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ウクライナ語の「10月」「黄色い」「黄身」を覚える

私はウクライナ語初心者。

新しく言語を学ぶとき,月名,曜日名なんかを覚えるのが苦手。それぞれ 12 個,7 個もあるし(その点中国語は楽)。

ウクライナ語の月名にチャンレンジしているが,なかなか覚えられない。今回は「10 月」について書く。

10 月

ウクライナ語の月名は,2 月,11 月を除いて全て -ень で終わる。
よって,-ень の前の部分を覚えればよい。

10 月は жовтень(太字はアクセント位置)。「ジョウテニ」のような発音。

(жов の部分の発音が仮名でジョウと書くのが相応しい音かどうかは微妙だが,ここでは立ち入らない)
とりあえず以下の記憶フレーズを考えた。

饒!手に収穫の十月

筆者作

畑で農夫が収穫物を手に微笑んでいるところを思い浮かべる。
ウクライナというと小麦のイメージが強いが,小麦の収穫時期はもっと前。調べたところ,ウクライナで 10 月頃に収穫するのはトウモロコシやヒマワリなどのようだった。

私は上の記憶フレーズでどうにか覚えることができた。

なお,筆者はこういう記憶フレーズを 100 語以上にわたって作り,公開しているので使ってほしい:

黄色い

その後,「黄色い」という形容詞「жовтий」に出会った(太字はアクセント位置)。「ジョウティー」のような発音。

えっ,そっくりやん。-ий は形容詞語尾なので,「10 月」と「黄色い」は語尾を除いた部分 жовт- が完全に一致している。
これ,同じ語源に違いない。つか,10 月ってたぶん「黄色月」だ。

何が黄色なんだろう? ヒマワリは 10 月に収穫するといっても,種を取るんだろうから,もう夏の盛りの真っ黄色のイメージは無い。ではトウモロコシの黄色なのか?

答えは
ウクライナ語入門』中井和夫 著,大学書林(1991)
にあった。第十六課の「5 月の名」に

жовтень 10 月 (黄葉月)

『ウクライナ語入門』p. 84

とある。なるほど葉が黄色く色づく月,ということだったのね。

日本だと「紅葉」という言葉に引きずられてか,落葉前に葉が変わる色は「赤」のイメージがやや強い。

黄身

さてさて,単語検索なんかをやっていると,今度は жовток という語を見つけた(太字はアクセント位置)。「ジョウトーク」のような発音。

これは卵黄(卵の黄身)という意味。こちらも жовт- で始まる。
ロシア語では -ок は男性名詞を作る語尾らしいので,ウクライナ語でもそうなんじゃないかな。
だから жовток は「黄色いやつ」的な語構成ぽい。
確かに日常生活において「真っ黄色」の代表とも言えるのが黄身だ。

(2022/12/25 追記)-ок は名詞を作る接尾辞でもとくに「指小辞」というものらしい。「小さい」などのニュアンスを含む。

おわりに

これで「10月」「黄色い」「黄身」が繋がった!
すべて「黄」を意味する жовт- で始まり,月の語尾 -ень,形容詞語尾 -ий,名詞語尾の一つ -ок をつければ出来上がり。
どれか一つが覚えられれば三つとも覚えられる。

ダメ押しに「黄身」(жовток)についての記憶フレーズを。

黄身が悪い」は常套句

筆者作

ちょっと説明が要る。
関西人ならたいがい知ってるお決まりのネタ,というのがいくつもある。
「黄身が悪い」はその一つで,玉子に関して何か不可解なことなどがあると,これを言う。

たとえば

A「今日スーパーに行ったら玉子がいつもの半額やったわ」
B「キミが悪いな」

のように。これは常套句なので,B の言う「キミ」が「黄身」と「気味」をかけていると A にはすぐ分かるのだ(知らんけど)。
(なお,共通語でも関西弁でも「気味」と「黄身」はアクセントが異なるが,B のセリフは「気味」のほうでいい)

もし A が非関西人でキョトンとしていたら,B はきまり悪そうに窓の外へ目をやり「た,玉子だけに……」とつぶやく。


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