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Festa della Donna

毎年3月8日には、イタリアでは男性から女性に、黄色いミモザの花束を贈る。 
お父さんからお母さんへ、娘さんに、男性の同僚から女子の同僚へ、会社で守衛のおじさんが私たち女性たちに配ってくれた。。
そして、彼から彼女へ、、

これには、諸説あるものの、20世紀初めの頃の、アメリカで起きた悲惨な事件が起源、とする説がある。

その事件とは、アメリカ、ニューヨーク郊外にある工場では、ユダヤ人とイタリア人移民女性たちが働いていた時に起こった。 

この時代には、世界に先駆けて、労働者、特に女性たちの、職場での待遇改善を求める動きが、アメリカで広まりつつある時でもあった。

度重なる女子工員たちの抗議に対して、工場主はあるとき、女工員を工場に閉じ込めたまま、火を放った。
そうして数多くの女工員たちが死亡した。

この悲惨な事件を受け、事件が起きた3月8日を、イタリアでは、Festa della Donna(女性のフェスタ)として、今に続いている。

アメリカ数年前から、SNSで拡散される、’Me Too’運動は、セクハラや性的被害を訴えるものだけれども、その被害者は女性に多い。

昨日、舞台’Factory Girls’を、大好きな友達と観劇。

19世紀半ば、これもアメリカで、初の女性による労働組合ができるまでの、紡績工場で働く、様々な問題を抱える女性達の話彼女たちの要求は、一日14時間勤務から10時間への変更だった。

昔読んだ、’ああ野麦峠’を思い出す。 

選挙権もない、発言力の低かったアメリカ人女性達の戦いの物語。
主人公の発言全てが、心に響く。

だけど、私は戦いが苦手。
人を説得できる度量もない。

私は自由への渇望はあるけれども、自由への情熱と強さは、彼女たちの足元にも及ばない。

私がもし、この時代のこの環境でにいて、この様に戦えただろうか。。
自信は無い。
だからこそ、過去に自分達の為だけでなく、’私たち女性自身、みんなの為に’ 戦い続けた彼女たちに拍手を送りたい。

歴史の流れの中で、女性だけでなく、いろいろな理不尽に対して戦う人たちが、原因は違えども、絶えず存在する。

私に、その’時’が来たなら、勇気を出して、私なりの向き合い方をしようと思う。

始めてミモザの花束をもらったのは、もちろん、、

mensaで、ランチを摂った後、散歩をしよう、とサルヴァトーレ。
途中、さりげなくミモザの小さなブーケを私に差し出した。

’ありがとうサルヴァトーレ、これは何?’
’今日は、Festa Della Donnaといって、女性にミモザを贈る日なんだよ’

詳しい説明は無かったけれど、レモンイエローとグリーンのコントラストが見事な、可愛くて素敵なブーケが嬉しかった。

ちなみに現在では、ミモザの花を贈る習慣はあるものの、普段は、めったに外食しないイタリア女性たちだけが、レストランを占領する。

男性のいるバーで、楽しい時間を過ごす女性達もいると聞く。
新聞に記載されていたことなので、珍しい事なのかもしれない。

その事情をご存じない、外国の単身赴任の駐在員たちが、その日は、どのレストランも満席で、食事に困ったという、エピソードも聞いたことがある。

ミモザが選ばれた理由は、厳しい条件下でも、枯れることが少ない、強い木だから。
けれどもその花の、輝くようなレモンイエローの花びらの寿命は短い。




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