短編小説 恋草


僕に初めてできた恋人はアメリカ人で、それはそれは何にでも白黒はっきりとつけたい女性だった。

「もし良かったら、今週末一緒に映画を観に行かない?」

と誘うと、大笑いして、

「あなたは、もっとはっきりと、言うべき。

君は今週末、僕と一緒に映画に行くべきだ、と。」

こそばゆいぶっきらぼうな言いまわしの中に、どこか強く親しみを感じ、僕は微笑んだ。

僕らは急速に距離を縮めたけれど、それからも事あるごとに、僕が決めきれない、どっちつかずな態度を取ると、

"YES,or NO?"

と、腰に手をあてて茶目っ気たっぷりに催促してくた彼女の姿を、僕は忘れないだろう。

僕らは、たくさんぶつかり合い、そしてたくさん愛し合いもした。

彼女の意思の強さに僕はぐっと惹かれたし、

彼女は自分なりに、僕の持つ曖昧さを理解しようとしてくれているようだった。

彼女が国に帰らなければならない時、目に涙をいっぱいためてこう言った。

「アメリカに会いに来てくれる?」

斜めがかった彼女の灰色のマフラーを直してあげながら僕は言った。

「もちろん、行くよ。」

夜行便で、窓の外は暗く銀色の雪さえも降りそそいでいた。

彼女が飛び立った後、僕はなぜかカフェラテが飲みたくなった。

未来がどうなっていくのかは、誰にも分からない。

白黒つけられない答えをそっと抱きしめるしかなくて、僕は、甘苦く飲み干した。

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