#12 米ブランド「Tide(P&G)」をマーケティングトレース(企業戦略分析)
今回は、アメリカでのNo.1洗濯用洗剤ブランド「Tide」についてのマーケティングトレースを行いました。
「Tide」ってどんなブランド?
「Tide」はP&Gが展開しているアメリカの洗濯用洗剤ブランドです。1946年に発売され、約70年の歴史を持つ世界一売れている洗剤ブランドで、世界市場の14.3%を占めると推定されています。
PEST分析:外部要因分析
①世界的にも、米国でも拡大している洗剤市場(Economy)
世界的には、途上国の洗濯機導入が進んでいることが市場拡大に大きく影響していると言われています。米国においての市場規模は$120billion/年(2019)で、2026年には$180billionに達すると試算されています。
②米国での洗濯機はドラム型が主流。外に干せないため乾燥機も必須(Society)
米国では家の中に洗濯機スペースが専用で洗面所と別に設けられていることが多く、洗濯機と乾燥機は別で置くことも珍しくありません(十分なスペースがあります)。また、洗濯物は基本的に外には干せない決まりなので、乾燥機で乾かすのが一般的です。あわせて、アメリカ人は体臭や汗の匂いのケアを気にする人も多いので、洗剤や柔軟剤にはかなり強めの香り付けが求められています。
③POD型洗剤の開発技術により、PODS型が主流に(Technology)
従来の粉末タイプやリキッドタイプから、洗剤と柔軟剤をカプセル状に詰めたPODSタイプが開発され、その手軽さから主流になりつつあります。
競合とポジショニング
業界競合(洗剤他社メーカー)
米国ではTideの他にもGainやPersilなど、いくつかのブランドがあります。Tideは幅広いラインナップで安定のクオリティを持っているので、他社はどこかに特化(主に強い洗浄力)して勝負しているように見えました。
価値競合
洗剤は基本的に生活必需品であり、洗濯の代わりになるもの(例:洗わなくて良い衣服や現状の洗濯以外の服の洗浄方法など)が現状ポピュラーではないため、価値競合はないものと考えました。
4P分析:マーケティングミックス
①Product(製品)
”Tide, the #1 Trusted Laundry Detergent Brand” のコピーがあらわすように、長年に渡り世界中で使われてきた高い製品力(洗浄力・ラインナップ・香り等)が強みです。
②Price(価格)
価格については他社と比較してもさほど大差はなく、価格勝負の市場ではないように感じました。
③Place(流通)
強いブランド力から、スーパーやドラッグストアのようなリテール店舗では最も大きな展開スペースを確保していて、どこでも簡単に買えるというのが大きな強みです。また、amazonなどECでも常に検索上位、SEOでもdetergentでは一番を獲得しています。
④Promotion(売り方)
ブランド力もさることながら、年に少なくとも3つは新製品を発売するという方針を掲げているようで、継続的に開発し続けることで高い品質を維持しているようです。
日本で展開するとしたら?
P&Gは日本で「アリエール」というオリジナルブランドを展開しており、Tideは展開していません。アメリカ人が評価する香り(日本人にとってはかなり強力)が日本人に好まれないことが想定されたり、そもそも日本の衣類は繊細なものが多くアメリカの衣類と性質が異なるため、単純な横展開には技術的ハードルも大きい(米国製品の良さを活かせない可能性が高い)のではないかと考えます。
次回は、アメリカとは様々な観点で事情が大きく異なりそうな、日本の洗剤市場とトップシェアブランドについて見てみたいと思います!
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