さびしいって言って
夏のような、どころではない暑さも過ぎ去っていつもの気温が戻ってきたかと思ったらもう最終日。
今月はずっとそわそわしてすごしてしまった。楽しくてせつなくて、なんだかいつも泣きそうだった。五月晴れを恨んだり羨んだりしながら。
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今日は久しぶりに肌寒いくらいで、風がクーラーみたいに気持ちよかった。
窓を開けたままいつものように空色のソファに寝転んだ。
とても気持ちがやわらかい日で、ぐにゃぐにゃといろんなことを考えた。どんどん忘れてしまうから、どんどんメモ帳に書き込んでいく。
いつもより言葉がちょっと力強いのは、ほんの少しできあがった覚悟のせいかなあ。
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出会いとか、はじまりとか。
スタートについて考える機会は多いけど、終わらせかたや別れかたはいつだって下手だった。
上手になってしまうことのほうが悲しいのだろうか。
ふいにぎゅっとさびしくなった。
窓からの風が肌寒くなってきたせいかなあと強がってみたものの、やっぱりダメだ。
自室のクレート(キャリーケース)で眠っていた犬くんに話しかけることにした。こんな風に思ったのははじめてだった。
「ねえ犬くん。お昼寝してるところごめんね。急にさびしくなっちゃって、もしよかったらこっちに来てくれないかな?」
犬くんはむくっと顔を上げる。
話を聞くそぶりをしたと思えば、すこしなにかを考えるような間が空いた。
そしてトコトコとこちらに寄ってきて、あお向けに寝ていたわたしのお腹にひょいと飛び乗る。犬くんに話が通じてびっくりした。
軽くてふわふわの毛がとてもあたたかい。ちらっとこちらを見てから、うずくまるように丸まってお昼寝の続きをはじめた。
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どう考えたってさびしい思いをたくさんさせているのはこちらのほうで。
目の前でコートを着たり、化粧をすると吠えはじめてしまう。身支度をすると出掛けることを覚えているのだ。
それなのに。
わがままなさびしさに付き合ってくれた。
あたたかいのはきっと、体温だけじゃなかったよね。犬くん、ありがとう。
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