2週間前からお付き合いしている彼氏の経歴をほとんど知らない。

知っているのは、本名、年齢、血液型、高校、大学、出身地。彼自身も、わたしの情報は同じようなことしか知らない。

そして、どんな会社に勤めているかは、ほとんど分かっていない。

社会人になってから出会いの場に行くと、男性の勤め先、職業など、必ず会話になっていた。

わたしが相手を選ぶ基準として、有名企業、上場企業、安定した職業に就いている人が、マストだったのだろう。

それらを知ったところで何を得たかったのだろうか。大企業に認められる人だから、きっと優秀な人なのだろうと、先入観で判断していたのだろう。

今考えたらよくわからない。しかしわたしは、相手の肩書きや経歴で人を判断していたに違いない。

付き合って1周間経ったとき、彼氏に「わたしのことって何を知ってる？」と聞いたら、「ずんだ餅が好きで、おじいちゃん子だよね。」と言われた。

間違っていないが、経歴を言われると思ったわたしは驚き、そして彼のことを愛おしく思った。

わたしはきっと、彼にわたし自身の経歴の質問をして、彼の経歴を聞き出したかったのだ。彼の方が、よっぽど人となりを見ている。

そして彼が、どんな学生生活を送ってきたか、どんな漫画が好きか、家族とどう関わっているかなどを知ったことは、想像以上に彼のことを知り始めているのだと理解した。

そうか、一緒にいるんだったら、肩書や経歴は置いて、今を楽しめる人がいい。そのうえ、恋人同士だから楽しめることを共にしたい。彼と出会ってそう思った。

次会ったときはどんなことを思わせてくれるのだろう。彼自身のこと、自然にゆっくりと、知っていきたい。