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自己確立とそれぞれのWell-Being - LITALICO研究所OPEN LAB#2 スカラーシップ生レポート

社会的マイノリティに関する「知」の共有と深化を目的とした、未来構想プログラム「LITALICO研究所OPEN LAB」

8月30日に第2回講義 「自己知」とウェルビーイング – からだが教えてくれたこと を開催しました。


以下では、同講義の「スカラーシップ生」によるレポートを掲載します。

OPEN LABスカラーシップ生とは
・障害や病気、経済的な困難さがあり、参加費のお支払いが難しい方
・本講義に対する学びの意欲が高く、明確な目的を持って参加できる方
を対象にした、公募・選抜制での参加枠による受講生です。スカラーシップ生は、同講義に無料で参加(遠方の場合は交通費を一定額まで支援)、講義終了後に「受講レポート」を執筆します。


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自己確立とそれぞれのWell-Being

以前より、ポジティブ心理学を通じてWell-Beingに関心があり、この度の受講に至りました。

私自身、営業職に従事している際、緊張性頭痛に悩まされ、Well-Beingとはいえない状態だったことがあります。その経験から、自身の感情・思考をないがしろにせず、どのように物事を捉え上手くコントロールしていくのかということに、大変興味があります。

そして、実現するためにはどのように心掛けを行うべきか、仕事においてもプライベートにおいても考える日々です。


今回の受講にてドミニクさん、木戸さん、岩本さんのお話を通して、意識の注ぎ方(選択的注意)による自己確立が、私達それぞれのWell-Beingに大きく影響していると改めて気が付きました。

それは大きく分けると、以下の3点からです。

① 障害・弊害を何と捉え、適切な距離を見出すのか
② ネガティブな経験を昇華し、各々の価値観で善い状態を創り出す
③ 主体(自己)を認識し、確立する

「① 障害・弊害を何と捉え、適切な距離を見出すのか」について、木戸さんの顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーとの付き合い方から、私自身の状況とどう折り合いをつけ、糸口を見つけ続けていくのかということに繋がりました。

現在、主人と1歳の娘とともに、滋賀に居を構えております。娘の育児に夫婦で取り組みながら、フリーランスでの仕事を発展させるために活動をしておりますが、地理的・時間的制約にアタマを悩ませることがあります。

これはきっと私だけでなく、子育て中のビジネスパーソンであれば、多くの方々が直面している事実です。

しかしながら、私自身がそれを仕事の弊害と捉えること、あるいは周囲からも捉えられると、私自身のWell-Beingは遠くなります。

「子育て中だから」「母親だから」という言葉は、まさしく木戸さんのおっしゃっていた「呪い」にあたると感じます。

「母親だから諦めなきゃいけない、子育て中だから我慢しなければならない」
と考えるのではなく、
「子育て中だから、母親だから何を調整すれば取り組めるのか。どういう協力があれば実現できるのか」
それをきちんと把握し、周りに表現していく必要を改めて認識しました。

事実にどう向き合い、自身の答えを出していくかで、Well-Beingへの道に繋がるかが決まると考えています。


この考えは、「② ネガティブな経験を昇華し、各々の価値観で善い状態を創り出す」にも関連します。

ドミニクさんの「Well-Being⇔Ill-Being」「東洋⇔西洋」の対比は、どちらの良し悪しではなく、双方に価値を見出す視点、あるいはどちらにも着目をする視点への転換、の重要性を示していると感じました。

表面的にはネガティブに捉えられる事項を、どのように昇華し、何に価値の選択をするのか、それは各自の思考によります。

私は新卒で入社した会社を、前述の体調不良もあり、結婚を機に退職しました。今はフリーランスにて、各々が自分らしく働くことでパフォーマンスを上げることに寄与すべく、講師として活動しています。

いまの仕事に誇りを持っていますが、結婚と主人の転勤のタイミングで正社員を辞めており、続けていれば…という想いを抱かないわけではありません。

定期的な収入や保障等だけを見れば、正直に言って羨ましい気持ちが湧いてきます。ただ、本当に自身も同じ状況になりたいのかと考えると、その感情のきっかけは、スタートし始めの仕事への不安や心配であることにたどり着きます。

働き方だけでなく物事には、ネガティブな要素が少なからずあります。自身の感情・思考・価値観にそぐわないとき、どうしても他方が良く見えがちで、そちらにばかり意識が取られてしまうことが多いです。

そういうときに必要なのは目を背けることではなく、一旦、ネガティブな要素や感情を正しく受け入れることです。

その行為は状況によって痛みが伴うこともありますし、私自身、まさしくいまがそのような状況ですが、嘆くのでもなく憂うのでもなく、受け入れるときが一番主体的に行動できる感覚を持てます。

ただ、①②の考えに至るには、何よりも「③主体(自己)を認識し、確立する」を基盤としておく必要があります。

岩本さんのお話にあった、「自己知」や他社との比較を可能にする「主体」がそれにあたると考えます。

情報が溢れる現代で、私達は外(環境・状況)と中(自分)の意識を切り分けることが難しくなっています。意識が外に向いてしまうことが、断然多いです。

そのため、本来ならより時間を割くべき、「自分の価値観は?自分の強みや志向はどこにあるのか?自分にとっての主体とは?」といった、自己を確立している要素に目を向ける機会が充分に取れません。

だからこそ、注意を内側に向ける選択をあえて行う必要があります。

何かWell-Beingを損なう事柄に出逢ったとき、ネガティブな感情に押し流されるのではなく、なぜそう感じるのか、自己認識や自己確立が出来ていれば、合理的に対策を見出せるはずです。

私のWell-Beingが低くなるのは、やはり他人と自身を比較したときです。先に挙げた「育児」や「仕事」において、他の状況と比べたとき、私の意識は外に向いてしまっているため、際限なく着地点を追い求めてしまい、結局は自責の念を抱くことに繋がります。

前述したとおり、情報過多の社会で意識を内側に向けるのは、容易いことではないと感じています。だからこそ、意識の注ぎ先を何にするのか選択するトレーニングが必要です。

自己認識からなる自己確立を、思考・行動の土台に出来たとき、私達はまたWell-Beingの状態になれると考えています。


以上が、今回の受講によって私が考え得た内容です。

私自身、そのような注意を行えるよう日々練習しています。

点で見ると、Well-Beingとはいえないことも多いものの、線で見たときに総じてWell-Beingであるといえるよう、そのときそのときでチューニングしているイメージです。

今回は自身のWell-Beingに関してのみ思案を巡らせましたが、他者のWell-Beingにどのように寄与できるのか、ということも今後より一層取り組んでいきたいテーマです。

最後に、今回「スカラーシップ枠」を活用して受講できましたこと、場と機会を提供してくださるのに関わった皆様に、心より御礼申し上げます。

情報に触れる機会を得ることに関して、育児中・地方住まいということは弊害になり得ることもあり、残念な思いをすることが多いものの、今回はこのような機会を得られたことには感謝しかありません。

どのような環境や状況においても学べるプラットフォームが、さらに増えることも、Well-Beingと同様、私が願ってやまないアイディアです。

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LITALICO研究所OPEN LAB#2 スカラーシップ生
溝上 真璃(みぞかみ まり)

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プロフィール:
・東京都生まれ、滋賀県在住
・ポジティブ心理学プラクショナー/セミナー・研修講師
・出産を機に、会社員としての経験を活かし、転身
・「ポジティブ心理学」や「Well-Being」のアイディアを、ビジネス面でより浸透させるため、
誰もがいつでもBeingを追求できる機会の提供を皮切りに、チームパフォーマンスの向上をサポート
・慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻 卒業

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