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独り、歩く畦道で

激しい夏が終わり
優しい秋が来て
黄金色の稲穂が揺れている

少し、冷たくなった風に吹かれて
独り、歩く畦道で
黄金色の稲穂を愛でながら
隣で手を繋いでくれる人がいてくれたらと思わずにいられない

秋は実りの季節で
優しい季節なのに
なぜか、寂しくさせる

秋の夕暮れ
独り、歩く畦道

黄金色の稲穂が、夕焼けに染まって
きらきらと揺れて
暖かい光が、溢れている

それでも、切なくて
寂しくさせる季節に
独り、歩く畦道で
黄金色の稲穂を見つめながら
隣で手を繋いでくれる人がいてくれたらと思わずにいられない

実りの季節
優しい季節
ふと、振り返って
私に実ったもの
繋いでいたはずの手があったのに
気付けば、何もない

泣きたくなるような
寂しくなる季節に独り、歩く畦道で
今、隣にそっと手を繋いでくれる人がいてくれたら
今度こそ、離さない

あまりに容易く
手放して
あまりに容易く
離してしまった手

畦道を独り、歩く寂しさを
噛みしめている今は
今度こそ、離さないと自分の手を握りしめる

実りの季節
優しい季節
秋の夕暮れ
独り、歩く畦道で
そっと手を繋いでくれる人を待ちわびて
ゆらゆらと揺れる黄金色の稲穂を見つめている


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