たまにキズ

たぶん私は相当脆弱な人間だ。

日々ちょっとした道の凸につまずく。
ペースを乱すと倒れてなかなか立ち上がれない。
それでもなんとか自分を生きている。


だれかの何気ない一言にも心の波がぐちゃぐちゃにされる。

あれは去年のクリスマスイブ。
女友達と何人かのサークルの先輩と、よみうりランドであそんだ帰りの電車。
座るわたしたちの前には頬を赤らめたおっちゃんとそのお嬢ちゃん。


おっちゃん、性懲りもせずしょうもない、劇サムいギャグを連呼。
こういうときわたしは変に気を遣って笑ってしまうタチなのだ(った)。

車内の誰ひとり笑わないおっちゃんの言葉にニコニコしてる私を見て

彼はこう言った。

「お姉ちゃんみたいなひとをお嫁さんにするといいよ、家が明るくなるからね。


でもお姉ちゃんちょっとあれだね、

歯がこう(手を口の前で前後に動かす仕草) だよね〜〜〜笑笑」


「......え??????」
最初は何のこと言ってんのかわからなかった。
でもしばらくして気がついた。


(あ、わたし出っ歯なのか……)

こんなこと20年生きてきて気付いたことなかった。誰にも言われてこなかったし自分で気にしたこともなかった。

そのときはなんだかよくわからない感情で、苦笑いすることしかできなかった。
けど、あれはたしかに怒ってよかったのだ!!

と、今は思う。


それ以来わたしは横顔がコンプレックスになった。

あのおじさんの言葉を拡大解釈して、

わたしは骨格が不恰好で、口もとがブスなんだ、と思うようになったからだ。

人に横から顔を見られるのも、写真を撮られるのも嫌で嫌で仕方なくなった。


ふざけんな!あのクソじじいめ!
お前のなにげない一言で私はものすごく魂を傷つけられた。
ゆるせない。ゆるさない。

とずっと思ってた。



………でももうすぐ一年経つし、正直言えばはやくこの気持ちから解放されたい。

、、から私はこうして文章を書いてる。



私はこのかわいいかわいい口もとを、いつか赦せますように。

この話も笑い話になりますように。
読み返したとき、悩んでたことすら忘れてて懐かしい思い出になってますように。









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なん

大学生、20歳です。

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