渡りのバイター#24
美食倶楽部は180度方向転換

「美味しんぼ」がまだ美味しいと読めない頃から
「みみしんぼ」のファンでした。
美味しんぼで料亭の世界を学び、
「ミスター味っ子」でイタリアンを知りました。
そして、「料理の鉄人」でラーメン、餃子以外の中華料理を知ったのです。

私が小学生の頃は家にオリーブオイルなんて洒落たものはなかったし、
パスタといえばミートソースかナポリタンだったのです。そしてそれはスパゲッティと呼ばれていました。笑

そんな昭和生まれの私が、先日とある高級ホテルの懐石料理の洗い場の仕事に行ってきました。

仕事自体はいつもの洗い場と同じです。
高級な器があるので取り扱いに注意が求められることと、手洗いの器がある事以外は同じです。

限られたお客様に良いサービスを提供するお店なので忙しさは無く、ゆっくり丁寧にお仕事できました。

しかし和食の懐石料理…私の脳裏にはかの海原雄山が浮かびます。
厳しい修行の世界、ピリピリした空気…
しばらくは無心に空気になることに努め
自分の仕事に集中して黙々と行うことに徹します。

ん？ランニング帰りなの？

少し落ち着くと料理長と若い板前さんが、
笑いながら、解散した某アイドル系パンクバンドの話でひと盛り上がり。
めっちゃ仲良いいやん。

パワハラまがいの殴る蹴るとか、海原雄山もどきが現れて「このたわけが！！」と怒鳴る。みたいな事は全くないのです！

しかも若い板前さんはよくみると、ランニング帰り？みたいなスポーツタイツに短パン、着圧系長袖インナーに上だけ半袖の割烹着というフリースタイルぐあいです。
短パンのお尻あたりのポケットには盛り箸が先を上に刺さっています。

なんて合理的！泣けたっす。いやまじ泣けたっす。

そうだよねー格好なんて清潔なら動きやすい方がいいし、揚げ物するならピッタリした長袖が安全だよ。
箸だってすぐに使えるし先が上なら清潔ですよ。
ステーキ屋さんで腰にナイフ下げてる人いるもんね。笑
美容師だってハサミ腰に下げてるし、
電気工事の人だってペンチ腰に下げてるし。

フリースタイルがいいね！

手が空いて、何かすることありますか？と聞くと、
まじっすか！そんないい人います〜と彼。笑
これ、洗ってもらっていいですか？
とバットなどを申し訳なさそうに持って来られます。

たいていどこも包丁以外の調理道具は全部洗い場に持って来られますが、
和食の世界は自分の道具は自分で管理する文化が残っているのかも知れません。
分業は分業で良いですが、それはそれで素敵。

気さくな彼から
パッピーハロウィン♫
とキャンディ頂きました。

やっぱり仕事って人なのかも知れない…

料理長は寡黙な方でしたが、彼が伸び伸び仕事できるのもきっと料理長のおかげでしょうね。

美食倶楽部はどこへ行ったの？

と、思いながらググってみると
美食倶楽部という名の会員制のコミュニティキッチンがありました。
会員制だけどみんなのキッチン。
時代は変わるんだべ。