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ミルシムを主催してみたい人へ向けての覚え書き(前編)

最近ミルシムのイベントを立て続けに2回主催して(1回目2回目)、ある程度運営側が考えるべきことが分かってきた気がするので、記憶が新しいうちに書き留めておきます!

なんでこんな記事を書いているのかと言うと、こういう動機があります。

では本題へ。


ミルシムって何なのか

本稿は「ミルシム」に興味がある人が読んでいることを前提に書いていますが、この単語は人によってイメージされるものが異なりますので、最初に定義を明確にしておきます。自分のイベントのTwiplaには下記のように記載していました。

ミルシムの定義は難しいのですが、今回はひとまず下記のようにお考え下さい。
・付与された"任務"を達成する作戦を自分達で立案
・指揮系統に従い(無線やEUDを活用し)連携して行動する
・砲撃もしくは空爆の再現アリ

逆に、ライトな要素としては次のようになります。
・事前の準備(資料作成や会議など)無しで当日完結
・赤外線デバイスは不使用、使い慣れたBB弾で交戦
・雨天や夜間の行動は無し

ミルシムライトin関東 Vol.1のTwiplaページより

この他にも色々な定義ができると思いますが、もしあなたがミルシムイベントの主催を考えているのならどんなイベントにしたいのか明文化することから始めるのがおすすめです。主催と参加者の間でコンセプトの認識が揃っているとイベントの進行がスムーズになり、また「せっかく参加したのに思ってたのと違った…」という悲劇も防ぐことができます。

以降では先ほど挙げたミルシムの基本要素

  1. 任務の付与と作戦立案

  2. 指揮系統と無線の構成

  3. 火力支援要素

について順に見ていきます。


ミルシムの基本要素

任務の付与と作戦立案

「任務」の有無はミルシムとサバゲーの大きな違いの一つでしょう。サバゲーでは「敵を全滅させる(殲滅戦)」「敵の拠点を制圧する(攻防戦)」といった勝利条件だけが決まっていることが多いですが、「なぜやるのか」が示されているとだいぶ没入感が変わってきます。以下にサンプルとしてミルシムライトの資料の抜粋を示します。

シナリオは半分くらいAIが考えている
BlueTeamの任務
RedTeamの任務

任務の達成条件にフォーカスすればほぼ攻防戦のルールで、それに重要人物の誘拐と近接航空支援の要素を加えた程度です。BlueとRedの任務は鏡の裏表でしかないので、片側の条件を考えればもう片方は自動的に決まります。
(ちなみにいきなりシナリオから着手すると考え込んでしまって中々進まなかったため、自分は任務を決めてから後付けであらすじを作っています。文量についてはまだ手探り中で、もっと簡潔でもいいかもしれません。)

任務を与えた後は参加者の側で作戦を立案してもらいます。全員で話し合っていると時間が幾らあっても足りないですが、かといって指揮官が1人で考えるのも負荷が偏るので考えものです。分隊長と小隊長で会議をして、意見が割れたら小隊長が決断を下すというくらいの塩梅が適切かなと思います。役職の設置については次で説明します。


指揮系統と無線の構成

軍隊の模倣をするのであればやはり指揮系統も必要になってきます。「小隊長(指揮官)」→「分隊長(現場リーダー)」→「分隊員(ヒラ)」という三階層構成が最もスタンダードな形かと思います。
下記の図では小隊長の上にHQ(司令部)が存在しますが、これはシナリオの進行役として運営側のスタッフが務めることが多いポジションです。

編成の際は指揮官が1人かつ分隊が2~4個に収まるように調整するのがよいでしょう。
権限が同格な小隊長が複数いると「命令」ではなく「相談」「要請」といったニュアンスの会話が発生して状況の展開が遅くなります。
また分隊が複数個あると陽動をかけたのちに本命の攻勢を行うなど作戦の自由度が高まりますが、ある程度の人数がいないと各個撃破されてしまうので分割し過ぎも危険です。

分隊員の数と分隊の個数は参加者数によって調整する

無線についても説明しておきます。ミルシムの状況中もっとも多い行動は無線通話であり、いかに快適にコミュニケーションできるかがイベントの満足度に直結します。最初からある程度のコストをかけるべきというのが自分の考えです。

サバゲーマーにとって最もポピュラーなのはいわゆる特小無線ですが、これは非常に交信可能距離が短いです。使用する範囲は分隊系(同じ分隊の隊員同士が通話する用)までにとどめておくのが無難です。

火力誘導員の存在しない最もシンプルなパターン

小隊系にはより出力の強い無線が必要になり、「デジタルコミュニティ無線(デジコミュ)」もしくは「デジタル簡易無線(デジ簡)」という選択肢があります。
デジコミュは最近ミルシムプレイヤーの間で普及しつつあり、参加者の持っている分をかき集めればイベントに必要な台数を揃えられる可能性があります。
デジ簡は更に出力が強く広いフィールドでの使用に適しますが、開局申請や電波使用料の納付の手間があるためミルシムプレイヤーの間でも所有率は低いです。参加者に持参をお願いするのは現実的ではなく、運営側が業者を探して一括レンタルするのが基本となります。

特小の出力は他の2つに比べると非常に弱い

【余談1】
デジコミュはDigitalCommunityRadioの頭文字で「DCR」と略されることがあるほか、icomが販売しているDRC-1 mk2という機種のシェアが高いので「DRC」と呼ぶ人もおり、ややこしい

【余談2】
icomの陰に薄れているがALINCOもDJ-PV1Dという機種を販売しているので、デジタルコミュニティ無線の意味で「DRC」という言葉を使うのはあまり正確な表現ではない


火力支援要素

FPSゲームではよくある、座標を指定すると支援砲撃や空爆が飛んでくるようなシステムのことです。これもミルシムを構成する要素として期待されているようで、自分が主催したイベントの実施後アンケートでは魅力を感じた点の上位に位置していました。やはり銃撃戦以外にも敵を排除できる手段があると"サバゲーとは違う"感が出るのかなと思います。

この回では片方のチームに砲撃支援があり、もう片方のチームに近接航空支援があった

要請から現示までの流れはおおむね次のようになります。火力支援の手段が砲撃でも空爆でもミサイルでも本質にはやることは同じです(もちろん前方観測員がりゅう弾砲の火力要求をする時とJTACがCASを誘導する時とでは当然台本は変わります)。

  1. プレイヤーから排除したい目標の座標を運営に伝達

  2. 現示員が指定座標に移動

  3. 現示員が爆竹を鳴らしたりスモークを投下したりしてして「着弾」の演出を行う

  4. 現示員が着弾地点から加害半径(事前に決めておく)内にいるプレイヤーに対して「負傷」や「死亡」といった判定を付与して回る

ミルシムとしてこのようなシステムを採用する場合は米軍に倣ってMGRS座標を使用するのがお勧めでです。実は軍隊以外でも広く使用されている座標系ですので、国土地理院のHPで閲覧できる地理院地図にもMGRSグリッドのオーバレイ機能が実装されています。また地理院地図は標高のグラデーション表示にも対応しており、そのまま配布資料として使えるくらいには優秀です。合わせて覚えておくと役に立つこともあるでしょう。

地理院地図はこんな感じ

次回予告

思ったよりボリュームが大きくなってしまったので今回はここまで。次回以降は下記の要素について順番に書いていく予定です。1記事に収まるかはまだ不明です。

  • レギュレーション関連(装備統制、携行弾数、死亡と復活の仕組み)

  • ATAKは必要?使うとしたら何をする必要がある?

  • お金関係(何に幾ら使ったか、参加費の算出方法)

  • おすすめの追加要素1(障害構築・除去)

  • おすすめの追加要素2(MVP表彰制)

もし仮に他にも扱ってほしい内容があればX(Twitter)のアカウント宛てにリプライまたはDMでご要望をお送りください。期待に応えられるかは分かりませんが、読ませて頂きます。

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