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遅日記 令和4年7月10日(日)

気候の影響か体調は思わしく、正直、億劫だったが、犬を連れてか連れられてか、とにもかくにも午前中のうちにと簡素な外出着に着替えて、リード片手に選挙投票所に赴いた。
ここ何年もなんら波乱も起きそうもない選挙区であり、僕自身、一票を投じる対象の決め手もないままだった。
投票は義務ではなくいわば権利なんだと思いつつ、会場の係の方々に軽く会釈をして以降は、淡々と義務的にルーティンな所作で投票行動をこなしたような気もしないでもなかった。

ムーミンコミックより

昨晩、相談者(利用者)から何度もケイタイ電話に着信があったが、出なかった。選挙応援活動の一環であることは容易に想像ができたからだ。
以前も、選挙時期には学生時代の友人からの投票ヨロシクの電話が度々あった。煩わしかったが、上手くいなすこともできず、他にすべなくその友人からの電話は出ないようにしたとともに、その後の関係も断った。
利用者とは同じようにはいかないが、ひとまず電話には出ないことが一番だと思った。明日にもなればお互い、いつもの関係に戻っていることを願っている。

妻と交代に投票会場に入った。待たされっぱなしだった、まな犬は、一行が揃ったのを確認するとそこらで自らの用事を早々に済ませ、我々をグイグイと引っ張り家路を急かした。

帰宅後、昼食をとりながら平和、平穏の象徴のようなテレビ番組 「NHKのどじまん」で、おじいちゃんに、と会場に向けて手をふる学生服姿の若者らを観ながら今日も涙を流し観ていた。

窓の外、軽い雨音が聞こえていた。
やがて雨は上がる。
昼食を終えたあと、ふとした思いつきでビニールシートと缶ビールとポテチを抱えてベランダに出た。
ビニールシートをひいてビールとポテチを並べ置き、どしんと床にお尻をつく。
まな犬がついてきてペタンと床に腹をつける。

風が頬を撫で、
干していたT-shirtははためく。
小鳥がチチチと
カラスはかぁーかぁーと、
ゴーと低く飛ぶ飛行機と
遠くガタトガタトと電車が行く音を聴く。

目の前でベランダの上がりに顎をのせ目蓋を閉じていた、まな犬は
迷いセミが窓を叩き、
トンボが立ち寄るのに気付き、
はしゃぎ(野性味)出す。

近所のおっさんはえげつないくしゃみをし、
呼応してキャンキャンとその飼い犬らしきが騒ぎ出す。

雲は流れ止めどなく形を変えて行く。

あー明日は、どこか出かけたいなあ。
そんな気分を起こしてくれるそんな日もきらいじゃない。