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「VTuberおバカぐらんぷり」キーマンインタビュー【前編】(出演:富士葵、エトラ、音霊魂子、音羽雫、銀河アリス、黒音よみ、獅子神レオナ、鈴鳴すばる、奈日抽ねね、星乃めあ )

スマートフォン向けのユーザー参加型ライブ配信サービスを手がけるLiveParkと日本テレビVTuberネットワーク V-Clanで、6月22日から4週間に渡って「VTuberおバカぐらんぷり」を配信しました。

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 番組MCに芸人の永野さん、アシスタントMCとして人気VTuberの富士葵さんを迎え、9名のVTuberが3組に分かれて英語や算数、常識問題などのクイズで対決、勝ち上った(クイズの成績が悪かった)VTuberが決勝戦に挑むという内容で配信。番組を通じてVTuberの「おバカNo.1」を決定しようという企画です。

 今回の企画を通じて、各方面で注目を集めているVTuberをフィーチャーするのはもちろん、有料コンテンツ(通常とプレミアムの2種類)として展開することで、配信サービスとしての新しい展開も見据えています。

 今回は、このコンテンツがどのようにして発案されたのか、配信番組として制作時にどんな苦労やトライアルがあったのかについて、V-Clan共同代表の西口昇吾氏(以下:V-Clan 西口氏)と、LiveParkエグゼクティブ・プロデューサーの清田いちる(以下:LivePark 清田)、2名のキーマンふたりに狙いや真意についてインタビューを実施しました。

--まず、今回の「VTuberおバカぐらんぷり」を作ろうと思ったきっかけ、企画意図から教えてください。

V-Clan 西口氏

西口昇吾

日本テレビで「V-Clan」というVTuberネットワークを運営しています。「VTuberを次のステージへ」というビジョンを掲げ、ご登録いただいている約100名のVTuberさんが夢を叶えるためのサポートをしています。VTuberの文化をもっと広げていくことも僕たちのミッションで、今回はその取り組みの一環として、VTuberのオリジナル番組をやることにしました。

 日本テレビのグループ会社でもあり、受注元や発注先といった関係を超えて一緒にスピード感を持って進められるということもあったので、LIVEPARKで配信したいと思い、相談をさせていただきました。
LIVEPARKでは、芸人が出演する様々なバラエティ番組を配信しているので、お笑い好きの視聴者が多いと考えて、VTuberファンに加えて、VTuberのことをよく知らないお笑い好きの視聴者さんがVTuberに関する事前知識がなくても楽しめるバラエティ番組をやりたいと思いました。そこで、No1おバカを決めるという早押しのクイズ番組という王道でシンプルな企画にして、その中で出題する問題や演出を工夫して、ご出演いただいたVTuberさんの魅力を引き出すという設計にしました。

--VTuberは最近クローズアップされてきたように感じていますが、彼らに注目されたのはどんな理由があったのでしょうか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 先日、世界初のVTuberといわれるキズナアイさんが4歳の誕生日を迎えたので、VTuberの文化は4年ほど続いているかと思いますが、僕たちがVTuber事業を始めたのは2年半くらい前からです。当時、たまたまキズナアイさんの動画を見つけて衝撃を受けました。

 バーチャルな存在として、性別、年齢、容姿に依存せず、なりたい自分として、純粋に中身で評価される文化がとても面白いと思い、社内新規事業としてVTuber事業を立ち上げました。

--VTuberとして、いわゆるアバターを通した方が、その人の個性や魅力がより際立つということでしょうか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 VTuberになることで、制約なく、ありのままの自分を表現できるので、そういった意味では、VTuberはバーチャルではありますが、リアルより人間らしいという一面もあると思っています。

 これまで表に出て来なかった魅力的な才能のある人達が、VTuberの活動を通じて注目されていくことは、とても素晴らしいことだと思いますし、VTuberが一過性のブームではなく、カルチャーとして定着させていきたいと思います。

LivePark 清田

いちるさん150

 今回LIVEPARKで配信をすることになって、VTuberってこんなに面白いんだ、番組を作るとこんなに面白いコンテンツになるんだと、われわれも驚きました。

 番組でも凄いテンションを披露したり、予想外の回答で盛り上げてくれました。裏側に人間がいると分かりつつも、VTuberというベールを通すことで、より中身や個性にフォーカスして楽しめるのです。ひじょうに深みのある、新世代のバラエティになり得ると強く感じました。

■まさに“渡りに船”で、条件が揃った

--今回の番組制作は、西口さん側からLIVEPARKさんに企画提案があってスタートしたのでしょうか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 そうです。V-Clanのメンバーが活躍できる場をどんどん作っていきたいと思っていて、VTuberのイベントや番組をこれまでたくさん企画してきました。その活動の一環として、LIVEPARKさんに企画を提案しました。清田さんと、LiveParkの安藤社長に企画を説明させてもらいましたが、反応がとても早かったのです。

LivePark 清田

いちるさん150

 僕はLiveParkに入って2年ほどですが、入社当時からVTuberに着目していました。そもそもは、テレビのバラエティ番組を、ネット世界、ライブ配信の文脈で捉え直して、インタラクティブ性の高いコンテンツとして作り直したいと考えていたのです。

 その一環として、テクノロジーの力でキャラクターを作るというVTuberに大きな可能性を感じ、ここにフォーカスした番組は必要だろうと考えていたのです。ただ、VTuberの世界にどうアプローチするか、コスト面や人的リソースなどの問題もあり、なかなか具体化できませんでした。

 ところが今回、西口さんから「VTuberおバカぐらんぷり」という提案をいただけたのです。しかもVTuberへのアプローチや、キャスティングをどうするかといった問題をすべて解決したうえで。まさに“渡りに船”でした(笑)。

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 VTuberの番組をVTuberのプラットフォームで配信すれば、当然、VTuberが好きな視聴者が定着しているので、ある程度再生されるかと思いますが、せっかくなのでVTuberの動画をあまり見たことがない人たちにも見て欲しい、VTuberの魅力を知って欲しいと思っていて、過去にVTuberの企画を配信したことがなく、お笑い芸人中心のバラエティ企画を多数配信しているLIVEPARKさんが今回の企画にピッタリだと考えました。結果、有料配信にも関わらず、とても良い結果となりました。

 しかも、実際に制作がスタートして、配信の回数を重ねていくと、最初はVTuberのことをあまりよく知らなかったスタッフさんが、どんどんVTuberの沼にはまっていくのが分かって、見ていて嬉しかったですね!

--番組の内容はどのようにして決まったのでしょう?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 当初から、面白い番組を作っても単発で終わってはもったいないという気持ちがありました。継続的に徐々に視聴者の熱量を高めていく方法はないかと考えて、トーナメント形式の企画を選びました。何のトーナメントにするかを議論した結果、Liveparkさんではバラエティ企画の番組が多いので、王道のバラエティ企画のおバカクイズの企画に至りました。

 肝心のクイズの中身は、小学校中学年〜高学年向けの問題を中心にしています。ただそこでも、「『複雑』の対義語は?」という質問を出せば、そもそも“対義語”の意味が分からずにフリーズするんじゃないかとか、MCが「シンプルということです」とヒントを出したら、英語が得意なVTuberなら即答できるんじゃないかという風に、誰がどの問題に対して、どうやって反応してくれるのかなど、何となくの流れも考えています。結果的には予想外の波乱の展開になることも多かったですが…笑

■破壊力のあるMCで、出演者の距離感をなくす

永野さん、あおいさん切り取り済み

--MCの永野さん、富士葵さんはどのようにしてキャスティングされたのですか。また、回答者のVTuberを選んだ基準は?

V-Clan 西口氏 

西口昇吾

今回はV-Clanのメンバーを中心に回答者としてキャスティングを行いました。

 今後V-Clanメンバー同士のコラボなど横の繋がりは強化していきたいと思っていますが、現状はV-Clanのメンバー同士でも繋がりがあまりない人がいますし、新型コロナウィルスの問題もあって完全リモートでの収録でしたので、出演者の距離感が不安でした。そんな距離感関係なく、問答無用で回答者を巻き込んでいくような破壊力のあるMCとして、永野さんをキャスティングしました。

そして、アシスタントMCとして永野さんの大ファンだった富士葵さんをキャスティングすることで、回答者のVTuberさんと永野さんの架け橋としての役割を担っていただきました。

--番組ではスタッフ同士がすごく打ち解けていた気がします。西口さんも、永野さんからフルネームで呼ばれるなど、かなりいじられていましたね。

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 役割はプロデューサーなのですが、現場では三密対策もあって最小限の人数で収録をしないといけなかったので、カンペ出しもやったのですが、不慣れで何かミスをする度に、永野さんに配信本番にフルネームで名前を連呼され、いじられ続けたので、とても恥ずかしかったです…

--テレビとは違う、とても身近なコンテンツになっていたと思います。VTuberによる配信番組として、手応えがあったのではないでしょうか?

V-Clan 西口氏

西口昇吾

 そうですね、Liveparkでは初めてのVTuberのバラエティ番組の配信でしたが、Twitterのツイート数は10,000件以上、VTuber関連のメディアだけでなくお笑いやエンタメ関係のメディアからも多く取り上げていただき、大きな話題を作ることができました。また、券売も好調で、事業的にも良い結果になったと思います。

(後編へ続く)



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