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伝統的な体験ができるカフェ特集

 沖縄には伝統工芸品作りなどの体験ができ、食事をすることができるカフェがあります。
 そんな伝統工芸体験ができるカフェを3つ紹介します。


職人たちの真剣な表情、イタリアで修行した本場のピザ「群青」(沖縄県読谷村)

読谷村座喜味にある「やちむん&カフェ 群青(ぐんじょう)」。店内に一歩足を踏み入れると、巨大シーサーのような大きな石窯が私たちを出迎えてくれました。ここ群青では、併設する「陶眞窯」で作られた器でピザやデザートを楽しめます。また、やちむんの制作過程に触れる陶芸体験ができるほか、陶工の皆さんの作業風景や登り窯も見学できます。

やちむん&カフェ群青

やちむんとは、沖縄の言葉で焼き物のこと。力強い絵付けや形は今も昔も、沖縄の生活に馴染んでいます。

「美味しい料理と楽しい体験で、伝統を守り伝えたい」

やちむんへの想いを熱っぽく語ってくれたのは、陶眞窯代表の相馬大作さん。15年前に父・正和さんから工房を受け継ぎ、弟の正尚さんと共に「伝統工芸とカフェ」という群青のスタイルを創り上げ、この場所を守ってきました。

相馬大作さん・正尚さんのご兄弟に、やちむんへの想いやカフェのこだわりについて、お話を伺いました。

取材日:2022年9月29日

◇「これから先もずっと、やちむんを作り続けたい」〜陶眞窯代表の相馬大作さん


インタビューを受けえる相馬大作さん

Q.工房「陶眞窯」はいつ始められたのですか?
A.窯主である父の相馬正和が1975年に創業し、2007年に私・大作が工房を受け継ぎました。カフェは2016年に、弟の正尚が始めました。

Q.陶眞窯のやちむんは、どこから作っているのですか?
A.一から手作りしています。主に中北部の恩納村や石川(うるま市)の赤土を使っています。白土
は近年少なくなり、貴重品になってきました。白土は、赤土よりも鉄分が少なく焼いた後の色味が違います。

Q.作品の完成まで、どのくらいの時間がかかりますか?
A.作品の大きさにもよりますが、基本は2カ月です。最短でも1週間はかかります。

Q.陶芸体験をされるお客さんの年齢層は?
A.コロナ禍以前は観光客が8割、地元の方が2割でした。その中でも女性のグループ客は4割、家族が6割でした。年齢的には30代〜20代後半が増加している印象です。カフェがあることで地元の方にも知名度が高まりました。

Q.やちむんの魅力を教えてください。
A.50年以上前に沖縄の土で作られた器が、日用雑貨として生活の一部となっています。私たちは土づくりからやっています。沖縄の伝統工芸品として誇りを持ってやちむんを作っています。


陶眞窯代表の相馬大作さん

◇沖縄の伝統工芸とイタリアンの融合 〜カフェ群青の相馬正尚さん


インタビューを受ける相馬正尚さん(右)

カフェを担当する弟の正尚さんは、イタリアで料理を修行されたそうです。本場さながらの石窯で焼き上げたピザは絶品そのもの。沖縄の伝統工芸やちむんとイタリアンの融合です。正和さんにもインタビューさせてもらいました。

Q.カフェはいつ始めたのですか?
A.2016年5月1日にオープンしました。

Q.カフェを続けていける理由は?
A.料理が好きなので、美味しいと食べていただけるのが嬉しいからです。

Q.カフェ群青の特徴を教えてください。
A.イタリアで修行してきたので、本場の味を提供できると自負しています。

Q.どんなお客さんが来られますか?
A.年齢的には40代のお客様が多い印象です。最近は若い方たちも増えてきました。学生さんもきてくれますよ。


石窯で焼き上げるピザ
ティラミスとピザ


【取材を終えて】

工房「陶眞窯」では、ろくろで器の形を作る人、絵付けをする人、土をこねる人など、さまざまな工程と役割を見ることができ、やちむんの奥深さを体感できました。

【お店の基本情報】
読谷村座喜味にある『やちむんカフェ群青』はやちむんギャラリーとピザが中心としたカフェになっており、ピザは常時10種類ほどありその他にもサラダ、スープ、デザート等があります。
また、やちむんの工房『陶眞窯』に併設されており、カフェでやちむんのショッピングはもちろんのこと、工房で作られたやちむんでお食事を楽しむことができます。また、店内にも出来るだけやちむんを使い、やちむんの温かみを感じられるカフェになっております。
ポイント
・手作りシーサーピザ窯 (相馬正和、正尚親子の共同作品)
・屋上ライブステージ 過去ライブアーティスト
*ジャズ (トランペット 村田 浩、 サックス 千葉 利行)*沖縄民謡 (古謝 美佐子)
・シーサー噴水 壺スピーカー

料理こだわり
生地・・・厳選した小麦を使い、約三日間かけてゆっくり時間をかけて発酵、
熟成を繰り返し外はサクサク中はもっちりの食感。

焼き・・・石窯で薪を使って約400℃で1分半から2分で焼き上げて外はサクサク中はもちもち
の食感。

私のおすすめはマルゲリータとアイスコーヒーです。本格ピザ窯で焼いた生地はとてもサクサクしていて、トマトソースが絶品でした。(田中 来武)

 お店のおすすめは ①窯焼き島野菜 ②バターチキンカレー&ガーリックチーズピザ ③洋梨黒糖 となっております。

2016年5月 オープン
場所・・・沖縄県読谷村座喜味 2898 ー 12
営業時間    平日 OPEN 10:00〜〜17:30 CLOSE ラストオーダー 17:00
       土日祝 OPEN 10:00〜〜18:00 CLOSE. ラストオーダー 17:30
        ( ピザ11時〜〜〜 売り切れ次第閉店 )
オーナー:相馬 正尚 (ソウマ マサナオ)
携帯  :090ー3794ー1529
Email  : soumanao0@gmail.com

太古から伝わる藍染、地産へのこだわり「藍風」(沖縄県本部町)

本部町伊豆味の緑豊かな山の中を進んでいくと藍染工房「藍風」に辿り着きました。玄関先には可愛い鶏さんが「コケコッコー」と元気良くお出迎えしてくれます。

藍染工房「藍風」
藍風の可愛い鶏さん

 ここでは藍の栽培から藍染の顔料づくり、藍染、そして藍染した布で作られたストールやワンピース、小物などを制作・販売しています。それ以外にもカフェがあり、チーズケーキや自家製卵のサンドイッチ、コーヒーやハーブティーなどをいただきながら、ゆったりと過ごせる時間を楽しめます。

「太古から藍は使われ続けている、藍は人間が本能的に好きな色なのではないかと思う」
 そう語ってくれるオーナーの荒木さん
ブルーは精神を落ち着かせる効果があります。その中でも古くから人間たちが身につけたり、伝統的に使っている藍色。一体、藍にはどのような魅力があるのか。私たちは古くから慣れ親しんでいる「藍染」に興味があり、取材をしました。

 2019年春に「藍風」を前オーナーから引き継いだ荒木さんに、藍染の作り方や魅力について語っていただきました。

取材日;2022年10月21日


藍染の顔料を確認する荒木さん

Q.荒木さんどのくらい藍染をやっているのか。
A.15〜16年やっています。

Q.お店のコンセプトを教えてください。
A.緑広がる自然に包まれながら、昔から行われてきた方法で藍を染め、藍について知る。藍が人々の暮らしの中で使われ癒しを与えてくれることをコンセプトとしています。

Q.藍染ができるまでの工程は?
A.リュウキュウ藍から梅雨の時期に葉と茎だけを収穫し水に浸けます。気温や水温によって浸水時間が違ってきます。葉と茎をとりのぞき、つけ終えた水の中に石灰を入れ混ぜていきます。茶色い上澄みを取り除いていくと水の下には染料のもととなる藍がたまっていき、たまった藍から水分をとりのぞいて泥藍が完成します。

Q.大変なことは何ですか?
A.天然発酵建ての藍は、生き物と一緒です。その為管理を怠ってしまうと二度と同じ物が作れなくなってしまいます。また、植物の藍の中でもリュウキュウ藍はとてもデリケートです。強い光と塩風を嫌い水を好みます。ここではタンカンの木によってできた日陰で強い光や塩害からリュウキュウ藍を守ってます。

Q.藍の魅力を教えてください。
A.藍染は昔から行われてきた染めです。天然で昔の方法で染め使うことができるのが藍の魅力だと思っています。藍で染めたものは防虫効果があり虫を寄せ付けません。それだけでなく藍は自由なところがあり、ミツロウを混ぜるとクレヨンになり油を混ぜると油絵の具になったり水を混ぜると水彩絵の具にもなります。

Q.荒木さんのこだわりや、藍染への思いを聞かせてください。
A.お客さんには『山原でリュウキュウ藍を染めてきたよ』と言ってもらえるようになるといいなと思ってます。藍は人間が古代から愛してきた本能的に好きな色。それは人のDNAに染み込んでいるものだと私は思います。


藍染体験
カフェのメニューにあるコーヒー

【取材を終えて】
昔からリュウキュウ藍の産地だった本部町伊豆味で、豊かな自然に囲まれながらリュウ キュウ藍を知ることのできる貴重な体験をすることができました。 青々とした緑の中、澄んだ空気を吸いながら藍染を見たり、触れ合ったりできる体験は、 日々の忙しさを忘れさせてくれて、穏やかな気持ちになりました。 また、藍の植物の育ち方や特徴、藍についてや、藍で染めたものから得る効果、藍 の歴史…などなど藍について沢山知ることができて、ちょっとだけ藍博士になった気持ち になれます。 人類に深く関わってきた藍に触れ合い、知る1日は、きっと素敵な1日になることに間違い 無いでしょう。

【お店基本情報】
ここ藍風では、楽しく、ゆっくり自分だけのアイテムを藍染体験で作ることができます。
タイ北部カレン族の村で森林栽培されたOrganic coffeeをはじめ季節のソーダやハーブティーやデザート新鮮な平飼い卵のサンドイッチなど地と旬を取り入れた喫茶メニューをご堪能することができ、外には鳥の囀りが聞こえる景色のいいテラス席でのんびりすることができます。

ポイント
・藍染体験(ストール、コットンバッグ、ハンカチ、お持ち込み)体験時間は大体1時間から一時間半となっております
・琉球藍の自家製造泥藍も販売
・美味しく居心地の良いカフェ

染料のこだわり
藍・・・本部の山で育てられている天然の藍を使用。通常の藍よりも育成が難しい琉球藍を使っており藍風独自のこだわりが感じられます。

カフェメニューのこだわり
・・・ケーキには藍風のお庭の方で放し飼いしている鶏から取れた新鮮な卵を使用。他のカフェよりもなめらかでクリーミーな味わいがポイントです。

おすすめは、organic coffee と ロールケーキです。とれたての卵で作られたロールケーキはふわふわ濃厚で、少し苦味のあるコーヒーとの相性は抜群でした。 (田中 来武)

場所
〒905-0221 沖縄県国頭郡本部町伊豆味3417−6

営業時間 藍風体験&カフェ
   OPEN 12:00〜16:00
   ※体験の方は前日までに電話にて予約です。
定休日
   火曜日•水曜日(不定休有り)

オーナー:荒木さん
番号: 0980-47-5583

沖縄独自の色彩、隠れ家のような紅型体験教室「長山びんがた 手作り雑貨TIDAMOON(ティダムーン)」(沖縄県南城市)


 沖縄の伝統的な染物「紅型(びんがた)」を知っていますか? 沖縄の自然を彷彿とさせる色鮮やかな配色と独特な図柄が特徴の、とても美しい染物です。この伝統工芸について学ぼうと、私たち取材班は2022年11月中旬、南城市佐敷にある「長山びんがた 手作り雑貨 TIDAMOON(ティダムーン)」を訪ねました。

取材日:2022年11月28日

長山びんがた TIDAMOON(ティダムーン)

◇世界にたった一つだけ!オリジナルの紅型雑貨が作れる


 豊かな自然に囲まれた隠れ家のようなこの場所では、「見る」「食べる」「体験する」の3つが楽しめます。まず「TIDAMOON」では、紅型を取り入れた生活雑貨を制作・販売しています。次に「caféちゅふぁーら」では、地元で採れた新鮮お野菜や県産食材を使ったお料理が楽しめます。そして、店舗内には「紅型体験教室」があり、紅型制作の工程を学びながらトートバック、ファブリックボード世界に一つしかない紅型雑貨を作る体験ができます。
 

◇カフェや体験教室を運営するのは2人の姉妹

 「長山びんがた」は1969年に長山紅型研究所を長山幸子が設立し、2007年4月27日以降は姉の石嶺麻子さんと妹の呉屋由紀子さんの2人姉妹で長山びんがたTIDAMOONと社名を変更し首里に店舗をOpen。石嶺さんが染めた紅型を、呉屋さんがミシンや手縫いでカバンやキーホルダーなどの商品に仕上げます。近年は南城市のふるさと納税の返礼品としても採用されているそうです。
 
石嶺さん、呉屋さんに、紅型の作り方や魅力についてお聞きしました。
 

紅型体験
紅型体験


◆ 紅型体験の工程は、大きく3工程あるそうです。
1、デザインと配色    デザインや色と配色を決める
2、2度塗り       ムラなく染めるために擦って定着させる
3、隈取り(くまどり)  立体感を作るために(緑と赤を使う)
↓下準備や仕上げ作業などの詳しい情報は下記のHPへ
 
Q.材料はどのようなものを使用していますか?
A.道具や材料は本島にはあまりなく、沖縄県外から購入した物を使っています。例えば筆は京都から購入したり、手作りしたりしています。のりは、もち米と糠(ぬか)を使用して自分たちで1から作っています。バインダーという固着剤は豆乳と接着剤を混ぜて作って塗るとサラサラになります。
 
Q.完成までどのぐらいの期間がかかりますか?
A.短いものでも1週間はかかります。デザインからだと小物でも約1ヶ月ほどかかり、振袖だと半年以上かかります。小物だとドライヤーですぐに乾きますが、大きいものだと乾くまでに、晴天の日でも1日かかります。天気に左右されることが多く、湿気でのりがベトベトになるとあまり塗れないことも。クーラーが効きすぎるとのりが乾いて割れてしまうこともあります。完成した後に色を加えたい所があったら、既に塗られている所にのりを塗って、他の所に色がうつらないよう、加えたい所にだけ色を加えていきます。
 
Q.体験教室には、どんなお客様が来られますか?
A.3歳で体験されたお子さんもいます。感性豊かでいろんな色を使って塗ってくれましたよ。100歳の方も来られますね。最終作業を行う時には、ご自宅まで持って行ったのですが、作ったことに満足してしまい水洗いを忘れられていた、なんてこともありましたね(笑)。一方で、お孫さんにプレンゼントするのを楽しみに作られる方もいます。観光客の方はお店でできる工程までやって、自宅やホテルに持ち帰って仕上げる方もいます。
 
Q.人気のある体験コースは?
A.小さい子から大人までエコバッグが1番人気です。小学生は学校で絵本入れなどとして使っているそうです。

Q.長山びんがたのこだわりは?
Q.何をどのように作りたいかなど、お客様のご要望から生まれる商品もたくさんあります。昔から紅型の模様には作者の想いが込められていて、着る人の幸せや成功を願う縁起の良い模様がたくさんありました。その想いを受け継ぎ、tidamoonオリジナルデザインを考案しています。紅型はその昔、身分によって使える柄の大きさや色が決められていました。例えば、身分が上の人たちは黄色、ピンク、青色が使えるけど、下の人たちは使えないなどの決まりがありました。今はそのような事がないので、自分が作りたいものを作れますよ。


TIDAMOONの商品
カフェのメニューにあるティーとデザート


 
【取材を終えて】
私自身人生で一度も染物の体験をした事がないのですが、今回の取材を通して、初心者や経験者関係なく優しく丁寧に教えてくれた石嶺麻子さんと呉屋由紀子さんのおかげで様々な歴史や話を知る事ができたり、実際に体験をしている勝馬さんを見て、私も染物の体験してみたいなと思いました。
カフェと染物の体験も一緒にできる素敵なお店をを取材できて、とても良かったです。
 

【お店の基本情報】
南城市佐敷にあるカフェ、ちゅふぁーらでは雰囲気のいい隠れ家のような空間で紅型のアクセサリーや、雑貨、作品などを購入はもちろんのこと、びんがたの体験でオリジナルの作品を作ることができ、沖縄の伝統に楽しく触れ合うことができます。カフェやバーのメニューも多彩で、体験をした後などにドリンクやお料理でゆったり一息つくことができます。

ポイント
・紅型で作られた小物や雑貨の販売
・体験で作れる自分だけのアイテム(トートバッグ、ファブリックボード)
 体験では柄をバック5種類、ファブリックボード5種類から選ぶことができます。
・多彩なカフェメニュー、自家製ドリンクなど気になるメニューが盛り沢山です。

紅型のこだわり
・デザインから自分たちで考え、紅型の基本的な色にとらわれず、現代にも馴染みやすいような明るく可愛い色や淡く綺麗な色などを使っている。
カフェメニューのこだわり
・彩り豊かな島野菜を使っていたり、自家製ジンジャーエールや、餃子など時間や手間がかかるこだわりメニュー

おすすめは、もっちり杏仁豆腐セットです。ドリンクは自家製黒糖ジンジャーエールにしました。杏仁豆腐は甘すぎず、名前通り食感がとてももっちりしていて美味しかったです。
ジンジャエールの方は、黒糖の鼻に抜ける良い香りと後からくる生姜の辛味がマッチしていて美味しかったです。(勝馬 瑠衣)

場所 〒901-1400 沖縄県南城市佐敷手登根37

営業時間 月曜日~日曜日 (11:00~17:00)金曜日、土曜日のみ (18:30~22:00、Barタイムあり)

ホームページURL http://tidamoon.jimdofree.com

電話番号     098-947-6158

メールアドレス  tidamoon58@gmail.co
     
オーナー:呉屋 由紀子さん








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