米アマゾン1位、生理用品D2Cスタートアップ「ラエル」が革命を起こすまで

こんにちは。ベンチャーキャピタリストのマリアです。

今回は、米アマゾンで一番売れた生理用ナプキン。販売開始1年にして2億の売上、今年はさらに急成長し売上見込みが50億円という、革命的なD2C生理用品ブランド「ラエル (Rael)」を生み出したD2Cスタートアップについてシェアしたいと思います。

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●2018年11月、既存投資家含める著名投資家から20億円の資金調達

D2Cスタートアップ「ラエル(Rael)」は、去年の11月にフォロー投資家を含め、著名投資家から約20億円規模の資金を調達しました。投資家は既存株主のSoftbank Venturesの他、アメリカの1000億円で買収されたD2CスタートアップDollar Shave Clubの初期投資家であるPritzker Group、BAM Venturesなどが含まれます。

BAM VenturesのBrian Leeは、今回の投資に関して下記の様にコメントしました。


「我々は、消費者の真の代弁者となり、大きな反響を起こすポテンシャルのあるブランドを立ち上げられる創業者を探していました。全世界の女性に、安全で高い品質の女性用品を提供するというラエルのミッションに伴走する事が出来て嬉しいです。」


ジェシカ・アルバと共同創業したThe Honest Companyのファウンダーでもある彼は、アメリカの有望なブランド投資を率いる投資家として有名な人物とのことです。

今回のニュースに関して、一人のラエルユーザーとしてというよりも、従来であればニッチ領域だから、と一蹴されそうなこの領域に、韓国のVCも注目し始めたという点に興味を持ちました。

個人的には、二つの大きな流れから可能となった、という仮説を持っています。

①Amazonという巨大かつ消費者の意見が反映されるプラットフォームの存在
 日常用品は、従来のスーパーやドラッグストアに誰がものを置いて、選ばれるかというリアルの流通網とブランディングの勝負から本当に良い商品かどうか他の人のレビューを読み、アマゾンから注文する。という大きな流れに変わってきています。
 なのでリアルな商品の競合優位性は、流通網やブランディングよりも本当の製品として良い価値を提供できたか、ユーザーの体験と評価に影響されるといっても過言ではないでしょう。

②女性の社会進出に伴うニーズの増加
女性の場合、生理痛やPMSが酷い時には、月の一週間以上体調が悪い中仕事をしないといけません。そして経験上、実際身体に悪い生理用品を使った時の方が痛みが酷いかったです。
お家での仕事だったら、辛い時横になりつつ仕事が出来るけど会社ではそうにもいかない。少しでも生理に伴う辛い現象を最小限に止めることは、仕事を頑張る女性にとっては死活問題に関わります。仮に生理痛が重くない人でも、最近ではファミニンケアに気を遣う人は少なくありません。
その様な今まで解決されていなかった、隠れたユーザーペインを解決する為に、女性が自分のお金を使って、従来の物よりもより良い製品を選ぶことになるのは、当たり前の流れの来るべき現象の様に感じます。

今回は、その大きな流れを先読みし、「健康な製品」という現象を作り上げている、米アマゾンで1位に輝いたスタータアップ「ラエル」について立ち上げから今まで調べてまとめてみました。

●アメリカで活躍していた韓国人女性3人のチーム

ラエルは、2016年アメリカのカリフォルニアを拠点に活躍していた韓国人3人でスタートしたスタートアップです。
フリーランス記者として活動していた、ベストセラー作家でもあるアン・アネス氏、
カリフォルニアのデザイン事務所で活躍していたデザイナーのウォン・ビンナ氏、
7年間ディズニーでスターウォーズなどの映画配給プロジェクトを仕切っていたペク・ヤンヒ氏
という3名の女性が、「女性の為の製品は多いけど、安全なプロダクトは少ない。本当に安全な製品を提供したい」と意気投合したのが起業のきっかけでした。

●「安全性の高い、本当に良い製品を」というこだわり
3人は、一番初めに市場リサーチから始めました。色んな製品をAmazonで販売し、テストしてみたのです。
下着、綿の生理用品、ナプキンなどを韓国から卸し、アメリカで一番使われているAmazonという流通チャネルに流しました。
各製品別の売れるスピード、口コミを綿密にチェック、1年間お互いの家をオフィスとしてリサーチを続けました。
その結果、一番反響があったのは生理用ナプキンでした。高品質の生理用品ブランドが数少ないアメリカで韓国産の製品が人気だったのです。

ウォン氏は、「従来のメーカーは原価を考え、オーガニックどころか、廃棄タイヤや発泡スチロールに使う成分を綿の様に使ったりする。その様な生理用ナプキンは、綿ではなくプラスチックです。私もその事実を知らなかった時は普通に使っていて、アレルギーや肌荒れに悩まされてました。そういった場合、オーガニックコットン製品を使う事で治る人が多く、例えばコーヒーに使う200円分を節約して、紙ナプキンに使って自分の体をより労われるなら、と思いました」

アメリカ人の健康に対する意識は高まっているのに、ナプキンの安全性はまだまだという現状と、Amazonという強力なオンラインプラットフォームを活用したら、勝算があると考えたのです。その予想は的中し、ラエルは革命を起こしました。
コットンを使った優れたつかい心地と高い安全性で、オーガニック生理用ナプキンカテゴリーで1位となったのです。
最近では、全ての生理用ナプキンカテゴリーで1位を獲得、P&Gの様な大手を抜かすという大きな成果を上げました。

●自社製品の立ち上げからアマゾン1位まで
自社の製品を作るまでの過程は、簡単ではありませんでした。一番苦戦したのは工場探し。

「最初は、オーガニック製品が多いヨーロッパで調べてました。でも工場が古く、設備もあまり良くなかった。中国は、素材の信頼感に欠けていた。それで最終的に、韓国の工場に決めました。色んな工場を周り、施設が綺麗で、オーガニック認定された綿花(コットン)をアメリカのテキサスから輸入する所で信頼できました。やろうとしている事に共感してもらい、初期費用も低くできました。」


工場が決まってからは、OEM式で製品を生産、5~6回の改善を経て完成しました。その間に国際オーガニック認定のOCS(organic content standard)から認定マークも取得しました。OCSはオーガニック素材含有量を認定するもので、タネの段階から、遺伝子組み替え、農薬や化学物質を使用しているのかを調査されます。OCSマークを取得する為には、3年以上農薬を使っていない畑で栽培し、化学肥料を使わないという厳しい基準を満たさなければならないのです。 他にも、倉庫、オフィスの衛生面でも合格点を取らないといけない。ラエルの製品は全ての基準を満たし、OCS 100 STANDARDマークを取得しました。全ての準備を終えるまで6ヶ月。2017年の6月からアマゾンで販売を開始しました。

「どのマーケティングよりも、安全性が大事だと思いました。化学物質まみれのナプキンではなく、安心して使えるものを作りたかったのです。オーガニックコットンを使用した生理用ナプキン製品は最近たくさん出てきているけれど、私たちほど厳しい基準を満たし、認定マークを取得した所は非常に少ないです。」

●今後の展開
2018年6月に韓国にも支店を出したラエルは、日本、インドネシアにも進出を控えています。オンライン販売を基盤に、全世界のオフライン流通網も確保している戦略とのこと。

「私たちは生理用品だけでなく、本当に身体の為のインナービューティー製品を展開する事で、ラエルを使う女性たちに健康なライフスタイルと自信を持ってもらいたい。様々な文化から得た高いダイバーシティーへの感受性を持つ創業チームは、ラエルが全世界の女性にポジティブな影響を与えたいと思っています。」

参考URL:
http://news.hankyung.com/article/2018110861481
http://www.sisajournal-e.com/news/articleView.html?idxno=193749
https://platum.kr/archives/110261
http://www.consumerwide.com/news/articleView.html?idxno=32505
https://www.prnewswire.com/news-releases/amazons-best-selling-feminine-care-startup-rael-raises-17-5m-in-series-a-funding-300746610.html

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Maria

ベンチャー企業に投資をするファンドで働いてます。Mariaです。資金的支援と経営支援でイノベーターの背中を押すことで、人類を前進させたい、文明と人類の課題の解決に貢献したいと思っている、至って普通のOLです。

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