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「VTuberおバカぐらんぷり」キーマンインタビュー【後編】(出演:富士葵、エトラ、音霊魂子、音羽雫、銀河アリス、黒音よみ、獅子神レオナ、鈴鳴すばる、奈日抽ねね、星乃めあ )

LiveParkと日本テレビVTuberネットワーク V-Clanが配信した「VTuberおバカぐらんぷり」は、好評のうちに全4回が終了しました。VTuberの魅力を広く知ってもらいたいという思いから誕生したこのコンテンツの現場では、担当者のどんな配慮、技術的な苦労があったのでしょうか。キーマンインタビューの後編では、その点について話を掘り下げます。

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■有料配信ではありえない事故が、「伝説の回」を生んだ

--今回は回答者のVTuber 3名がリモート出演でしたが、ご苦労された点などありますでしょうか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 今回の番組は、新型コロナウィルスの影響で出演者だけでなく、スタッフも基本リモート体制で配信を行いました。準備にも万全を期していたのですが、出演者をつなぐ為の外部のコミュニケーションアプリが、配信初日に全世界で一斉にダウンしてしまうというトラブルが起こりました。結果、クイズの回答者が全員画面から消え、MCの永野さんと富士葵さんだけが残るという非常にカオスな状況が5分くらい続きました。

LivePark清田

いちるさん150

 あれには、驚かされましたよね。

 同時に、問い合わせツールもダウンしてしまったので、リモートで対応しているLIVEPARKのスタッフから現地にいらっしゃる西口さんに状況を聞くこともできませんでした。ツイッター情報収集を行い、配信中に視聴者の皆さんに対しては分かる範囲のことを伝えるようにしながら、同時になんとか復旧できる方法を探っていました。

 幸い永野さんと富士葵ちゃんがうまくつないでくれて、VTuberが通信トラブルで消えたということが視聴者に伝わり、大変ありがたかったです。今思い返してみると、こういうアクシデントはライブ配信の華でもあるし、逆に「伝説の回」になったように思います。

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 今回は有料配信ですから、このようなトラブルは本来許されないことなのですが、視聴者の皆さんがコメント欄に「スタッフ頑張れ」「待っているよ」と書き込んでくれたりして、優しく応援してくれました。そのおかげで早く復旧しないといけないというプレッシャーを感じながらも、落ち着いて対応できたと思います。

--LIVEPARKは、過去にリモートで配信を行った経験はあるのですか?

LivePark 清田

いちるさん150

 離れたところにいる出演者がリモートで集まって、それを配信することはよくやっています。ただVTuberの場合、通常の単なるカメラでの撮影とは違いビジュアル自体がキャラクターなので、技術的にまったく違いました。

■画面構成にも、細かい気配りを盛り込んだ

--画面上に3名のVTuberをどう配置するのか、MCの見せ方はどうするかなども工夫が必要だったと思います。

LivePark 清田

いちるさん150

 今回の画面構成は西口さんのアイデアです。

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 LIVEPARKさんには無茶を承知で、5人の演者の表情が最大限見やすいような配置をイチから作って頂きました(笑)。最初お願いしたときは「できるかどうかわかりません」というお返事だったのですが、最終的にはとても良い感じに仕上げてくださり、満足してます。

LivePark 清田

いちるさん150

 始めてのレイアウトだったのですが、作ってみたら何とかなりました(笑)。われわれとしても、5分割の画面が作れたことはスキルアップにつながりましたし、絵面的にも何が起きているんだろうと思わせる構成で、面白いものができたと思っています。

 番組中に、銀河アリスさんが立ち上がって見切れてしまったんです。その時に視聴者からすかさず、「ほとんど見切れてるよ」というコメントがあって面白かったですね。

 VTuberコンテンツの面白いところは、何かしらの新しいテクノロジーや使い方が必要になることだと思います。今回の画面構成にしても、ライブ配信の新しい可能性を見せてくれました。今後も新しい技術にチャレンジしたいねとスタッフと話をしています。

--今回は有料コンテンツとしての配信でしたが、視聴者の反響はどうでしたか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

反応はかなりよかったです!配信を見てくださった方からも、「久しぶりに腹を抱えて笑いました」「笑いすぎてしんどかった」といったお礼のメッセージを問い合わせフォームから頂きました。
 また、出演してくれたVTuberさんが全員女性だったので、男性視聴者が多いかと思っておりましたが、約3割が女性で、想像以上に女性比率が高かったので驚きました。また今回、プレミアムチケットを買ってくれた方への特典としてシチュエーションボイスを配布させて頂きましたが、こちらもとても魅力的な特典だったと思います。

LivePark 清田

いちるさん150

 シチュエーションボイスは9人のVTuberが家庭教師とか同級生を演じてくれていますが、ついつい聞き入ってしまいました。番組内でのはっちゃけ具合とのギャップも凄くて、これが騒いでいたあの子なの? という驚きもある、いい特典だと思います。

■有料配信というスタイルは、広く受け入れられている

--「VTuberおバカぐらんぷり」を実施してみてわかったこと、今後の課題などあったら教えてください。次の番組企画は進んでいるのでしょうか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 永野さんが躊躇なく、でもリスペクトはある形で、VTuberの皆さんにガンガン突っ込んでくれたことで、皆さんの魅力が存分に引き出されたと思います。今回は4週連続の番組として配信しましたが、LIVEPARKさんとは今後も「芸人×VTuber」のバラエティ番組を定期的に作っていきたいと考えています。そのためにはビジネスモデルの構築と安定して回せる制作体制も必要なので、これらを整えるのは今後の課題です。

LivePark 清田

いちるさん150

 「VTuberおバカぐらんぷり」は、LIVEPARKとして初めての有料配信でした。配信前は、有料番組をどれくらいの人が見てくれるのかまったくわからなかったのですが、実際にやってみたら予想の10倍近い視聴者が集まってくださり、今後伸ばしていきたいコンテンツです。

 これはVTuberのパワー、熱狂的なファンがいてくれたという側面もあるでしょう。同時に最近の社会情勢もあって、ライブ配信がネットコンテンツのひとつとして認められたこと、有料配信の存在が広く認知されてきたことが、今回の「VTuberおバカぐらんぷり」がビジネスとして成立した大きな要因だったのかもしれません。

 しかも、特典付きのプレミアムチケットを購入してくれた方の比率が高かったのです。これは、せっかくならコンテンツをすべて楽しみたいと考える人が多い証拠ではないかと分析しています。有料配信というスタイルが広く受け入れられていることが分かったのは、配信企業であるLIVEPARKとしても嬉しい誤算だし、嬉しい発見でした。

■これから登場する、新しいバラエティ番組から目が離せない

 VTuberという存在は、まだあまり世の中に知られていない。しかし今回、「VTuberおバカぐらんぷり」では、VTuberを良く知らない方でもテンションの高さ、思いもつかない反応に吹き出してしまうことがあったようです。バラエティコンテンツとして素直に楽しむことができる座組にできたのではないでしょうか。

 インタビューで西口さんが話してくれた「ビジュアルに左右されない実力・個性」といったVTuberの魅力が引き出すことができたのは大きな成果だと、手ごたえを感じています。これからもV-Clan + LIVEPARKがこれからどんな配信番組を生み出してくれるのか、チェックしてください!

●「“愛”を持った人たちと一緒に、視聴者に刺さる番組作りを続けます」株式会社LivePark 代表取締役社長 安藤聖泰【コラム】

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今回、LivePark 代表取締役社長の安藤聖泰にも「VTuberおバカぐらんぷり」の配信に取り組んだ狙いや今後の展開についてインタビューを行いましたので、その内容をご紹介させていただきます。

 「新型コロナウィルス感染症の問題もあり、最近は様々なエンタテインメント企業がライブ配信に取り組んでいます。これからは、オンライン上で代金をいただいて、視聴者に楽しみを提供するというシステム構築が加速していくでしょう。それはVTuberだけでなく、お笑いや音楽でも同じだと思います。

 LIVEPARKはオンラインでライブ素材を扱うサービスですが、ただ映像を流すだけではなく、ユーザーとインタラクティブにコミュニケーションを取ることを大切にしてきました。漠然と映像を見てもらうのではなく、その瞬間を大切にして提供していこうというスタンスです。

 企画を考えていく上では、西口さんがもともとVTuberのファンだといった具合に、その世界に精通している人が制作側にいることも重要だと考えます。ファン目線で企画を考えて、楽しみながらコンテンツを作れる人がいるからこそ、視聴者に届くコンテンツが生まれるのです。

 もちろん会社として利益を出すことを忘れてはいけませんが、一番は視聴者が楽しんで次も見たいと思ってくれることです。それができるのは西口さんのように対象を愛している存在で、だからこそ今回は彼にVTuberの番組を作ってもらいました。

 こういった番組作りをLIVEPARKとしてどんどん応援していきたいですし、それが一番いい番組制作の方法だと思っています。今回の『VTuberおバカぐらんぷり』はまさにそれが刺さった、いいコンテンツになったのではないでしょうか。

 弊社としては今後も、そういう“愛”を持った人たちと一緒にコンテンツを作っていくことで、制作側、出演者、視聴者みんながハッピーになる仕組みを構築したいですね。LIVEPARKとして、色々なジャンルで新しいエンタテインメントを開拓していく取り組みを続けていきたいと考えています。」

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