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エマ・ストーン炎上ってどうよ

キリアン・マーフィー受賞の興奮から
彼ばかりリピートして見ていたけれど
ちょっと冷静になってきたので、
ほかの受賞シーンも見てみた。

エマ・ストーンが主演女優賞を獲得。
ドレスが裂けてしまったのも愛嬌。
ライアン・ゴスリングの歌唱に盛り上がり、声が枯れたスピーチも。

ゴールデングローブ賞でリリー・グラッドストーンが受賞したとき、
エマは飛び上がらんばかりに、
はち切れんばかりに喜びを爆発させて
リリーの受賞を讃えていた。

それを見ていたからこそ
アカデミー賞はエマであってほしいと思っていたので、
受賞は本当によかったなと思う。


が…。

オスカーを手渡すシーンで
エマがミシェル・ヨーからの受け取りを拒否したとみられるシーンが
炎上しているという。

うーん。

確かにミシェルが持っていたオスカー像が隣のジェニファー・ローレンスのほうへ何気に移動しているが。

一連の流れ、
私には受け取り拒否や人種差別のようにはまったく感じられず、
そんな風に受け取る人もいるのだな、と。

あとでミシェル本人がSNSで、
ジェニファーとオスカー像の受け渡しを共有したくて
あのような流れになったと説明。
ミシェルの想いをエマも察し、
エマは笑顔で二人からオスカー像を受け取った、
というのが本当のところだったらしい。

RDJもキー・ホイ・クァンへの態度が差別的と炎上したのだとか。

加えて、
主演女優賞がリリーではなく
エマに贈られたことに懐疑的な意見も。

リリーは先住民女性。

もともとがホワイト重視、不平等のオスカーではある。

エマは白人だったから受賞できたのか?


私が昨年観た映画の中でベストだと思ったのは、

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

レオナルド・ディカプリオのクズ男ぶりと、
リリー・グラッドストーンの静かな、
そして力強い演技も本当に素晴らしかったし、
あの最高傑作を作ったのが
マーティン・スコセッシ監督(81歳!)というのも
「完璧!」と思っている。

他方、『哀れなるものたち』も今年
劇場で観ており、
受賞にふさわしい演技だったと、
強く思う。


ホワイトオスカーからいかに脱却するかが注目されている。
昨年、アジア勢の『エブ・エブ』が席巻したのは記憶に新しい。

ひとりの俳優の評価について、

「素晴らしい演技をした」
ではなく、
「先住民女性が、素晴らしい演技をした」

とみるとき、
ホワイト脱却の流れの中では
ホワイトではない俳優の出自が
プラスのバイアスになる。
それはそれで逆差別的な思考と言えなくもない。

座れる椅子はいつもひとつ。

「白人女性だから獲れたんだね」
「先住民女性だから獲れたんだね」

これでは、
座れたほうも幸せにはなれない。


まあとにかく。
エマの演技が受賞に値しないのであれば
文句のひとつも言いたくなるが、
私的には
非の打ちどころはどこにもなく
ただただ、エマの受賞を祝福したい。

アメリカの人種差別は
日本人では想像が及ばないほど深いため、
「いやいや、そんな甘っちょろいもんじゃないのだよ」
と言われたら、
すごすご引き下がるしかないですが。

『オッペン・ハイマー』公開まであと少し。


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