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『雌蛇の罠&女豹の恩讐を振り返る』 (8)恐るべき女! 恐るべき雌蛇…。

まず最初に、、村椿戦でのNOZOMIの戦闘衣装はスカート状のレオタード。そしてこの嶋原戦では、まるで浅田真央のような女子フィギュア選手が身に着けるような衣装で戦わせました。これは、やり過ぎだったかもしれない、、、と、思っています。
堂島戦でのセーラー服は入場式で戦闘衣装ではありません。男と少女の対比を強調させるためのセーラー服で、そんな女の子と男はどう戦うのか?と、想像力を膨らます意味があったんですね。でも、蛇革スポーツビキニはともかく、戦いの場に女子フィギュア衣装はまずいですよね?まるでショーのようでリアリティがない。ちょっとやり過ぎだったかな?と後悔。

ダン嶋原、NOZOMI戦のゴングは鳴った。

”場内から悲鳴が上がるほどNOZOMIの顔を容赦なく破壊してやる!“

1RでKO予告している嶋原は、気持ちをピークに高め飛び出した。とはいっても、村椿がカウンターを喰らったような油断はしていない。この日のために猛練習を積んできた成果か動きがいつになく良い。

結果は1R KO宣言していた嶋原が、逆にその1RでKOされてしまう惨敗だった。(試合の模様は本編を読んで下さい)

勢いよくコーナーを飛び出したものの、嶋原はどうも引っかかるものを感じる。キックボクシングの試合なのにNOZOMIはその構えをしない。怪しい、、不気味だ、、。男子相手では経験したことのない感覚。不用意に出られない、何を考えている?
これは、五輪書の中で剣豪宮本武蔵語るところの「戦いの場で重要なのは間合い(距離感)と拍子(リズム感)」というのがあるが、それが男子とは全然違うのだ。格闘技は男のもの、女は格闘技をするべきではないとの考えから、長い歴史の中で格闘技は 男対男 を想定され進化、技術体系も出来上がってきた過程がある。しかし、女子の身体の構造は男子とは異質のもので精神面(感性)も違う。男子が確立させてきた技術は女子には合わない。同じことをやっていては男子に勝てない。NOZOMIは女子による女子のための技術に取り組んできた。堂島戦から3年、女子流格闘技術を更に高めてきたのだろう。

“押しては引き引いては押す”ではないが、従来の男のための格闘技基本とは全然違う。こうすれば、こう返す等のノウ・ハウが通じない。NOZOMIは男子の戦い方を熟知している。しかし、嶋原はNOZOMIの女子流は未知のゾーンである。嶋原はそんな男子流従来の格闘技基本とは違うNOZOMIの距離感、リズム感に戸惑い動きが読めなかったのだろう。それが最大の敗因?

そんなNOZOMIに不気味さを感じながらも嶋原は ”虎穴に入らずんば虎子を得ず“ の考えから前へ出る。何としても公言通り1Rで決着をつける。その圧倒的なスピードとパンチ、キックの切れにNOZOMIは後退するも尚も嶋原は襲いかかってくる。防戦一方のNOZOMIは “勝てないかもしれない” と弱気になりかけたかもしれない。

ここで、ダン嶋原の敗因その2

先にも述べたように、嶋原はNOZOMIの女子フィギュア選手のような衣装を過剰に気にしていた。コーナーに追い詰めても ”こんな女の子を男が殴ってもいいのか?“ と、考えている場面があった。嶋原は堂島源太郎が少女を殴ることを躊躇っていた教訓からNOZOMIを女と思わず、魔女の化身を相手にしているつもりで非情に徹しようとリングに上がった。戦場は殺るか殺られるか?の世界なのだ!男も女も関係ない。

しかし、いくら勝負事に徹する非情な男であってもそれは不可能と私は考える。あの衣装の女の子を目の前にすれば、快楽殺人鬼でもない限り何の躊躇なく殴るのは無理だ。血の通った人間だもの、、ダン嶋原というキックボクサーのキャラ設定は、やんちゃだけど情に脆いというものだから。

そんな彼の性格が次の展開に繋がる。

嶋原の相手の懐に出たり入ったりのスピードは凄い。多彩なパンチにキック、あっという間にNOZOMIをコーナーに追い込む。防戦一方のNOZOMIを攻めながらも、こんな色っぽいコスチューム女子を殴っているという違和感と戦っている。非情に徹しているつもりでも邪念は捨てきれない。それが隙になったのか?ロープ際でもつれ合っている時、NOZOMIの長い脚に引っ掛かり転倒する(スリップダウン)。

リング中央でファイト再開。

NOZOMIが妙な間合い動きを見せる。嶋原も距離を詰めその動きを読もうとするが、いきなりコマのように身体が回転すると、長い腕が伸びてきた。バチィ〜〜ン!! 強烈なバックハンドブローが、嶋原の側頭部を強打。一度もダウンしたことのない嶋原がふらふらするも、追撃に備えてNOZOMIに目をやると、その衣装のスカート部が花びらのようにパア〜っと広がった。NOZOMIの長い脚が、まるでバレエダンサーのように高々と上がったかと思うと、人体の中で肘と並んで最も硬い骨と言われる踵が、前傾姿勢の嶋原に向かって物凄いスピードで落下してきた。

ゴン! グギギギ、、、

嶋原は何かが砕けたような不気味で嫌な音を聞いた。次の瞬間、強烈な激痛が襲い両膝を付く。その苦痛に嘔吐感を覚え、そのままうつ伏せに倒れた。

日本で一番強い男子キックボクサーが、まだ二十歳の女子選手にキックルールで倒されKO負けを喫した。その信じられない光景に場内は水を打ったように静かだ。
ダン嶋原はNOZOMIの強烈な踵落としを食らい立上がれず、そのまま担架で運ばれ病院直行。鎖骨粉砕骨折であった、、。

NOZOMIこと山吹望は、ド根性堂島源太郎を死に至らしめ、キック界のモンスター、村椿和樹のメンタルを壊し、天才ダン嶋原の鎖骨を砕いてしまったのでだ。

恐るべき女! 恐るべき雌蛇…。

実際はこんなことあり得ませんけどね。
この物語は当たり前ですがファンタジー。

NOZOMIは女子格闘技団体NLFSを立ち上げ男子格闘技界に殴り込みをかけます。彼女の次のターゲットは?まさかの日本最強無差別級のあの男。
それに、NOZOMIに敗れた村椿、嶋原も密かにリベンジを誓っていた。堂島源太郎の遺児、龍太、麻美の動向は?
その前に、NOZOMIの遺伝子たるNLFS所属女子格闘家が、多くの男子格闘家と名勝負を演じることになります。その主なものも検証したいと思います。

次回更新は今週後半。
つづく。










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