天寿
「天寿を全うしてほしい」
そんなことを言われた。
その意味も分かっていたし そう思ってくれることは
優しさでもあり ありがたいことなんだけど
返事ができなかった。
自分の中で 天寿を全うしようと思うことがなく
祖父に対して思うことはあっても
自分には、それを全うするまで 自己を大切にする意識がないからだ。
安易に「ありがとう」と、その場の嘘の返事ができなかった。
きっとその人は 私が意味がわかってないと思っただろう。
下手な返事をするくらいなら、それでもいいやとさえ思えてしまうあたり、真面目なところ。
天寿…素敵な言葉だから。
とはいえ、うちの祖父は100歳まで生きた。
まさに天寿を全うしたのだが
こんなわたしにも そのDNAは組み込まれてるので
否応無しに天寿を全うせざる終えなくなりそう。
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