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ローマ帝国興亡史 - 序章

En Romanos, rerum dominos, gentemque togatam!
彼らを見よ。世界の征服者、トーガを身に纏ったローマ人を!
ウェルギリウスによる叙事詩「アエネーイス」より

ローマ帝国のなりたち

シド星に生まれたパンゲア大陸の東端、塩と小麦に恵まれた肥沃な平原にローマ帝国は成立しました。塩は高級資源の一つで食料、生産、金貨のすべてを賄うことができ、数ある資源の中でも最強と目されるものです。出鼻は上々と言えるでしょう。

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各国の位置関係は上のようになっていました。ローマは東端、イタリア半島よろしくせり出した土地を得ました。首都ローマの後背地は十分ですが、一方でイギリス / EG とお互いの首都が隣りあってしまいました。

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EGは過去のセッションでも不実のアルビオンさながらの狡猾な外交術を繰り出すプレイヤーで、筆者ともたびたび対峙してきました。そんな因縁の相手が隣国とあっては今後のローマにとって大きな懸念になります。最低限身を守るだけの軍備は整えておくこととしました。(後にこのことが却ってエスカレーションを呼ぶこととなりましたが)

ローマ「ロンドンの東、ジャングル地帯に都市を建てたいが構わないか」
イギリス「構わない。どうせローマが隣にいる時点で今回勝ちの目は薄いしどのみちイギリスは海洋に進出する」

Civ5の海洋タイルは出力に乏しく、港湾都市は運用が難しいのですが…ともかく土地を囲い込めばこちらのものですし、構わず頂くことにしました。Civ5は重農主義的デザインのゲームなので地物の出力と人口が全てです。そんなわけでローマ帝国は100ターン頃までに5つの都市を建て、足元を固めることができました。

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研究はセオリー通り図書館、NC優先で進め、社会制度は解放コンプリートを目指しました。敢えて伝統を選ばなかったのは「飛車角落ち」的な意図と、イギリスという眼前の仮想敵に対抗するため目先のブーストを優先したからでした。(EGが名誉を選んだのも見えていたので) ちなみに途中何度か遺産建設を目論見ましたがどれも失敗し、チチェン・イツァだけは解放コンプリートから得た大技術者で建てました。

各国のあらまし

ハウスルールで50ターンまではプレイヤー間の戦争行為が禁止されていることと、序盤は都市を攻めるより都市を建てた方が得なので古典期までは外交関係に大きな動きはありませんでした。100ターンも経つと各国とも特色が現れ、少しずつ利害関係が生まれてきます。

イギリス (プレイヤー: EG)

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ローマ帝国唯一の隣国であり、操作プレイヤーは因縁の相手です。領土は南からローマ、西からケルトに圧迫されて広大とは言えませんが、既に一定数の海軍を持つらしく決して侮れません。またローマの財政はイギリスとの陸上・海上交易路に依存しきっており、国内市場が育つまでかの国と争うことはできないでしょう。仮想敵ではありますが現状でこちらに領土的野心はなく、出来れば争わずにいきたいものです。

首都ロンドンでは「天井」教が信じられていますが、後述の「イギリスですけど…」に圧されて思うように広められていませんでした。

ケルト (プレイヤー: TM)

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大陸中ほどに位置する宗教国家です。かの国で創始された「イギリスですけど…」教は大陸の半分近くで信じられており、多くの利益をもたらしています。国土は険しい山々や鬱蒼とした森に囲まれ、開発は難航しているようでした。また外海に面した都市を得られず、港湾都市はかの国の悲願でした。

イギリス・日本とのデルタ地帯に要衝都市「函館」を建設しており、何らかの領土問題を抱えていそうです。

マヤ (プレイヤー: VI)

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大陸南西に本拠を構える、こちらも宗教国家です。ストーンヘンジ、ボロブドゥールなど複数の宗教系遺産を有していますが土地資源に恵まれず技術開発は最下位、国民は食うや食わずやの生活を強いられているようでした。ローマ帝国とは領土も離れており、資源のやりとりが多少ある程度の関係でした。

日本 (プレイヤー: TK)

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大陸北東部、資源と丘陵に恵まれた好立地の国です。操作プレイヤーは今回のセッション参加のためCiv5を入手したTKで、勝利レースでは大穴と言えるでしょう。外交的に目立った動きはありませんが、初心者ゆえ誤って万里の長城を建ててしまい、ことさら外交的ワイルドカードの位置を欲しいままにしています。戦争向きの強力なUAを持っており、周囲に上手く利用されないか目を配る必要がありそうです。

オランダ (プレイヤー: KF)

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肥沃な草原平野と銀鉱を有し、大陸西の雄と呼ぶにふさわしい帝国です。GDP、農業生産高ともに世界一を誇り、空中庭園やアルテミス神殿、ノートルダム等強力な遺産も複数所有して他国から頭ひとつ抜けた発展を遂げています。技術開発レースもトップを走っており、早急に対処しなければ取り返しがつかなくなりそうです。

目下の課題はオランダでしょう。立地に恵まれ、強力な遺産を独占するオランダはそのまま放置しておけば技術で他を圧倒し、勝ち逃げを許してしまいかねません。各国と協力し、かの国に直接・間接的なダメージを与えることが必要と考えられました。さいわい世界はまだ古典期なのでローマの固有ユニット「レギオン」「投石器」が輝けそうです。これらの軍事ユニットを生産し、来るべきオランダ遠征に備えることとします。

元荒川事変

ローマがまっさきに取り掛かるべきは台頭しつつあるオランダに被害を与え、可能ならば再起不能にまで追い込むことです。イギリスやケルトが陰謀の糸を張り巡らせる前に自国と並び立つ国を失墜させてしまえば、早期にゲームを終わらせることも可能でしょう。

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すでに戦闘は始まっており、まずは日本を領土獲得のためとしてけしかけています。ローマもこれに追随する形で軍隊を派遣する予定でした。斥候が埼玉に流れる元荒川を偵察したところ、敵の主力は槍兵と複合弓のようでした。これならレギオンの敵ではありません。川に阻まれた地形を進むのは難儀ですが、ここが天王山です。日本が嫌がらせをしている間に遠征軍を生産し、ダッチ野郎に正義の鉄槌を下すのです。

日本「ユニット全滅した」

...日本は攻撃隊として剣士を3ユニット、それだけしか用意しておらず、これらが撃破された時点で軍隊が全滅したとのことでした。耳を疑うような話でしたが、上のSSに映る剣士がオランダ侵略軍の全戦力だったということです。いくら初心者とはいえもう少し...いや、今以上のことを求めるのは酷でしょう。

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さしあたり戦闘が起きることはなくなってしまったのでオランダとローマ・日本はいったん白紙和平することとしました。なお講話の席でオランダは

「もしこのまま一之江に向かえば落とせてしまうのでは...?」

とすら発言しましたが、さすがにそれは国際社会が看過できないので却下。即座にローマはケルト、マヤと結託して反オランダ体制を固めていきます。

ローマ「日本ではオランダを止められないことがわかった。オランダの一人勝ちを止めるため、3国で連合軍を組まないか」
マヤ「同意。オランダ十字軍が必要」
ケルト「遠征軍を出してイギリス、ローマにお尻を刺されないかが怖い」

マヤは共同戦線自体が楽しみなようで乗り気でしたが、ケルトは自国の安全保障が先立つ心配でした。しかしこの時点でオランダ首都・埼玉の人口は10。肥沃な草原と空中庭園、今後は干拓地も解禁されることで更に伸びていくことが予想されます。そうなったとき、二度と元荒川を渡ることはできないでしょう。そうなる前に対処する必要があるのでここはなんとか説得したいところですが、

ケルト「オランダが喫緊の問題なのは理解した。でも今のケルトには遠征する余裕がないので今回は不干渉としたい」

というのが落とし所でした。ローマ軍が陸路でオランダに向かうため、国境開放の約束は取り付けたので良しとしましょう。次の戦争ではローマ、マヤで対処することになりそうです。引き続きレギオンを生産し、きたるべき大会戦に備えます。

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赤字を垂れ流しながら軍隊を生産するローマの図。
財政はこのあとすぐ交易と物々交換で建て直される。

日本がオランダ攻めに失敗し、世界は共同して覇権国に挑む運びとなりました。エスカレーションは加速し、次の戦争に向けて着実に軍靴の音が聞こえてきます。しかしそれすら次なるちゃぶ台返しの前座でしかありませんでした。

次回に続く