新種牡馬との付き合い方と考察

※FANBOXの競馬塾に投稿している一部を公開しています。


レイデオロ

父:キングカメハメハ
母:ラドラーダ
母父:シンボリクリスエス
主な勝ち鞍:日本ダービー、天皇賞秋

デビューから3連勝でホープフルSを制し、翌年の日本ダービーを勝利。4歳になると天皇賞秋を制し、暮れの有馬記念でも2着に好走。5歳時は5戦して馬券内に絡めなかったものの、 GI3勝2着2回の実績を残しました。

-レイデオロのポイント-
・母系の特徴を引き出すタイプ
・ディープインパクト系やブラックタイドの血を引く繁殖牝馬との配合でウインドインハーヘアのクロスが発生、主流条件への適性を高める
・自身がサンデーサイレンスの血を持っていないため、母系で主流条件への適性を強化しないと日本の芝中距離への適性は薄まる
・様々なカテゴリーで活躍する産駒を出せるポテンシャルを秘めており、配合次第で短距離やダートでの一流馬も出せる血統背景である
・晩成傾向が見られそうではあるものの、母系次第で早期から活躍できる下地もあり


父キングカメハメハはNHKマイルCと日本ダービーを制した競走馬。この系統からはドゥラメンテやロードカナロア、ルーラーシップといった後継種牡馬も出ており、日本で主流となっている血統です。レイデオロも日本ダービー、天皇賞秋と主流条件のGIを2勝しており、産駒も主流条件をこなせる下地があります。

このキングカメハメハ系の大きな特徴は、母系の特徴を引き出す傾向があるところです。キングカメハメハ自身もそうだったように、この系統は繁殖牝馬によって様々なタイプの産駒を出しています。

-キングカメハメハ産駒-
・ドゥラメンテ(芝中距離)
・レイデオロ(芝中距離)
・アパパネ(芝マイル〜中距離)
・ロードカナロア(芝短距離)
・レッツゴードンキ(芝短距離)
・ホッコータルマエ(ダート中距離)
・チュウワウィザード(ダート中距離)

-ロードカナロア産駒-
・アーモンドアイ(芝マイル〜中距離)
・サートゥルナーリア(芝中距離)
・パンサラッサ(芝中距離)
・ステルヴィオ(芝マイル)
・ダノンスマッシュ(芝短距離)
・ファストフォース(芝短距離)
・レッドルゼル(ダート短距離)

-ドゥラメンテ産駒-
・タイトルホルダー(芝中長距離)
・スターズオンアース(芝中距離)
・リバティアイランド(芝マイル〜中距離)
・シャンパンカラー(芝マイル)
・ドゥラエレーデ(芝ダ中距離)
・バーデンヴァイラー(ダート中距離)

キングカメハメハ産駒だけでなく、後継種牡馬の産駒からも繁殖牝馬によって様々なタイプの産駒が出ています。そのためレイデオロも繁殖牝馬の特徴を引き出す面を持っていることが考えられます。そのため母や母父がどんなレースで活躍していたのかを確認することが、適性を把握するヒントになるとみています。

続いてレイデオロの母系を見ていきましょう。母ラドラーダは芝1400〜1600mで4勝、祖母ラドラーダは1200mで5勝しGIスプリンターズSでも4着に好走した短距離馬です。曽祖母のウインドインハーヘアはディープインパクトの母という良血馬です。
母系を遡ると、多くの活躍馬を輩出したイギリスのHighclereに繋がり、このHighclere牝系に属する活躍馬は日本だけでなく、海外ではGI4勝のNashwanやNayef、デビューから11連勝でGI6勝を挙げたBaaeedなどが出ています。

曽祖母にウインドインハーヘアがいるため、ディープインパクト系やブラックタイドの血を持つ繁殖牝馬と配合することで、ウインドインハーヘアのクロスが発生するのが本馬の大きな特徴です。
日本で最も主流となっているサンデーサイレンスの血を持たないため、サンデーサイレンス系の繁殖牝馬と配合しやすく、ウインドインハーヘアのクロスを発生させることでその父のAlzao譲りの瞬発力と器用さを強調する効果が見込めます。
初年度産駒には母父ディープインパクトの産駒も多く、母系の特徴を引き出すキングカメハメハ系の特徴からも、この配合系からは末脚に優れた馬主流条件への適性が高い馬が出ることが予想されます。
(反対に、主流条件での適性を高めるにはサンデーサイレンスの血が必須であるとも言えます。)

母系をもう少し細かく見ていくと、母父シンボリクリスエスはダート適性とパワー、芝向きの柔らかさも伝える血。
母母父のSeeking the Goldはダート中距離GI馬。ただ産駒は短距離馬が多く、日本でもシーキングザパールやマイネルラヴ、ゴールドティアラといった短距離〜マイル路線でのGI馬が出ており、短距離適性やダート適性を伝える血です。
レイデオロの母ラドラーダ、祖母レディブロンドも短距離で好走していたように、これらの血の影響で短距離やダートでの適性が高い産駒が出る可能性も秘めています。母系の特徴を引き出す面に加え、レイデオロ自身が様々な適性に振れる可能性を秘めている血統構成であることから、母系次第では様々なカテゴリーで一流馬を出すことも考えられます。

2023年8月6日(日)時点でレイデオロ産駒は16頭がデビューし、2頭が勝ち上がり。勝ち上がり率としてはまだ高くはありませんが、ショウナンパンドラやマリアライト、ヴィルシーナなど母父ディープインパクトの 良血馬が控えています。
それに加え、キングカメハメハ系に見られる晩成傾向は本馬も受け継いでいると考えられ、これから徐々に成績を上げてくると考えています。
とはいえ同じキングカメハメハ系でもルーラーシップやロードカナロア、ラブリーデイのような年齢を重ねて強くなったタイプとは異なり、本馬はドゥラメンテのように2歳時から活躍していた馬。ウインドインハーヘアをクロスする形や、仕上がりの早い米国系の血を持つ繁殖牝馬との配合では早期から活躍する産駒も出るとみています。


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