「おもてなしってなんだろ?」少なくともホームレスを追い出すことじゃないよね?

何気なく呟いたこのツイートがバズっていたので、もう少し詳しく書いておこうかと。

実はこのニュース、2年半前のものだ。このベンチが設置されたバンクーバーといえば、冬場もしとしとと雨が多い気候のカナダ西部の都市だが、そこの「レインシティー」というホームレス支援の非営利団体が手がけたキャンペーンだった。だからカナダ政府が率先してホームレスの人がベンチで寝られるようにしているわけではないし、レインシティーの広報の人は、このキャンペーンは2ヶ月限定で、その時はたいした反響もなかったという。(カナダのハフポの記事はココ

なので私がツイートで「カナダだと〜」と書いたのは正確ではなかったかもしれない。まぁ140字だと全部伝えきれないんで、noteにこうして書いているってことで。

写真を見ればわかる通り、普通のベンチの背もたれのところに蝶番でつないだ2枚の板を立て、昼間は「ここにシェルターがあります」と書いてあって、普通に公園やバス停で人が座る、という機能を邪魔するわけではない。その板を上に持ち上げると、それが屋根になって雨に濡れずに横になることができる。

そして後ろの板からは「ここに家があります」とホームレスの人が滞在できるシェルターの住所が書いてある。もう一つのバージョンは、最初の板に白地に黒の「これはベンチです」というメッセージ、夜になると夜光インクで「これはベッドルームです」と浮かび上がってくるというもの。

だからこのキャンペーンでは、何もホームレスの人にベンチで寝ろと言っているわけではない。ただ、ここに私たちが運営するシェルターがあって、ホームレスの人に来て欲しいけれど、それが嫌だというのならば、せめてここで夜露がしのげますように、とのメッセージを伝える、いわば「ゲリラ」キャンペーンなのだ。

カナダ以外の国の人がこのベンチを見つけてimgurなどのSNSにアップしていたのを、イギリスのテレグラフ紙やインディペンデント紙が取り上げて「わが国のホームレスを追いやる工夫をした公共スペースとはなんたる違いだ」というニュースになっていた。

私もたまたま東京で、人がそこで寝られなくするためだけにあるとしか思えない公園のベンチに取り付けられた手すりのような仕切り(何か名前があるんですかね?あれって)を見てモヤモヤした気持ちを持ったことがあるし、東京オリンピックを前に渋谷の高架下にわざわざコンクリートのトゲトゲを作っているというツイートを目にして、なんだかなぁ、という気持ちになったのが件のツイートになった。

もちろん、ベンチにシェルター案内を付けたところで、経済が上向きになってホームレス人口が減るわけではない。レインシティーという非営利団体だっていくらシェルターを作って人を招き入れたところで、ホームレス人口そのものを減らすことはできないだろう。

ただ、ホームレスという脱出可能な状態の社会的弱者に対する態度や振る舞いで、その社会の民度が計れちゃう気がするよね。それはホームレス問題に限ったことではないし、その社会の地方自治体がオリンピックを誘致するために自分たちの「おもてなし」を自慢する国、首相が自分で「美しい」と自慢する国がですよ、ホームレスの人をどこかに追いやればいいってな、臭いものにフタして外国人に「らっしゃ〜い」ってのはちいとばかり情けなくありませんか? 何かしらの事情で住む場所がない人たちをこんな方法で追い出して街を「キレイ」にするより、もっとやるべきことがあるんでねーの?っていう話でして。

でも何かの事情で住む家がなくなる、ってこと、誰の身にも起こることなんじゃなかろうか? 正社員でマイホームがあったとしても、人生ナニが起こるかわからないと思うけどなぁ。ということで、締めくくりに英インディペンデント紙で最近見かけた「今はお金持ちで有名だけど、かつてホームレスだったことがある人たち17人」って記事のリンクを置いていきます。

【追記】元ツイートに写真があった渋谷の高架下スペースのトゲトゲ石ころは、ゴミのポイ捨て対策だったという話もあり(え?あんなん、余計にゴミを投げたくなりそうだけど?)、その後撤去されたようです。


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