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いらない選手などいない(清水‐東京V)

2023.12.2  J1昇格プレーオフ
決勝 清水 1-1 東京V

こんにちは。
メンタルコーチ 兼 清水サポのLilyです。

プレーオフのレビューなんですけど
もうあれから1・2ヶ月経った気分なんですけど
まだ2週間?ちょっとでございまして、
(時間の感覚バグってる)
その間に選手の満了や移籍なども
少しずつ発表されている。
なので、直接試合のことというより、
試合後のアレコレだと思って
読んでいただけますと幸いです。

プレーオフ後、それから移籍報道などを受けての
SNSでのファンサポーターたちの発信をみていて、
あぁ、そういう風に感じる人もいるのねとか
いろんなことを知ってしまいます。

メンタルコーチとしては
ただ「清水に来てくれたから」大事な選手なんだ!
というお気持ちだけで話を終わらせられない、
組織としての1人ひとりの役割
という視点での今日のnoteです。

誰一人欠けてもいけない、
それがチームです。



1,組織にはいろんな人が必要


組織、例えば会社などを考えていただければわかるように
社長が100人いても会社は成り立ちません。
社長が100人いたらおそらく100の違う会社が立ち上がります。

これは極端な例としても
例えば直接の交渉自体は苦手でも
営業に使う交渉材料を集めたり分析するのが得意な人がいます。
どちらも営業に必要な人材です。

人前でプレゼンするのが得意な人もいれば
プレゼン資料を作らせたらこの人、という人もいます。

仕事では特別目立たないけれど
彼がいるから部内がみんな仕事しやすい空間になる
そんなキャラクターの人もいます。

普段は特別仕事しているように見えないけれど(笑)、
部下のピンチになるととても頼りになる上司もいます。

会社の中にはいろんなキャラクターの人がいて
それぞれ持っているスキルや能力が違います。
自分の得意なことを出し合うことで
新しいプロジェクトが進行したり
新しいサービスや製品がうまれたりします。

サッカーチームも同じです。

真面目にコツコツやる人
声を出してチームを盛り上げる人
甘えている選手にビシッと言ってくれる人
後輩へ教えるのが上手い人
努力を惜しまない人

いろんな人がいます。

サッカーの技術もそれぞれ違います。
得意な分野も違います。

対人で絶対に当たり負けしない体幹を持つ選手
全体を俯瞰してみて適切なコーチングができる選手
ボールをキープするのが上手な選手
パスの出しどころを瞬時に見つけて正確なパスが出せる選手
空中戦がとにかく強い選手
シュートが上手い選手

そういうキャラクターが集まっているのが
サッカーチームです。

人が集まると役割分担が自然とできるそうです。
その中には、「特に役割は持たない役割」の人もいます。

屁理屈みたいですが、そうなんです。
外から見ているだけでは
何もしているかわからない人も
その人に与えられたタスクをこなしているのです。


2,サポーターは知っていたはずだ。


2021年のホーム最終戦セレモニーでの、
権田修一選手の挨拶を覚えているだろうか。
少なくとも、あの場にいた人は
絶対に忘れていないと思う。

見ていない、最近サポーターになった、
という人のために書き起こして抜粋する。

今年1年間、同じGKで、1試合も出られなくても、毎日クラブハウスに一番早く来て、準備してきた、大久保選手。僕は、彼が本当に毎日、熱い姿勢で練習していたおかげで、自分の体がしんどくても、彼の顔を見ていると、絶対にもっとがんばらなきゃ、って思わせてもらいました

権田選手の挨拶より

権田選手が声を震わせながら、
一言一言を絞り出すようにして語ったこの挨拶に、
目を潤ませたのは寒かったから、
だけではないと思います。

そして、このプレーオフで、
大久保択生選手が見せたプレーは、
まさに、権田選手がこれほどまでに信頼する選手のものでした。

そして私がこのnoteに書くことは
ほとんどこの権田選手の挨拶に要約されているのですが
それではお話になりませんので
かみ砕きつつ、書いていきたいと思います。


3,いらない選手などいない


清水エスパルスには正規の登録だけでもだいたい30人強の選手がいます。
スタッフやコーチなど合わせると50人を超える大所帯です。

1試合出られるのは最高でも16人。
もし、試合に出るだけでいいのならば
20人ほどの選手がいれば十分です。
でもそれだけじゃないから、倍以上の選手がいる。

もちろん、サッカー選手の本分は
試合に出てなんぼ、なのですが
実際はそれだけではないのです。

権田選手が仰っていたのは一つの例ですが
試合に出られずとも毎日真剣に練習をしている選手
その姿を見て、レギュラーの選手たちは
「負けていられない」と頑張ります。

それが「チーム全体」のレベルアップになる。

もちろん本人は試合に出ることを目標として
練習を頑張っていますが
自分より上手い選手、
自分よりフィットしている選手、
自分よりユーティリティのある選手が
優先されてしまうことはあります。

得意なことも違う
性格も違う
年齢も、経歴も違う

そんな選手が集まって1つのチームになります。

30人いれば30人全員が違います。

その1人1人に役割があります。
たとえ1試合も出られなくても。
たとえ、ずっとベンチ外でも。
たとえ、怪我で思うように動けなくても。

来シーズンを見越して若い選手も育てたり
ベテランの選手に他の選手のお手本になってもらったり
切磋琢磨するライバルがいたり
本音を話せる先輩がいたり
弱音を吐ける同期がいたり
そういう役割をみんな持っていて
その上でレギュラーを目指して毎日頑張っている。

もちろんプロスポーツの世界で
試合に出ていない選手への目が厳しくなるのは仕方ないこと

それでも、今年のチームを見ていて
「プロだからといっても、それだけじゃない」
と改めて思いました。

やっぱり、1人1人に存在する意味がある。
その選手がいなければできないことがある。
そして、どの選手もその役割を果たした上で
自分自身も16人に入って活躍することを目指している。
それを、確信しました。

出ている選手だけではなく
出ていない選手が何をしているかで
チームの総合力が決まる。

これは私の持論でもありますので
声を大にしてずっと言い続けます。


4,このプレーオフを最後に去る選手たち


とはいえ、愛する選手たちを
ずっと清水に留めておくことなどできません。

活躍すれば他のチームから声がかかり
若く才能があれば海外にも行ってみたいと思うかもしれない。
実力はあるのに同じポジションにもっとうまい選手がいれば
そのポジションが手薄になっているチームに行きたいと思うかもしれない。
実力はあっても監督の戦術に合わなければ
もっと使ってもらえる監督のもとに行きたいと思うかもしれない。

それは、選手の権利でもあります。

人が望むものはそれぞれ違いますが、できることなら、
選手にはいつもピッチの上で輝いていてほしいと
思うのです。

自分が一番輝けると思う場所へ行ってほしいと思うのです。

今、生涯1チームだけ、という選手は少なくなっています。
ずっとマリノスやガンバにいると思っていた
あの中村俊輔選手や遠藤保仁選手でさえ、
別のチームに移籍しました。

エスパルスの精神的支柱だったと思われる
竹内涼選手もファジアーノ岡山への移籍が発表されています。

竹内選手も今年は怪我で出られない時期が長く続きました。
竹内選手の移籍に対し
「彼の背中をずっと見てきた」という後輩たちからの
メッセージが続々送られています。
それこそ、彼が試合に出ている時も出ていない時も
チームに必要な存在だったことの証だと思います。

先ほどの権田選手の挨拶に出てきた大久保選手も
今シーズンで清水を去ることになります。

ここまでの姿勢を見せてくれる選手を
手放すのは正直惜しい。

おそらくプレーオフ決勝の時点で
「この試合がエスパルスでの最後の試合」
と知っていて、プレーしてくれたのではないか、と思います。

他にもたくさん、この試合が最後になった
選手がいると思います。

昇格を喜び合って、送り出したかったですが
そう美談にもなりえないのが勝負の世界です。

去っていく選手たちには
これから幸せな選手生活を送ってほしい
それだけが願いです。




最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

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【お約束】

  • 清水エスパルスを題材にメンタルを語るブログです。
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    あくまで一般論としてのメンタルを語っており
    誰が悪いとかあの時○○すべきだったとか
    ここを改善すべきだとかを
    論じるブログではございません。

  • 選手個人を挙げてメンタルを論じることはおやめください
    ただし、○○選手のあの時のこの行動が
    その後の試合の流れに影響を及ぼしてた!(かもしれない)
    というようなことはブログ内では取り上げます。
    それは○○選手のメンタルの話ではなく行動の話だからです。

  • こちらに書かれていることを元に
    チームや選手個人にご迷惑をかけるような言動は
    おやめください。

  • 特定の選手、チームに対する暴言や誹謗中傷等もおやめください。


【プロスポーツメンタルコーチ Lily】

・独りきりでがんばるアスリートをなくしたい
・すべてのアスリートがメンタルコーチに頼れる世界に
・すべてのアスリートに幸せな引退を

静岡市出身。お茶の水女子大学心理学卒。
清水エスパルスとサッカー、音楽が大好きです。
小~高校まで吹奏楽部。高校野球の応援にも全力。
現在は清水エスパルスのゴール裏で声援を送る生活。

伸び悩む若手サッカー選手が
活躍できずに引退してしまう、
そんな姿を見たのをきっかけにメンタルコーチの道へ。

現在は音楽家(プロジャズミュージシャンなど)、
スポーツ選手(サッカー、ビリヤードなど)の
サポートの傍ら、自らの音楽活動も継続。

プロスポーツメンタルコーチ
プロチームメンタルコーチ
NLPマスタープラクティショナー
音楽療法士
リトミック ディプロマA

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