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不思議がたくさん詰まった子供部屋~GOOD NIGHT MOON by Margaret Wise Brown~


リトル・スマーティ・パンツからうさぎさん(およそ0歳)コースの1月にお届けする絵本は「Goodnight Moon」 by Margaret Wise Brown, illustrated by Clement Hurdです。

1943年に発売されて以来2017年時点で累計4800万部も売れている超ロングセラーの作品です。National Education Associationはこの本を「Teachers' Top 100 Books for Children」に選びました。また、絵本にとどまらず、アニメ化、ミュジーカル化などもされ、長くにわたり愛されている作品です。著者のMargaret Wise Brownは、42歳という若さで亡くなっていますが、それまでに100冊以上の作品を生み出しています。


http://littlesmartpantsbook.com

あらすじ

緑の部屋でベットに横になっている子ウサギが、眠りにつくまでの儀式なのでしょう風船や時計や、ネズミや、ミトンやかけてある絵や、テーブルの上の櫛やマッシュ、アームチェアのおばあさんに「Good Night」を順に伝えます。「Good Night」を伝えると同時に部屋はどんどん暗くなり、最後には星や空気や音におやすみなさいを伝えると、真っ暗な部屋にトイハウスの光と月と星が輝いています。

こちらの絵本の英語での読み方については、下記Susan Sarandonのナレーションで語られるYotubeをご参考ください。HBOでも映像化されています。
https://www.youtube.com/watch?v=1ZTnwKLKVhc

読み聞かせのポイントについては以下をご参考ください。

(1)細やかでミステリアスな描写

部屋に小さな時計がおかれているのですが、それをよく見ると、このお話は、夜7時に始まり、夜8時10分に終わります。よくみないとわかりませんが、見開き事に10分進み、部屋も暗くなっていきます。

壁には特徴のある絵画が飾られています。1つ目は、牛が三日月を飛び越えている絵です。これはご存じ方も多いかもしれませんが、マザーグースの「Hey Diddle Diddle」という英語の動揺にでてくるシーンです。

2つ目は、3匹の熊が椅子に座っている絵画です。こちらも英国の昔話の「Three Bears」「Goldilocks and the Three Bears」に登場する熊たちのシーンです。ご存じの方も多いと思いますが、お父さん、お母さん、息子と形のことなる椅子が登場するお話ですね。

3つ目は、姉妹絵本である、「Runaway Bunny」のワンシーンであるお母さんから逃げ出したい子供が、魚になるのですが、それをお母さんが人参で釣りする空想上のシーンです。これは本棚の上に飾られています。

今でいうパロディのような昔話の誰もが知っているワンシーンをこういう形でもってきたり、自分の作品の一場面を登場させるのは、1943年の作品としては珍しいですし、とてもセンスがいいですよね。

もっとも不思議なのは、この部屋がとても子供部屋らしくないということでしょうか。子供部屋らしい風船やトイハウスや人形はあるものの、ベット下の豹のカーペットや黒い電話、絵画、暖炉など少し子供部屋として違和感あります。
3~4歳以降のお子様に読み聞かせをされる際にはぜひ、こういう細かな描写についても説明したり、時には話を脱線させてもよいかもしれませんね。

(2)やや強引に?韻を聞かせた描写

この本は、実のところ韻を利かせることを優先したのではないかと思えるほど、美しい韻のオンパレードです。だからこそベットタイムストーリーとして聞いていて、心地よく、リラックスし、眠りにつくこができるのでしょう。

特に部屋の様子を描写した以下のところ、は韻を踏み続けています。

And two little kittens (二匹の小さな子猫)
And a pair of mittens  (二組の手袋)

And a little toy house (小さなトイハウス)
And a young mouse (若いネズミ)

And a comb and a brush and a bowl full of mush (くしとブラシと、ボールいっぱいのマッシュ)
And a quiet old lady who was whispering “hush” (しっ、とささやく静かな老女)

でも少し??と思いませんか?どうして寝る前のベットサイドにあたたかなマッシュ(コーンミールをクリーム上にしたスイート)が置かれるのでしょう?これは“burush”, “mush”, “hush”という韻を踏むためだと思いますが、やや強引ですよね(笑)
でも繰り返しますが、このおかげでこの絵本は聞いていて心地がよいのでしょう。
なので読み聞かせをされる際にもぜひ、少し落ち着いた声で、ゆったりと読み聞かせてあげてくださいね。

(3)海外におけるお休みの習慣

この絵本からわかるのは、いろんなものに「Good Night」と伝えながら眠りにつくというのは、一種の伝統的な眠りの儀式なのではないかと思います。つまり、日本のように母親が横について眠りにつかせるわけではなく、子供が一人で大きなベットで、しかも部屋にぽつんといる中で眠りにつくということです。どちらの方法がよいということではなく、日本とアメリカ(欧州含め)では、ずいぶん異なるという文化の違いに気づかされますよね。
小さな月齢のお子様は難しいかもしれませんが、少し大きくなったお子様には、この絵本のようにいろんなものにおやすみなさい、を伝えて寝るという習慣を作られてもよいですね。

お子様との読み聞かせの時間がよりよいものになりますように。

Let’s try reading!


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