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THE WIFE: アカデミー賞を逃したグレン・クロースはノーベル文学賞受賞者影武者役

そりゃ、The Favouriteにもつおいオンナが出てきたし、つおい女同士バトルしてるのを観るのは楽しいし、モノトーンでまとめたコスチュームも良かったですよ? でもオリビア・コールマンがアカデミー主演女優賞かなぁ? 体調悪くて不機嫌なオバサンならここにも1人いるしw しかもエマ・ストーンってララランドの時も思ったけどけっこう大根というか、野心があるんだか、根は優しいのか、わけのわかんないアビゲイル役だったよねぇ?

とにかく、アカデミー賞受賞の時のオリビア・コールマンのあのスピーチはなんなんですかね? 子どもならまだしも「おー、あー、ストレス溜まるわコレ」「ひひひ、これって笑える」「それと、えっとえっと」「もう時間切れだって、ぶぶっ!」「レディー・ガガだ、ちゅっ!」ってバカじゃん。

っていうのも本命だったグレン・クロースがオスカー像と同じゴールドのドレス着て、主演女優賞取る気満々でその場にいたからなぁ。いいスピーチ用意してたと思うし、そっちが聞きたかった。ちなみにゴールデン・グローブ賞ではレディー・ガガが主演女優賞取る気満々で、グレン・クロースがとってビックリ!してたんだが。それでもコールマンよりはマシでしょ?

ということで、映画版The Wifeの個人的感想なぞ。まずね、邦題の『天才作家の妻 40年目の真実』というのがいいのか悪いのか…。私は映画館でチケット買う時、これがわかんなくて、「えっとえっと、ザ・ワイフって映画…ど、どれだ?もごもご」とかやってて、受付のおにゃのこが『天才作家の妻』ですか?って助け舟を出してくれたw これってタイトルだけでネタバレしているというか、のっけから説明しすぎてるのはどうにかなんないんですかね?

どうせネタバレするのなら、事前に知っておくと楽しめるキャストの6th degree的な関係を書いておこうかと。(っていうかもう上映してないのか?)主人公ジョーン・アーチャー(ジャンヌ・ダルクのもじりね、これ)の若かりし頃を演じるアニー・スタークという女優さん、実は実の娘です。どうりでそっくりなわけですよ。口元とか、考え事をしている時の表情とか、同じなんだもん。これでいちおうメジャーデビューだそうですが、Closeという名字を使っていないところがアッパレ。

GoTがらみでキャスト語ると、若かりしの夫はデネーレスのバカ兄貴のヴィセリス・ターゲリアンだし、じいさんになってからの夫はThe Sparrowだし。

そしてなんかおかしかったのが、執拗に作家の妻にインタビューして評伝を書こうとしているナサニエル・ボーンというフリーランスライターがクリスチャン・スレーターで、まぁ多少は老けたとはいえ、アン・ライスの吸血鬼レスタットを演じたトム・クルーズ相手にインタビューするところが「同じ役じゃん」ってぐらいの既視感ww でも取れるか取れないかもわからないインタビューのためにコンコルド乗るかよ!と突っ込みたかった。あれってニューヨークからロンドンに飛ぶので100万円はしてたよね?当時で。

そしてこの夫婦の息子を演じているのはジェレミー・アイアンの息子マックスで、まぁそう言われてみれば似てるかな?ぐらいのデジャブ感。グレン・クロースはジェレミー・アイアンズとReversal of Fortunesで夫婦役として共演してるし、House of Spiritsでは兄妹だった。(ごめん、映画のタイトルは基本、英語でしか出てこない)

残念なのは、映画からだと、なんで息子がこんなにひん曲がった性格なのか、そんなにお父ちゃんと仲が悪いのになんでわざわざノーベル文学賞の受賞式にくっついて来てるのかがわからないと思うので、そこはぜひメグ・ウォリッツァーの本で。ハーパーコリンズが日本支社作ってからこういうところタイミングよく翻訳もの出せてるみたいですね。しかも文庫で1000円、ってがんばったなぁ。でもメグ・ウォリッツァーの最新作 Female Persuasion出てないのか。ダメじゃん。次はそっちヨロシク。

なにしろ原作だとあの「くるみ」の使い方が活きてて、それが何を象徴しているのか考えるのが面白いんですよ。映画だとグレン・クロースが表情ですべて表現しているけれど、実はジョーンが普段考えていることがなかなか辛辣で、コンコルドの席でも心中穏やかどころが、心の中ではダンナにあれこれ毒づいてるのが夫婦あるあるでウォリッツァー巧いな、って部分でして。

それでは、刺さったセリフを紹介。これは若い時に母校の先輩の女流作家との会話。

A writer has to write.
A writer has to be read, honey.

「書かずにはいられないのが作家でしょ?」「読まれなければ意味ないわ」ぐらいの訳でしょうか? これって1940年代ぐらいの話かなぁ? 女が書いた気の利いた文章なんて誰も読みたくないのよ、って言い放っているけど、今のChick NoirとかFeminist Fictionのもてはやされぶりを考えると、時代も変わりますなぁ、と感慨深い。

Don’t paint me as a victim. I’m much more interesting than that.
これはインタビューしようとするナサニエル君に言い放つセリフ。ウォリッツァーらしい言い回し。「勝手に被害者にしないで。私はもっとおもしろい女よ」ってな。

I am a kingmaker.
ノーベル賞作家の妻が晩餐会で「あなたは何をなさっているんですか?」と聞いて答えたのがこれ。実はゴーストライターなのに「主婦で〜す」どころか、キングメイカーって言っちゃうところがかっこえー。

あとはもう少し、小説を書くプロセスがどういうものなのか、映像で見せてほしかったなぁ。あらすじだけ追うと、わりとありがちな夫婦のメロドラマになっちゃうんで。

それから、ノーベル賞の会場とか、晩餐会とか、実物とはぜんぜん違いますね。撮影は主にスコットランドでやっているので。あ、そうだ、昨年はスコットランド訛りの英語がわかるようになったんだった。そのエピソードも披露しなくちゃw Trainspotting 2のレビューと合わせてやろっかな。


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