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それでも、優しく愛おしい毎日は続く「わたしのお嫁くん」

『わたしのお嫁くん』が最終回を迎えました。
ただいま、絶賛お嫁くんロス。こんなにも好きになれる作品に出逢えたことに、とても感謝しています。ああさみしい。

以下、ネタバレ注意。

『わたしのお嫁くん』は作品全体を通して「優しさ」と「愛」に溢れた作品でした。メインの2人の間に流れる優しさと愛情はもちろん、その2人を支える周囲の人達もそれぞれの愛を腕いっぱいに抱えていて、その様子を愛おしく感じ続けた3ヶ月間。

最終回、二人が別れるに至った理由はお互いの幸せを願った結果でした。
自分と一緒にいることで山本くんの夢を潰してしまうと感じた速見先輩。自分の未来を何よりも優先して考えてくれる速見先輩の気持ちを大切にしたい山本くん。相変わらずお互いのことが大切で、どこまでも優しく、相手のことを慮る二人らしい理由です。……まあなにも最終話に別れなくっても!と思わないことはないですが(笑)。

わたしはこの作品の「アンチ・ドラマティック」な所を愛して止みません。もしかすると勝手にそう感じているだけで制作側にその意図はないのかもしれませんが、山本くんと速見先輩のささやかな日常を徹底して描いているところが本当に好きで。周囲の濃厚なキャラクターに翻弄させられながらも、二人はゆっくりと関係性を構築していく。9話までの原作準拠のストーリーは特にそれが顕著だったように感じます。
ドラマオリジナルストーリーの10話・11話(最終話)はラストの大円団に向けてこれまでよりもドラマティックな演出になっていて、これまで描いてきた優しさに溢れる二人のキャラクターを考えると違和感を覚えたところが少しあり、それだけはちょっと勿体なかったかなと思います。でも期待通りのハッピーエンドを見せてくれましたし、最後の速見先輩と山本くんのやり取りは完全にアドリブだそうで…それだけでもうたまらない気持ちにさせてくれました。本当に…ありがとうございます……。

そして今回、「嫁」という明らかに結婚を意識させるワードが入った作品で最終話までに二人が「結婚」という選択肢を選ばなかったことにとても驚いています。これもまたアンチ・ドラマティックな描き方であり「推しのドレス姿を見たかった」という自分のクソデカオタク感情とは別の部分で感動しています。

周囲の結婚への期待に押しつぶされそうになる速見先輩の姿は10話で描かれていました。
自分たちが自分たちらしくいられるためにはどうすればいいのか。速見先輩と山本くんにとっては「結果的に福岡と東京という遠距離恋愛になったとしても、お互いの仕事を頑張ることが、尊重しあって生きていける方法だ」と結論付けたことは、新しい時代のラブストーリーだと感じさせられました。

だって最終回としては、絵的に考えても、ドラマの話題性を考えても、結婚式で終わらせた方が絶対強いし、大円団ムードを演出するにはうってつけです。それでも今の時代、決して結婚が万人の最終到達地点ではないのだと思いますし、安直にそうさせなかったのは制作陣の肝が据わってないとなかなか出来ないと思います。拍手!

それでもいつか、また二人で一緒に暮らす日が来たら改めて「結婚」が視野に入ってくるかもしれません。

親友の君ちゃんは結婚する理由を「なんにも変わらないと思ったから」と言いました。この人だったら家族になっても、今までどおり変わらずに生きていけるから、三年付き合った彼との結婚を選んだ君ちゃん。

「嫁=家事をする人」という認識から解き放たれて「嫁=ずっと一緒にいたい人」のことだと感じられるようになった速見先輩なら、もう怖がらずにその選択を出来るでしょう。

私自身、今の婚姻制度には懐疑的なところもあるのですが…二人が結婚という新しい形を選ぶところ、そして優しさあふれる家庭を築く姿をやはり見てみたい気持ちはあります。

そんな二人を期待して、最後に大好きなこのCMを。

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、わたしは、あなたと結婚したいのです」

総合結婚情報誌 ゼクシィ(2017年)

続編、心からお待ちしております。

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