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四の五の

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 仕事終わりの飲みの後、もう四の五の言わないと決めて、「今日電話かけても良いですか?」と言って自らの逃げ道をなくしたはずだったのに、結局最寄り駅の2駅くらい手前で降りちゃって、なんて言おうかをすごく考えながらメモ帳に書き出してみたりして、翌日見たそれは穴があったら入りたいくらいで本当に不誠実だったけど、その言い訳をしたくなる気持ちを抑えるのに精一杯だった。

 まだ勘違いの可能性があるんじゃないかってめちゃくちゃ考えた。

 電話をかけたら、バイト中と同じ感じで雑談が始まって、これなら逃げれるんじゃないかと思ってしまった。やっぱ今日じゃなかったかもとか思いながら、でももうあとがない気がしたから、そのうち話題を変えないといけなくて、舵を取らないといけなくて、「言ったことも言われたこともないこと」を言うには自分にはやっぱり語彙力が足りてなかった。

 やっとの思いで口から絞り出した。

 「意外と電話してくるの早かったですね🤭」みたいなこと言われているうちに、別に不安に思うことしかなかった。自分は「やらないで後悔するよりやって後悔した方がいい」みたいな論に納得していないので、いざ「やって後悔する」を選ぶとどういう頭の使い方をして良いのか分からなくて、「こういう時ってどうしてたら良いんでしょう、どんなふうに話したら良いんですかねぇ」って言ってた。でもそれも本音なんです。


 自分の家からじゃ絶対電話をかけれなかった。またも雨がぱらつく中の河川敷じゃないと、無理だった。
 河川敷を出るとき、「電話って切った方がいいですよね?」と言ってしまった。恋人に「なんでですかー」とか言わせてしまった。


 まだ自分には「このまま電話繋いでてもいいですか?」が言えない。




#405  四の五の

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