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『Endless SHOCK 2022』を見て「All the world's a stage」を感じたよnote

 『Endless SHOCK』本編配信はリアルタイムで1回、そして見逃しを何回か観ました。誤解を恐れずに率直な感想を述べるとすれば、エンタメの煮凝りとも言うべきストロング舞台だったな~! という印象です。舞台の面白いとこ全部詰め込んで凝縮しました!! みたいな濃密さある。ストーリーだけを抜き出したとしても、あの内容を丁寧に描こうと思ったらアニメ1クール(6時間弱)くらいかかるのでは?? それをギュッと圧縮して、更に惜しげもなくショーパートを挿入!! みたいな…! ミュージカル作品とはいえ満足度の高い楽曲が贅沢に使われていますよね……愛がすごい……。この情熱を ”愛される側” として、つまりは観客として楽しめたことが何よりも幸せだったな~! と思います!!
 佐藤勝利さん、初恋の相手がこのステージだったらそりゃ大変なことになるよな~と色々納得いたしました……。

 人生初のジャニーズさんの舞台&初SHOCK、感想を公開するのは何だか生意気かなぁという気持ちも抱えつつ、己のストーリー理解のためのメモとしてnoteに置いておきます。ネタバレもいいとこです。不束者ではございますが、そして佐藤勝利さんのオタクなのでほぼ佐藤勝利さんの話のみになりますが何卒ご容赦ください!! タイトルにもしたシェイクスピアの有名台詞「この世は舞台」、本作で引用されているものではないのですが、色んな意味でずっしりと心にきて初見オタクは訳も分からず泣いてしまったよ!

1.『Endless SHOCK』本編について

 2022年4月9日(土)のリアルタイム配信では、本編開始前に稽古期間の特別映像が流れました。バックステージ映像だったんですけどバックステージとは言いたくない映像でした。だって、本当の意味で物語の裏側ならば某ピ●サーアニメみたいにエンディングでサラッと流すか、円盤の購入特典でファン向けに公開するべきじゃん!? 違うんか!?!? 初見の人もいるだろうに本編の初回配信前に ”コレ” を挿入するということは、もうそういうことだと受け取りましたよわたしは。「All the world's a stage」も「Show must go on」も解釈次第では同じ意味だと思うよわたしは。特にアイドルはね~~もう、ね~~~~!? ここで観客側も覚悟を決めねばならない。今から見るものは夢であって夢ではなく、フィクションであってフィクションではない。こ、怖いよ~~~~そんなに己を曝け出さないとだめか!?!? エンタメに対して誠実が過ぎないか!?!?!? まあ、とある劇団ゲームでも「舞台は生の人間が演じるから面白い」言ってたしそういうことなんだろうな……。スゥーーーーーーッ フーーーーーーーーー(深呼吸)

第一幕 オープニングから階段落ちまで

 特別映像で覚悟を決めさせられた後、厳かな雰囲気の中『Endless SHOCK』の文字が浮かび上がり、オーケストラがせり上がり、指揮棒が天を示します。も~~~~この瞬間はいつも緊張してワクワクして、喉の奥がちょっと痛くなりますよね……オーナーは劇中で「ときめき」と称してましたが……! 優しい弦の音に導かれるようにクレジットが表示され、当然ながら佐藤勝利さんのお名前も出てきます。最初から泣いちゃうよこんなの。

 ウ、ウワーーーーーッ!?!? ショー始まった!! この曲が『CONTINUE』なのかな?? ブロードウェイミュージカルと聞いて最初に思い浮かべる映像そのままみたいな楽曲です。ゆ、夢だ……!! ヒロインをエスコートする佐藤さんがかっこよくて足が長くて華やかでまぶしい。

 舞台はオフ・ブロードウェイという小劇場(で合ってるのか??)に、類まれな才能を持ったスター・コウイチが現れるところから始まります。もうここから怖いんですよわたしは。だって役名コウイチとショウリなんでしょ!?!? 逃げ場がないじゃん!?(わたしの感情の)
 そしてコウイチは物理的登場の初っ端からワイヤートラブルであわや事故! となりながらも、何事もなかったかのように笑顔でショーを続けます(伏線)。
 劇中劇の位置づけになるであろうこのステージショーがもう本当にね~、ステーキハンバーグ寿司ラーメンオムライス! みたいな満足度ブチ上げターンなんですよね~!!

 ステージ衣装を脱ぎ、屋上で歌う『ONE WAY』のシーンで、カンパニーのメンバーが幼馴染であることが語られます。彼らは横並びで切磋琢磨する仲間達でしたが、コウイチの才能が頭ひとつ抜きんでているのも事実。そして大劇場からのスカウトよりも新しいことをしたいというコウイチ。ふ、不安……!!
(ちょいちょい挟まる「セクシーローズ」とか「バィバィDuバィ ~See You Again~」とかのファンサービスですらちょっと怖い。ショウリと佐藤勝利さんの境界線が滲む感じがする……!!)

 車のボンネットに乗って登場するなんてウテナの鳳暁生かハイローの達磨一家くらいだと思ってたんですけどコウイチもそっち側だったか~!!
 コウイチが見ている世界・目指している未来と、ショウリのそれとの溝が埋まらないまま、彼らは活動の場を大劇場へと移します。インペリアルガーデンシアター(強そう)で上演される演目は、これぞブロードウェイという趣のものばかり。ここの楽曲とダンスめちゃめちゃかっこいいですよね……!! 舞台セットにもブロードウェイの有名作品のネオンが掲げられててあまりにもかわいい!!

 その大舞台でのとある場面、スタッフのミスでショウリが出とちってしまいます。ミスをカバーしようとしたコウイチと噛み合わず、ショウリは「Show must go on」を── ショーを続けることが出来ませんでした。コウイチとショウリ、お互いを思う気持ちは台詞の端々から感じ取れるものの、二人ははっきりと決別。その後の劇中劇第二幕の決闘シーンで、ショウリはコウイチを本物の刀で刺してしまうというショッキングな事故が起こります。こ、ここで階段から落ちるのか~~~~~~~~!!!!!!!!!

第二幕 失意のショウリからエンディングまで

 コウイチの意識が戻らないまま、失意のショウリの独白からスタートです。広い舞台にぽつんと佇んでいてそれはもうすごい落ち込みよう……(そりゃそうなんだけど)
 ショウリにとってコウイチは、幼い頃からの "敵わない存在" であり、コウイチに追いつかんと夢中で走り続けてきたけれどついに見失ってしまったことが、それはそれは悲しそうに紡がれます。適切な感想じゃない気がするけど佐藤さん本当にかわいそうな演技がうまいな……見てる側にかわいそうと思わせる力が強いと言いますか……憐憫ホイホイやな……。
 今にも切れてしまいそうな脆さで零れた「コウイチ、どこへ行くの」の台詞が、ショウリというライバルの象徴だなと感じました……。他の方がライバル役演じられたときもこんなしんみりしてたんか!?!? これライバルっていうかむしろ???? 縋るようなもの悲しさが迷子の子供のようで、所謂一般的なライバルのイメージとはかけ離れていたので他のライバルも見たいなという気持ちになりました。

 コウイチを刺してしまった自責の念の追い詰められたショウリは、シェイクスピアの夢を見ます。ハムレットとリチャード3世ともう一作品か引用あるのかな? ちょっと不勉強で分からないんですが、光一さんのオーラと気迫が凄まじすぎてあの……ひとまずその辺で……とオロオロしてしまう……ショウリ、抵抗する腕に力がなさ過ぎるのと目が怯えきっているので……。

 周囲に違和感を撒き散らしながらコウイチが病床から復帰。ショウリにとっては最低のサプライズとしてステージに舞い戻ります。踊るコウイチから顔を背ける下手のショウリ、あまりにも顔がイヤそう……すっっっっごいイヤそう……!!
 コウイチを刺した事故はショウリが仕組んだもの(小道具の刀を本物にすり替えたのはショウリ)であると明かされます。「止まった奴は切り捨てられんだろ」のところが天才でした。後で補足しますが、ここの佐藤さんのお芝居を見て、もしかして刀は楔だったのかなぁと思ったり思わなかったりしました。

 リカにナイフを渡して刺してくれと願うショウリ。そうでもしないと救われないと慟哭しますが、リカが前に進むためにナイフを向けたのはショウリではなくコウイチでした。エッじゃあ誰かショウリを救ってくれるの?? コウイチしかおらんでしょ!! ということで、コウイチが消えてしまうまで、正真正銘最期のステージが始まります。

 ここからはもう神々し過ぎて……。封印が解かれたかのように光を放つコウイチとそれを眩しそうに見つめるショウリ。コウイチと背中合わせのパフォーマンスをしてハイタッチをするショウリ。コウイチから、遺された仲間たちへの贈り物のようなショーでした。
 ここの光一さんのフライング系パフォーマンスが過去映像使用部分なのかな? 全然分かりませんでした……編集もそうだけど舞台上の皆様のお芝居が、コウイチが空を舞ってるとしか思えない様子だったので……とにかく圧巻だったな〜〜欲を言えば、やっぱりこれは人生で1回くらいは劇場で、生で観たい……!!

 最後はみんなでコウイチを見送ります。リカも、オーナーも、カンパニーの仲間たちも、そしてショウリも晴れやかな顔をしていました。本当にコウイチはいなくなってしまったのか、細かい部分は明示されていませんが、誰がなんと言おうとこの結末は幸せで、ハッピーエンドなんだ! という波動? のようなものを受け止めた気がします。いやすごい、本当にすごい舞台だった…………!!

2. コウイチとショウリと天才と孤独

 今回の配信でしか『Endless SHOCK』という作品世界に触れていないので、とんだ勘違いをしていたら大変申し訳ないのですが、最も印象に残ったのは天才と孤独の扱い方が思ってたんと違うな……? ということでした。

 いやね、あくまでも素人考えなんですけど、天才と呼ぶしかないような稀有な存在、多くの人が努力してもがいて手を伸ばしても掴めなかったものを最初から持っているような人や、追いかけることも難しいような速度でその道を走り続けられる人が現れたとして。周囲はその人を自分たちと同じ存在としてすぐ受け入れられるのかなって考えたら、わたしには難しいかもしれないと思ったんです。だって自分や周りがその人と同じだったらそれは天才じゃなくない!? そういう意味では才能に愛された人の輝きって絶対的なようで、実は相対的なんだよなぁとも思うんです。凡才がいるからこそ天才は生まれるわけで、もっと極端に言ってしまえば周囲から突出してこそ天才だから、創作の場ではその天才性を引き立たせるオプションとして孤独をつけたりするじゃないですか。

 それなのに、それなのにですよ。『Endless SHOCK』の世界では、コウイチの類まれなる才能を皆が認めていて、彼の天才性は共通認識として何度も語られるのに、コウイチ最初から全くもって孤独じゃないんですよ。じゃあこの話はコウイチのどこを成長させるんだ!? ってなるじゃん!?!? 普通はさ、いや普通っていう言葉あんまりよくないけどさ、孤独に沈む天才があれやこれやして真の仲間やライバルを手に入れるという粗筋を辿ることが多いじゃん!! なのにコウイチは仲間と一緒に楽しそうに笑っていて、コウイチについていけないと嘆く凡人(ごめんね)ポジションのショウリが孤立してるんですよ。なんで!!!!!!!!!!??????????????

 コウイチだた一人にスポットライトを当てた、孤独や仲間といった要素はあくまでもエッセンス扱いの、彼だけの栄光の物語なら分かるんです。ライバルであるショウリは物語の障害でしかなく、コウイチが乗り越えるべきものとして役割を置かれているなら納まりがいいんですけど、どうやらそんな単純な構図ではない様相だし……??
 そしてコウイチの天才性、特異性と言い換えてもいいかもしれませんが、それが周囲に受け入れられているということは、『Endless SHOCK』という世界においてコウイチの思想は「是」なのかと思ったらどうやらそうでもないようで……??
 というのも、あれだけ強い信念で「Show must go on」を掲げていたコウイチがステージを去ることを物語のラストに据えている(ライバルの行動による結果を乗り越えられてない)から、コウイチのサクセスストーリーとして見たら悲劇になっちゃう。悲劇でいいの? あんなに華々しく、切なさと哀しさはあるものの晴れやかなショーで幕を下ろしたステージ悲劇でいいの???? 明るいな!!!!

 む、難しい……でもブロードウェイとシェイクスピアの取り入れ方からして新しさと伝統・王道をどちらも大切にしたいという間口の広い作品姿勢なのだと思うし、ここはシェイクスピアらしく(?)意図的に多様な解釈が出来る舞台にしてあるって受け止め方でいいのかな?? じゃあしちゃおうじゃないですか ”ぼくのかんがえたさいきょうエンタメ” 的な解釈~~~~!!!!(『Eternal』を観たら全部ひっくり返るかもしれないけど好き勝手言います)

 もうね、人間の話というよりは神話としか思えんかったよ。コウイチというショーエンタメの神様とその世界で生きることを決めた人類の話。そしたら全部合点がいったのでもう個人的に神殺しの物語だと思うことにします。すぐ神話にしてすみません。本当にすみません。でも神っぽいじゃんコウイチ!? 日本創世神話みたいな格好で空飛ぶじゃん!?!? コウイチが地面に刀刺してショウリが抜くとこ、モチーフとして繰り返されるけどそのまんま神話じゃん!?(そのまんま神話ではない)
 前項でも少し触れましたが、ショウリがあまりにもライバル然としていない。コウイチと対等じゃない。これはショウリというか佐藤勝利さんのせい(悪い意味ではない)だと思うんだけど、コウイチへの憧憬が前面に出過ぎていて、ショーを止めようとしたときも蹴落としてやろうというギラギラした意思より「鎮まりたまえ!」的なニュアンスを感じてしまったんですよね……! 能力的にも立場的にも精神的にも追い詰められてどうしようもなくなって魔が差した行為、というよりは、どんどん速く大きく強くなっていくコウイチが起こす流れに追いつけなくなって仕方なく楔を打った、というイメージでした。わたしが佐藤さんにゴリゴリ感情移入して見ちゃってるだけかもしれない。でも少なくとも事故の瞬間、ショウリは冷静だったと思うんだ……荒ぶるコウイチを止めるためにはああするしかなかったんだ……!
 でもだってそう思わないとハムレットとリチャード3世を引用されたショウリが浮かばれないじゃん全部バッドエンドのドドドド悲劇じゃん!? いやショウリのやったことはそういう結末を呼び起こすものだと分かってるけどでも『SHOCK』は悲劇じゃないじゃん!?!? あれやっぱり悲劇なの!?!?!?

3. まとめ

 すごく真面目に観ていたんですよ。配信をね、とっても真面目かつ真剣に観ていたんです。用意していたスコーンも食べずに画面を注視して集中していたのですが、どうしても思ってしまうのよ。
「佐藤勝利さんお顔がかわいい」と。

 かなりの頻度であったと思うんです、佐藤さんのお顔がアップになる場面が。少しコミカルなシーンだったり、歌唱やダンスのシーンだったり、まあいろいろあったんですけど、本当にお顔がかわいいんですよ。もうえれえかわいいの。冗談抜きでちょっとびっくりするくらいかわいい。前述ような場面はまだいいんですが、シリアス展開のときとか、言い争ったり悲痛な表情を浮かべているときとか、鑑賞に支障が出るレベルでお顔がかわいくて…………。ハラハラしながらストーリーを見守ってるのに画面全体にバーン! とあのお顔出されると「コウイチ……ショウリ……どうなっちゃうの…アッ オカオ ガ カワイイ!」みたいな……。階段落ちのシーンだって、まさかあんな展開だとは思ってもみなかったからすごい驚いて光一くんの演技にも圧倒されてわー! うわーーーーー!!!!! 大変だ!!!!!! みたいになってたのに、落ちたコウイチを覗き込むショウリがアップになった途端に「オカオ カワイイ!!!!」になっちゃって……リアル舞台のときは佐藤さんの顔を見るタイミングを自分で決められたからよかったんですけど、映像で強制的に提供されるとちょっと大変なことになりますね……本当に身勝手だと思うんですが「今はちがうんだ、違う、待ってまだ佐藤さんの顔映さないでください!」みたいなスタンスになってしまう……要修行です。

 光一さんがどんな思いで『SHOCK』という舞台に立ち続けておられるのか分からないし、佐藤さんがどんな思いで舞台に挑戦しているのかも分からないですけど、直近のインタビュー等を拝見していると、お二人とも並々ならぬ覚悟を持って臨まれていることが推察出来ます。特に日本のエンタメへの愛、ご自身が「ジャニーズ」であるという帰属意識と矜持を感じたような気がします。違うかもしれない。でもわたしはとってもとっても楽しませてもらったし、心揺さぶられる舞台でした。本編を配信するとご判断くださった光一さんには感謝してもしきれません。本当に観ることが出来てよかったです。これは寿命のびるわ……!!!! あと100年くらい元気に生きられそうです! ボロッボロに泣いたし放心状態でしたけども!!!!

 初見の途中、あまりにもしんどすぎて、ショウリのした刀のすり替えが未必の故意(もしかしたら人が死んじゃうかもしれないけどそれでもいっか! 的な発想)と判断出来るかどうか、刑法の講義とかで『Endless SHOCK』を扱ってもいいのにな~とか余計なことを考えていました……まあ本物の刀だと分かった上で振ってるので過失にするのは難しいと思うが……すごいどうでもいいな……!

 『Eternal』を見たら印象が変わりそうだったので、取り急ぎの所感メモnoteでした! 初帝劇楽しんできます!!!!