例えば遊戯王は3/6/9/12の3ヶ月周期で発表があり、4/7/10/1月から施行される。
デュエル・マスターズも大体半年周期だし、ワンピースカードゲームは新興のTCGではあるが現状毎年3月に禁止改訂が出されている。
MtGも数年前は禁止改訂が不定期に乱発されていたが、現在は基本的に告知タイミングが決められているし、禁止されるカードも昔と比較するとそう多く無い。
即ち、これらの周期から外れて規制がかけられる時は原則それほどの緊急事態と考えて差し支えないと見ている。
一方、DCGは基本的にナーフと補填による対応があるためか、それとも日々こなされる試合数が膨大であるためデータが集まりやすいためか、比較的周期を問わない速やかな対応が多い。
流石に商業上の都合か新弾のトップレアを早々に規制・ナーフすることは少ないが(シャドウバースのナテラ崩壊環境の時のダミアンナーフの速度から目を背けながら)、その関連パーツはあまりにも暴れてるデッキのものは割とサクッと行く。デュエプレでの24弾リリースして少し後の《怒英雄 ガイムソウ》のナーフや22弾リリース後の《母なる大地》のナーフが良い例だろう。

3.運営がナーフ・規制を決める理由の一考察

では、本題であるカードのナーフ・規制する理由についてそれぞれ考察を上げていく。
なお、今回代表例に出すカードは基本的に規制の際に規制理由やその参考数値が挙げられているカードを出すので、ご了承を。
また、話すと長くなるので今回は本筋を敢えて語らないが、カードゲームの運営は、商業的にもプレイヤー体験的にも原則雑多環境を望んでいるであろうという想定の下今回の話を進めることとする。

1.使用率や勝率が高すぎて環境を歪めている

代表例:MtGにおける《王冠泥棒、オーコ》や《精神を刻む者、ジェイス》

まずはこのパターン。文字通り特定のデッキやカードがあまりにも強すぎて環境において膨大なシェアを奪い、一強環境を作り出すパターンである。
代表例は今回サムネにもした、現代MtGでもトップオブトップの壊れカード、「王冠泥棒、オーコ」だろう。

なんで世に出たのかすらわからない壊れカード

このカードの強さは既に多くの方が語っているため、筆者も長くは語らないがこのカードがどういうカードかを簡単に説明すると、「すぐに対応できないと詰むのに硬すぎるわ最速2ターン目に飛んでくるわで対応が困難なシステムカード」である。その結果とある公式大会では使用率が69%に達したらしい。
《精神を刻む者、ジェイス》も中々に中々な壊れカードであり、とあるGPではベスト8に進出したプレイヤー全員がこのカードを4投(最大枚数)したとの逸話があるほど。
要はこれくらいの明らかに突出したシェアを持つカードやデッキは運営から危険視され、規制が入りやすい。
せっかくなので筆者が知る限りの他のカードゲームの例を一部筆者の仮説込みで出すと、

デュエプレ:お目覚めメイ様や無双龍騎ボルバルザーク
理由:どちらも環境における使用率が高すぎて環境を歪めている
ワンピースカードゲーム:モビー・ディック号やリーダーの青黒サカズキ、大噴火
理由(推定):いずれも採用したデッキが環境における支配率が高すぎる
遊戯王:クシャトリラ・フェンリル
理由(推定):汎用性とカードパワーが高すぎてどのデッキにも出張できるため、使用率が高い+環境デッキの多様性に悪影響を及ぼしている
デュエマ:絶望神サガ
理由(推定):環境での使用率が高い、デュエマの本来のゲーム性を大きく損なっている、単純にこのカードを主軸にしたデッキのデッキパワーが異様に高い

だろうか?
これらのカードを見て察して頂いたかもしれないが、基本的にその時代の中のオーバーパワーカードやデッキは基本的にこのような理由で規制の対象になりやすい。

2.運営が目指すゲーム体験からあまりにも逸脱しているかつ、ユーザーからのヘイトも高い

代表例:デュエプレにおける《魔光大帝 ネログリフィス・ルドルフ》、MtGにおける《裏切りの工作員》

ナーフ後テキストではあるが、ナーフ前は大好きだったよ僕は

この例はDCGで特に顕著かもしれない。
このナーフ理由を雑に要約すると、「ゲーム上不快になることが多い体験を多く生み出すカードだから規制する」である。
例に挙げたカード2枚はいずれもこの例である。
確かに、自分の切り札のコントロールを簡単に奪われたり相手のデッキ外呪文を乱射するソリティアを延々とハンデスされながら眺め続ける羽目になるのは気分のいいものとは言い難いことも多いだろう。
特にDCGの場合、試合時間を短くスマートにしたい運営の思惑も絡んでくるため稀にこのような理由でのナーフ・規制が行われる。
ただ、こちらの理由はまた別のものもあるが...(後述)
他のTCGの例で言うと、デュエル・マスターズのループ系統の規制もおそらくこの例に該当するだろうか。
運営視点、あのゲームは本来「ハラハラドキドキする逆転要素があるゲーム」を望んでいるはずなので...(なら何故あのテキストの絶望神サガは産まれたのか、一度開発関係者に聞いてみたい)

3.運営が想定しているゲーム進行に大きな支障をきたす

代表例:MtG(アリーナ)における《運命のきずな》

山札に戻るってのが良くなかった

こちらもどちらかと言うとDCGで顕著な例になる。
このナーフ理由を雑に要約すると、「試合時間が異常に長くかかったり試合進行にカードパワー以外で悪影響を及ぼすから規制する」である。
代表例である《運命のきずな》も、かつてMtGアリーナにて無限に遅延ができてしまったことで規制対象となった。
他の例としては、デュエル・マスターズにおける《フューチャー・スラッシュ》などの相手の山札に触れてしまうカード3種と、同じカードでも全く違う価値を齎してしまった《レアリティ・レジスタンス》だろうか。

4.今後の開発に支障をきたす可能性が高い

代表例:MtGにおける《創案の火》

踏み倒しはダメだってだから

こちらは結構TCGでもあるパターン。主に特定のカードタイプやコストに関する効果持ちのカードが多い。
こちらも雑に要約すると、「将来インフレしてカード1枚のコストに対するパフォーマンスが上がった時にコストやカードタイプ参照のカードは危険だし開発するうえで考えるのがきついから今のうちに規制かけとくね」である。
コストを参照して踏み倒す系のパワーカードはインフレと共に飛躍的に強くなるため、この分類の規制を受けることが時折あると考えられる。
他TCGで言うと、デュエル・マスターズの《天命龍装ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー》なんかはこのパターンに該当すると考えられる(フィオナアカシックの規制のためと言う理由もあるが、それが主なら別の規制すべきカードがあるため、今回はこの意味合いが強いと筆者は考察する)。

基本的には、運営がナーフ・規制を行うにはこれら4種の理由のうちのどれかが該当すると考えられる。
なお、「新規参入の障壁を下げる」理由での規制は今回は筆者想定ではこれら全てに一部組みこまれていると考えているため割愛する。
あとは真実でも絶対に運営は言わないだろうが、一応「新弾に向けて環境を変えておきたい」だとか「新弾の目玉カードの邪魔になるカード」も規制対象じゃないかと言われることもある。
一応こちらについて触れておくと、筆者はリターンよりリスクが高いという観点から、よほどのことが無いとこの理由での規制はまずないだろうと踏んでいる。

4.おわりに

最後に、規制そのものに関して筆者の考えを述べると、
「規制はない方が望ましいが、それで環境が壊れるくらいなら規制はやむを得ない」
である。
今後も、TCG/DCGの運営がよりよいカードゲーム体験を提供してくれることを願い、本noteの締めとする。

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