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なんでそうなるの?         ~語順の謎を解き明かす~

今回は少し変な語順の英文を解説

英語の勉強をしていると「ん…なんか変な語順やな。どういう意味なんやろう」と疑問に思う英文に出会うことが多々あります。このような英文に出会った時、先生にこのような英文の質問をすると「これは慣用表現だから。覚えなさい。」と言われることがほとんどです。しかし、それは本当に慣用表現なのでしょうか。実際は、慣用表現ではなくちゃんと文法に従った構文である可能性があります。今日はその一例を解説します。

今日の英文

This pole is twice the length of that one over there.
このポールは向こうのあのポールの長さの2倍の長さがある。

NextStage第4版より

この英文の変なところはtwice the lengthの部分です。このtwiceは形容詞でbe動詞の直後に置かれているので補語(名詞を説明する語)です。これは文法通りの語順です。問題はtwiceの後ろです。補語の後ろに置かれるのは修飾語です。原則、修飾語の役割を果たせるのは、形容詞・副詞の2つです。(厳密なことを言うともう少しありますが今回は言及しません)しかし、今回の場合、twiceの後ろに置かれているのはtheです。theは冠詞と呼ばれ、名詞の前につきます。つまりthe以降は名詞のかたまりであることがわかります。
まとめると、補語の後ろに文法通りなら来ないはずの名詞がきています。これがこの英文の変な理由です。そして、慣用表現だと言われる理由でもあります。

しかし、この英文の語順は決して慣用表現なんかではありません。ちゃんと文法に従った語順なんです。

解説

まず初めに、先ほどの英文をなじみのある構文に書き換えると以下のようになります。

This pole is the twice length of that one over there.
このポールは向こうのあのポールの長さの2倍の長さがある。

例1

この構文なら、違和感なく理解できるのではないのでしょうか(この英文は文法的に間違っている英文であるということをお忘れなく!)
ここで冠詞に関するルールを紹介します。

冠詞の位置には3パターンある。
①冠詞+副詞+形容詞+名詞
 例)He is a very tall  old man.
   彼はとても背の高い老人である。
 冠詞=a 副詞=very 形容詞=tall

②such a 名詞
 *such/what/many/half/rather/quite/all/both/double/twiceが名詞につく時
  にこの語順になる。
 例)Many a man came to see him.
   多くの人が彼に会いに来た。

③as+形容詞+a/an+名詞
 *名詞を修飾する形容詞にas/how/so/tooがつく時にこの語順になる。
 例)It's too small a hat for you.
   これは君には小さすぎてかぶれない帽子だ。

参照・引用先『徹底例解 ロイヤル英文法』

冠詞の語順にはこのようなルールがあります。もうお分かりだと思いますが、今回のテーマとなる英文はちゃんと文法に従って運用されている英文であるということが分かります。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は一見変な語順である英文が実際はちゃんと文法に則った英文であったという一例を紹介しました。皆さんも、変な語順の英文に出会ったらぜひ調べてみてください。では、次の記事でお会いしましょう!

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