教卓ホラー

最近は、意図的に挑発をした生徒を先生がしばき上げた事件が話題になっている。

ワシはIQが6なのでこの問題に対する正解を語るつもりはない。

しかし、ワシも教師をしていた頃、似たような事件があったよ。

ワシは高校の英語教師だった。

ワシは授業の鐘が鳴るとともに言った。

「hey! hey! hey! hey! hey,guys!」

「open your textbook!」

生徒たちが気だるそうに教科書を開く。

ワシは続けた。

「hmm...repeat after me! "hey! hey! hey! hey! hey,guys!"」

「…?」

「oh? repeat after me. "hey! hey! hey! hey! hey,guys!"」

「...hey hey hey hey hey,guys...」

「ok! one more! "hey! hey! hey! hey! hey,guys!"」

「...hey hey hey hey hey,guys...」

「ok! very good! good luck!」

そう言ってワシは授業を終わり、教室を出て職員室に戻る。

職員室に戻る途中で、教卓の上に教卓を置き忘れていたのを思い出した。

それで引き返して教室のドアの前まで来たところ、中から生徒たちの声が聞こえてきた。

「なぁ、あの英語教師さぁ、絶対狂ってるだろ!」

「まじやべえよな!授業2分で終わったぞ。」

「ほんとそれな!教科書開いた意味ある?」

そんな話をしながら、ギャーギャー笑っていた。

ワシはショックで、とても教室のドアを開けることはできなかった。

すると、また別の生徒が言った。

「まあ、いいじゃないですか。くだらない学校の授業を受けずに自習できるんだから、よっぽど効率的では。」

それに対してやんちゃな生徒が食いついた。

「は?うるせえよガリ勉野郎。今そんなノリじゃねえだろ、キモいんだよ!」

「…すぐキレるな、低脳は。」

「あ!?今なんつったてめえ!」

さすがに喧嘩が起きてはまずい、と思い、ワシは思い切ってドアを開けた。

「こら!やめろお前たち!」

そう言うと、やんちゃな生徒が歯向かってきた。

「うるせえな…。元はと言えばあんたが頭おかしいからなんだよ!まじで狂ってるだろお前?教卓の上に教卓置いてんじゃねえよ!邪魔なんだよ!」

ワシはやんちゃな生徒の独りよがりな暴言が聞き捨てならず、ビンタした。

生徒は衝撃でよろめいた。

「馬鹿者!もう少しまともな発言をしろ!」

「…痛え。まじ痛えわ。よろめきついでに校長室に駆け込んでやる!この体罰教師め。」

やんちゃな生徒はよろめいたついでに校長室に向かっていった。

その後、ワシは校長室に呼ばれた。

校長は冷たい目つきで話し始めた。

「おい、君。生徒にビンタをしたというのは本当か?」

「はい、校長。」

「何を考えているんだ!体罰が問題視されているこのご時世に、よくもやってくれおったな!大きな問題になりかねんぞ!」

「はい、校長。」

「だいたい、何でビンタなんかしたんだ!」

「悪いことをしたとき、シンプルに痛え方がわかりやすいし教えやすいかなって…。」

「このハゲ野郎!今はそういう時代じゃないんだ!」

「そうですかねぇ…。」

「黙れ!!」

そう言うと校長は、「バッチイィィィィン!!」とワシにビンタした。

「痛っっってぇ…!」

「失せろこのガキ!」

「はい、校長。」

ワシは校長に歯向かうとシンプルに痛えので、校長に歯向かうのはやめようと思った。

でも、ワシはIQが3なので、体罰以外の方法で生徒に指導する方法が思いつかなかった。

どうしようかと考えていると、ふと思った。

ビンタのように、肉体的にダメージが残るようなやり方は、証拠が残って校長室に駆け込まれるからダメだな。

ダメージは残らないけど嫌なこと、ダメージは残らないけど嫌なこと…。

ワシは閃いた。

ワシは研究と練習を重ね、ホラーゲームで不気味な洞窟か何かに入った時に聴こえる「ェアァァン…」みたいな効果音を発声することに成功した。

そしてその翌日、いつも通り授業を行った。

「hey! hey! hey! hey! hey,guys!」

「repeat after me! "hey! hey! hey! hey! hey,guys!"」

するとやんちゃな生徒が騒ぐ。

「おい!毎回毎回そればっかりうっせえぞ先公!」

ワシはやんちゃな生徒に歩み寄った。

「な、何だよ…。」

ワシはやんちゃな生徒の耳元で囁いた。

〈ェアァァン…〉

「うわぁ!!何だ今の…。ゾクゾクする…。」

「静かに授業を受けてくれるかな?」

「…わかったよ。」

「good boy.」

ワシはにこっと笑った。

その後も、忘れ物をした生徒、遅刻をした生徒、授業を聞かずに自習する生徒、ワシの悪口を言った生徒、ワシの陰口を言った生徒、何となく気にくわない生徒などには、耳元で囁くことを続けた。

そしてある日、いつも通り授業を2分で終わらせて職員室に戻るとき、またも教卓の上に教卓を置き忘れているのに気づいた。

あちゃー、いっけね、と思ってまた教室の前に戻ると、中から生徒の声が聞こえてきた。

「なぁ、あの先公、やっぱりおかしくねぇか?」

「…えぇ、同感です。提案ですが、クラスの皆で協力してどうにかしませんか?」

「おお!そうしよう!皆で協力すれば何とかなるはずだ!」

「よっしゃ!作戦会議だ!」

今までにないほどクラスの皆が仲良くなっているではないか。

「まず、あのバケモノの特徴をあげていこうぜ…」

「そうですね、あのバケモノは…」

ワシのあだ名はバケモノになったようだ。

ワシは教室のドアを開けた。

「hey! hey! hey! hey! hey,guys!」

そして、満面の笑みで腹一杯に空気を吸い込んだ。

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ワシのことを超一流であり続けさせてくださる読者の皆様に、いつも心からありがとうと言いたいです。