【11月6日】

 さてさて、今日は積ん読を消化していくよ。


『リトルホーム、ラストサマー』。家族や友人とうまくいかず、居場所がないような空虚さを感じながら生きている若者たちが集う場所が、ある喫茶店。主人公はそこで出会った人々に影響されながら少しずつ前を向いて生きていけるようになる、という話。

 これは長編読んでるみたいな、濃厚な読後感がすごい。今までの「長編にできるプロットだなー」というのとはまた違う。作り込まれたシーンが、ぎっしり、狂いなく詰め込まれてる。梅雨が明けたばかりの夏の晴れ間みたいな、ジメジメした空気をさっと乾かすような読後感だった。


『みんな釘のせいだ』。とつぜん釘の声が聞こえるようになった和釘職人の話。その声は自分にしか聞こえないし、釘に囲まれてるとうるさくて仕方ないからノイローゼ気味。訳あって同居してる姉にも変に思われるし……でも、最終的には釘の声が聞けたおかげで家族の絆が深まる。

 釘の天真爛漫な喋りとか、普通に釘と話し始めて姉と会話が噛み合わないとか、コント的に小気味よく読み進められるし、最後にひと山持ってきてほっこりした読後感に持ってくのも良かった。物語としてよくできてる。ドラマにしたら面白そうだな〜。


『ハコニワ』。両親が離婚して母親に引き取られた双子、奔放な母親、無関心な(元)父親。いびつな家族の物語。双子が14歳って多感な時に、母親がまさかの妊娠。メチャクチャになりそうな元家族をひょうひょうと繋いでいたのは(元)父親。

 すごくサスペンスチック。ドロドロして、救いがあるようでなくて、でも主人公の幼さがかろうじて光になっているような……いい意味で読後感が重い。エンディングの「うわー、まじかー」というインパクトのデカさ。


『BOX』。場末のライブハウスからのし上がったバンドマンの、起伏に満ちた人生を描いた作品。ギターに魅入られた男の生き様は、次第に「セックス・ドラッグ・ロックンロール」を踏襲していく。

 写実的で、だからこそやるせない。熱いから切ない。ロックンロールって、ただノれればいいってもんじゃないんだよね。ロックのほの暗い側面をこれでもかってくらい詰め込んだ作品。あと、とにかく描写が精密。とことんリアルに、淡々と世界が回っていく。ライブ後のじとっとした質感、的な。


 読んでたら遅くなっちゃったし、今日はこんなもんで。まあ、明日休講だから。たまには夜更かししながら本読むのもいいものですな。

 小説読んだ直後だけ、急に語彙力増える気がするw


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?