甘木 龍聲

R・ファインマンという物理学者が好きです。

甘木 龍聲

R・ファインマンという物理学者が好きです。

最近の記事

非人情に、数学

「あの松の影を御覧」 「綺麗ですな」 「只綺麗かな」 「ええ」 「綺麗な上に、風が吹いても苦にしない」 (夏目漱石『草枕』) 『草枕』を読みました。そして、「これだ!」と膝を打ちました。「苦にしない」というのは、「風が吹く」ということをただ感じて、楽しむということです

    • 成熟と、そのはやさについて

      私も、はやく成熟することを美徳として考えていた人間の一人でした。はやく学び、はやく習得し、はやく次へ進む。そんなことを「素晴らしいこと」と見做してしまう習慣を、なぜだか持っていました。反抗していたつもりだったのに、もっていました。場合によっては、何かをはやくこなすというのは必要な能力なのかもしれません。しかし、そうしているとき自己の心が消耗している具合を観察すると、とてもいいことだとは思えない。 どうやら世間では、はやく成長するということに心を消耗している人がいるようです。

      • 宝石を見つけたので、一寸言いたい

        昆虫、たとえばコガネムシという虫について言うならば、その背中はまさに金のように輝いています。それは自然の中に現れる一種の特殊であります。ゴツゴツしていて、所々に樹液が滲み出しており、触ると思いのほかあたたかい。そんな木の肌をよく観察すると、まるで宝石のようにコガネムシ*がついています。 私がコガネムシを発見してそれを宝石のようだと感じるのは、おそらく小さい頃にカブトムシやクワガタムシを求めて木を観察してきたからだと思います。カブトムシもコガネムシの仲間ですから、木の上で見事

        • 炎の知恵と、人の知恵

          こんにちは。甘木です。あなたは、科学をどれくらい信じていますか。 ノーベル賞は、とても有名な賞です。「ノーベル賞受賞者」という肩書きのついた科学者の言うことであれば、普段は科学に興味がない人でもその人の話を聴くかもしれません。では、そんな権威あるノーベル賞のメダルに彫られている絵について少し紹介してみましょう。 この画像などを参照していただければわかりますが、ノーベル物理学賞・化学賞のメダルには「自然の女神がかぶっているベールを、科学の神がそっと持ち上げて自然の女神の素顔

        非人情に、数学

          アノ曲は、なぜ最後に力強いのか

          はじめに断っておくが、私は音楽についてまだ素人である。自分で楽器を演奏する訓練をしたこともないし、クラシック音楽を聴き始めたのもごく最近のことである。そのことを前提に、いちファンとして感じたことをここに述べる。 ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調作品92 (クラウディオ・アバド指揮)を聴いていたときのことである。勉強に取り掛かる前に、第一楽章だけ聴こうと思ったのである。それにしても、指揮者の身体の動きというのは本当に面白い。こんなに面白い動きをする人って他にいないんじゃない

          アノ曲は、なぜ最後に力強いのか

          勝負強さと人の良さ

          勝負強さって、なんだろう? 僕自身についていえば、勝負事に関して自分が特別弱いと思ったことはあまりない。かと言って、特別強いと思ったこともない。 実は、勝負そのものに熱中することが稀である。あ、そういえば、最近ゲームアプリ「囲碁クエスト」で久しぶりに囲碁を打ったときは、ガッツリ勝負に熱中した。朝、早起きに成功したので朝食を済ませてから目を覚ますために音楽を聴いていたら、むくむくと囲碁が打ちたくなってきた。囲碁クエストをひらいて、約1000日ぶりに(アカウントにそう記録され

          勝負強さと人の良さ

          『ちはやふる』の意味

          『ちはやふる』という漫画をご存知だろうか。とにかく耳がいい千早という少女が競技かるたで日本一を目指す話だ。 僕はアニメしかみていないのだが、『ちはやふる』では第一話が一番好きだ。他にもいろいろ好きな話はあるが、一番好きなのは一話である。これは「どうして僕は一話が好きなのか」について自分の人生になぞらえて考えてみるという、個人的な記事である。 以下では一話のみのネタバレを含みます。 一話のあらすじはこんな感じ(高校生部分カット)。 千早の小学校では家が貧乏な転校生の綿谷

          『ちはやふる』の意味

          知能についての雑文

          チューリング ・テストの優れた点は身体的能力と知能の間に明確な線を引くことができることだそうである。 身体的能力について、動物と比べてしまえば人間はそれほど優れてはいない。たとえば人間は毛並みの美しさについて猫にかなわないし、足の速さについてシカにかなわないし、視力ではトンボに敵わない。 また知能については、ここではチューリング ・テストで言うところの知能について考える。知能とはテストで測るものと思っている人が多いようだがそれはちがう。というかここでいう知能は違う。一般に言

          知能についての雑文

          ケプラーからニュートンまで

          この記事は、朝永振一郎の『物理学とは何だろうか』を私が解釈したものです。 『物理学とは何だろうか』は1979年に初版が発行されました。朝永振一郎は1976-1976年、1929年京都大学理学部卒業。ノーベル物理学賞受賞者であり、僕の出身高校の先輩でもあります。古い時代の本だからか、朝永振一郎が非常に頭のいい人だからかどうかは解りませんが、この『物理学とは何だろうか』には難解に書かれている箇所があります。図解したり自分で方程式を立てたりしないとわからない箇所がいくつか出てきま

          ケプラーからニュートンまで

          天秤問題

          あるサイトで見つけた問題を解いた。それだけです。 Problem 14個の球があって、ひとつだけ重さが違っている(以下、この球をジョーカーと呼ぶ)。標準の重さの球(以下、市民と呼ぶ)がひとつだけわかっているとき、天秤を3回だけ使ってジョーカーを特定し、その球が市民より重いか軽いか示せ。:出典: https://ncode.syosetu.com/n0050be/31/ Solution1回目の操作として、一方に未知の球を5つ、もう一方に未知の球を4つと市民とわかっている球

          テレンス・タオさんの記事を訳しました

          こんにちは。飯田龍成です。今日は世界的な数学者でフィールズ賞も受賞されたのテレンス・タオさんのブログの記事のひとつを日本語訳しました。原文のリンクはこちらです。間違い・誤植などありましたら指摘して頂けると助かります。 高校生の拙い訳と思ってください。 この記事は、「ギフテッド教育」と呼ばれるアメリカを中心に行われている英才教育を話題として、テレンス・タオさんが教育について論じたものです。 ギフテッド教育についての助言 もし息子や娘にただ一つの贈り物ができるとしたら、熱

          テレンス・タオさんの記事を訳しました

          シンプルを生む知性

          シンプル・イズ・ベストという言葉を聞いたことがあるだろうか。 結局のところ、なんだかんだいっていちばん良い道は、単純な道だということを指した格言だと私は考えている。 複雑な道は、人から余計な体力を奪う。余計な悩み、余計な不安、余計な計画、余計な無力感。それだけである。だから、複雑な道は避けて、単純な道を進もう。とても合理的だと思う。 しかしながら多くの場合、あるのは複雑な道だらけである。あるいは、大量のループする寄り道である。何故こうなってしまうのか? シンプルの道は

          シンプルを生む知性

          大人の、爆発的知性

          チューリング論文読解が進まない。 とにかく、浪人生のやることの多さを見くびっていた。 1行ずつでもいいから、少しずつ進めていこうと思う。 さて、今回僕がこのノートで主張したいことは「大人の知性」ということについてである。 よく言われることだが、子供はみんな天才である。稽古事をさせると呑み込みがはやい。記憶力がすごい。集中力がある。心が純真である。可能性に満ち溢れている。 僕はいま18才であり、大学に向けての受験生である。そろそろ、子供ではない。 「子供ではない」と

          大人の、爆発的知性

          チューリング論文読解3.2

          チューリング論文読解3.1のつづきです 始まりの大地(チューリング論文読解1.1)はこちら _______________ 1.直訳(前半) 2.直訳(後半) 3.解釈 4.メモ ________________ 2.直訳(後半) 担当:加藤 循環型と循環型でない機械 もし機械が有限個の1種類目のシンボル以外決して記述しないなら、それを循環とよぶ。そうでなければそれは循環でないといえる。 もしある機械がそこから取りうる行動がない配列に達するなら、あるい

          チューリング論文読解3.2

          チューリング論文読解3.1

          チューリング論文読解2.2のつづきです。 1.直訳(前半) 2.直訳(後半) 3.解釈 4.メモ ________________________________ 担当:加藤 2章 定義自動機械 もし各段階で機械(1章の意味で)の動作がそのその環境設定によって完全に決定されるなら、その機械を「自動機械」(もしくはa-機械)とよぼう。いくつかの目的のために、私たちはその動作がたった一部だけ環境設定に決定される(そういうわけで1章で「可能」といった)機械(選択機械

          チューリング論文読解3.1

          チューリングについて、思い出のようなもの

          アラン・チューリングについて、僕は思い入れというか感慨のようなものがある。 どういうことかというと、 それは僕が中学二年生、少年の頃にさかのぼる...。 __ 僕は、GAGAの「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」という映画をみた。アラン・チューリングを主人公にした、ドイツの暗号機エニグマ解読にまつわる映画だ。主演、ベネディクト・カンバーバッチ。 この映画を見たとき僕は、「イミテーションゲーム」にはまった。正確にいうならば、僕は、この映画の予告編をみ

          チューリングについて、思い出のようなもの