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5G時代の鍵となる3つの力「編集力」「スイッチング力」「編成力」 : 放送と5Gの可能性を考える・後編< 5G準備委員会 #2 (2020/3/18) >

LiveParkでライブ配信された「メディア&コンテンツ業界のための5G準備委員会セミナー」の第2弾「放送と5Gの可能性を考える」。3人の放送業界の登壇者と書籍『5Gでビジネスはどう変わるのか』の著者クロサカタツヤ氏によるライブ配信を行いました。

その後編となる本稿では、さらに話を踏み込んで、テレビを含む動画コンテンツのこれから、そして放送局ができること、担うべき役割について話を伺いました。

前編】はこちら

画像1

奇数の時代に大爆発が起こる

清田いちる(以下、livePark 清田)

いちるさん150

引き続き、「放送メディアから見た5Gの可能性と課題」というテーマでトークを続けていければと思います。川上さんに資料を作ってきていただいたので、解説よろしくお願いいたします。

日本テレビ放送網(株) 技術統括局 川上皓平氏
(以下、日本テレビ放送網 川上氏)

川上さま

移動通信、携帯電話回線は、大きいショルダーバッグのような携帯電話や自動車電話の時代が始まりです。この1Gの時代は、通話が主流で音声のやりとりがリアルタイムにできることが革命的でした。

2Gの時代になると、テキストでのやりとりもできるようになりました。しかしEメールはリアルタイムではありません。

そして3Gの時代には同じテキストですが、LINEやTwitterなどプッシュ型テキストを使ってリアルタイムでコミュニケーションできるようになりました。

4Gの時代、2015年以降になるとInstagramやTikTokで画像やショート動画を使ってやりとりするようになっています。

キラーコンテンツ1

では5Gでどうなるか

その予測としては、コンテンツは次第にリッチ化して、動画を使ったリアルタイムでのコミュニケーションが主流になるのではないかと考えられます。

キラーコンテンツ2


LivePark 清田 

いちるさん150

奇数の時にリアルタイムが出てくるんですね。


日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

リアルタイム性のあるコミュニケーションは相当強くて、相手にも拘束される制約がありながらも待たなくてもいい。そばにいる感覚とでもいいますか。その状況を共有できることが、何よりも大きいポイントです。そして、3G以降リアルタイムのコミュニケーション自体がメディア化しています。

例えば、ラジオはDJやMCの言葉を一斉に配信して、リアルタイムで音声を発信しています。それまでラジオ局の人間にしかできないことでしたが、1Gで移動電話の登場により、移動中でも音声を使ってリアルタイムでコミュニケーションできるようになりました。

極端な表現をすれば、誰でもしゃべることを発信することができるようになったと言えます。

2Gの時代はテキストですが、LINE/Twitter/ブログなどを使って誰でも発信できるようになったので、雑誌、新聞などの優位性がなくなってきた。

テレビは動画を主に扱うメディアですが、5Gの時代にリアルタイムな動画がやりとりされるようになると、ラジオや雑誌、新聞と同じようにその優位性がなくなっていくと考えられます。これまで「発信」はオールドメディアだけの権利でしたが、5Gの時代になると誰でも発信する事が可能になり、発信力がコモディティ化していくのではないかと思います。

キラーコンテンツ3


(株)企 代表取締役
慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任准教授
クロサカタツヤ氏(以下、企 クロサカ氏) 

クロサカタツヤ氏150

すごい図ですね。早速マネさせて頂きたいと思います(笑)。

この図の何がすごいのかというと、ポイントは1G3G5Gのところです。さきほど清田さんが指摘されたとおり、奇数の時代にリアルタイムの波がくるということを、これほどわかりやすく説明した図はないと思います。偶数の時代を卑下するわけではないのですが、やはり爆発力は奇数の時代にあると思います。

Eメールも私たちの仕事や生活のスタイルをかなり大きく変えましたが、登場した時にみんながわっと飛びついたのは電話のほうだと思います。みんなどこでも話せる電話が欲しかった、いつでも通話したかった。

Instagram、TikTok、LINE、Twitterなどにも同じような力があったと思っています。「いい感じの写真撮れないし」「踊れないし」と思っていても、見るだけのユーザーとしてもInstagram、TikTokは楽しいものですし、LINE、Twitterは誰でも投稿してコミュニケーションができて、爆発的に広がることもあり楽しい。その熱量のようなものを1Gと3Gには感じたんですよ。

川上さんのいうとおり、このサイクルがきれいにくるのだとすると5Gも爆発するのではないかと思います。『5Gでビジネスはどう変わるのか』という本を書き、その中で5Gサービススタート初期に「幻滅期」が訪れてしまうといっている私からすると、川上さんのお話は実にありがたい福音なんです。

北海道テレビ放送(株)コンテンツビジネス局 ネットデジタル事業部
兼 編成局編成部 兼 技術局 放送・ITシステム部
三浦一樹氏(以下、北海道テレビ放送 三浦氏)

三浦様150

わかりやすい図ですね。僕もパクろうかなと思っています(笑)

(株)毎日放送 経営戦略室メディア戦略部長 マル研運営会リーダー
齊藤浩史氏(以下、毎日放送 齊藤氏)

齊藤浩史氏

絶賛やね(笑)


LivePark 清田

いちるさん150

まだ世に存在しないものが「???」で表現さていますが、きちんと表に組み込まれているところが、予言的ですごくいいですよね。

北海道テレビ放送 三浦氏

三浦様150

今、ネットカフェから参加しています。

なぜかというとWi-Fiでないとキツイからです。その辺の公園から4G回線を使って参加しようとしたら、おそらくまだ帯域的に足りません。

5Gが行き届く頃には、Wi-Fiも不要で場所も時間も選ばない。未だ私たちが手に入れられていない環境になるんだなと川上さんのお話を聞いて思いました。

LivePark 清田

いちるさん150

 携帯電話だけで、固定電話を引かない家庭も増えていますが、今後、5GがあるからWi-Fiを引かないと!なるかもしれませんね。

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

リアルタイムでの音声でのやりとりは目に見えない。その後、メールやLINEといった3G時代のやりとりは文字という記号によって、やりとりは可視化された。今後は、もっと感覚的になっていくように思います。

今、ディスプレイに三浦さんが映っていて、我々と並んでいる感じですが、もちろん僕の右肩には気配はありません。

5Gの時代になるともっと感覚的、皮膚感覚で伝わるようになるのかもしれない。コミュニケーションは、記号よりももっと感覚的になり円滑になっていくかもしれません。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

3Gの時代、LINEはテキストでのコミュニケーションと書いていますが、実は最も革命的だったのは、スタンプでやりとりできることだと思います。

リアルタイムで動画を使いコミュニケーションする5Gの時代のスタンプに当たるものが合わせて生まれるべきなんだろうな、という気がしています。

エモーショナルなふるまいや空気感、雰囲気を伝える何か。それが齊藤さんが指摘されているものになるのかもしれません。


誰でも発信できるからこそ、放送局の伝統技術が活きる

企 クロサカ氏

クロサカタツヤ氏150

放送局のみなさんにぜひお聞きしたいのですが、視聴者が番組をどういう状況で観ているか、例えばソファーに寝転がっているのか、イスに座って真剣に観ているのか、ご飯を食べながらなのか、つまり視聴者のbehavior(振る舞い、態度)がわかると、番組の作り方や放送に影響はあるものでしょうか?

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

これまでは基本的に、ちゃんと観てもらっていること前提で制作しているよね。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

放送局は、編成力でカバーしています。朝は忙しいから「ながら」で観てもらってもちゃんと情報が届けられるように、ドラマはゆっくり落ち着いた環境で集中して観る方を意識していますね。

企 クロサカ氏

クロサカタツヤ氏150

テレビ局の方が生活者を分析して仮説を立てているんですね。

朝は、みんなバタバタしているから、天気予報も表示して数十秒観ていたら必要な情報も把握できるといったことが求められているとか。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

放送局の人間が言っていいかわかりませんが、放送局の仮説か、傲慢なのかはともかくとして......。

5Gの時代になると“必ずテレビの前に座って観ましょうね”というその傲慢さともとれる考え方は、視聴者にとって受け入れがたいものになっていくんだろうなと思います。

LivePark 清田

いちるさん150

5Gの時代になると、放送局の仮説を実証できるかもしれませんね。


日本テレビ放送網 川上

川上さま

発信がコモディティ化するという話につながるのですが、スマホやデジカメ、監視カメラなど様々なものが5Gネットワークにつながると、色々な人が発信できるようになります。

今日の三浦さんはWi-Fi通信を利用されていますが、5Gがあれば街のどこにいても簡単に配信できるようになる。そうなると膨大な動画ストリーミングが発生します。そこに私たち放送局側がどう関係していくのかがポイントになります。

5G時代の発信力

この図は縦軸が時間、横軸がマルチアングルです。膨大な動画ストリーミングが発生すると、そのままの状態の動画はただ埋もれていくだけなんですよね。“これはおもしろいよ”とオススメされなければ、視聴者はその動画がストリーミングされていることも知らないままです。

そこで重要となるのが、私たち放送局が持っているノウハウである編集力スイッチング力編成力です。

編集力スイッチング力

編集力とは、何十時間という膨大な素材から1、2分ほどの動画を作るといったことです。

スイッチング力とは、例えばスポーツ中継で何十台ものカメラから、今、この瞬間を切り取るために1台だけをテイクし続けて、それを順次放送として整理していくものです。

編成力は、マクロな視点になりますが、複数のカメラ、複数の時間の素材から、いかにディレクティングして放送するかというもので、放送局にとって一番の強みだと思っています。

 毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

素材の選択肢が増えていっても、やはり編集やスイッチングは必要だということですか?

日本テレビ放送網 川上

川上さま

そうでないと、膨大な量の中、誰もそんな映像があることに気がつかないと思います。

音声やテキストと比べて動画は非常にカロリーが高いものです。1時間の動画を観るためには、1時間拘束されてしまう。表現として良くないですが、コンテンツがリッチ化することでユーザーも傲慢になっていく。

“面倒なものは観たくない”“自分のためになるものは観たい”と。

5Gの時代その需要に合致するコンテンツを届けないと、になり膨大なストリーミングが発生してもそれはたやすく死んでしまう。今後のエンターテインメント制作において、放送局が持つノウハウは使えるものじゃないかと思っています。

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

確かに、テレビはひとつの時間軸しかない中で、どうやっていろいろなものをわかりやすく伝えるかという伝統技能の極みですよね。

時々、野球中継をマルチアングルで観れたら楽しいよね、という人がいますが「ホンマにそれで試合の流れがわかるかな」と思ったりするよね。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

視聴者がいちいちスイッチングするのか? という問題ありますよね。

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

“これを観たら今起きている事象についてひとまずわかるよ”とガイドをする事は、とても大事なことだよね。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

おっしゃるとおり、私たちが何もしなくても、膨大なストリーミングは発生するし、それをただずっと観ている人もいると思います。

そこに私たちの存在価値を見いだすには、おもしろくわかりやすく伝えるという伝統技能を活かすことではないでしょうか。


視聴者のふるまいがわかると放送も変わる、広告も変わる


企 クロサカ氏

クロサカタツヤ氏150

やっぱりこの図はすばらしい。

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

絶賛やなぁ!

企 クロサカ氏 

クロサカタツヤ氏150

「愛しています」という感じです(笑)。

おふたりのお話を伺っていて感じたのは「スーパーの棚だなぁ」ということです。特に日本のスーパーマーケットには山ほどモノがありますよね。その棚はどれも細かく区切られていて、異なる種類の商品がずらっと並べられている。お客さんはたくさんの商品の中から、自分が選び出していると思っていますが、実は「あなたが欲しいモノはこれですよね」とお店が提案しているものの中から選択しているんですね。

今後放送局が、これまでと比較しても遥かに大量のラインナップを揃える事になると考えると、これ(スーパーの棚の様に提案すること)は、至難の業ではないでしょうか。しかし、ここに新しいチャレンジがあるように思います。

YouTubeは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)のようにユーザーが映像を投稿する構造になっているようですが、そこは誰も編成をしてくれないという世界でもあります。編成もユーザーサイドに任せ。

しかし放送局のアプローチはそれとは違うものなのではないかと思っています。

さきほど視聴者が番組をどういう状況で観ているか、例えばソファーに寝転がっているのか、つまりビヘイビア(振る舞い、態度)がわかると、放送局は何か変わりますか? とお聞きしました。それは「棚」を私にとって気持ちよく編成してもらうことは、ユーザーの状況、ふるまいで変わってくるかもしれないからです。

AmazonはアメリカでAmazon Goというスーパーを運営しています。最初に訪れた時に、私は品揃えが悪い、つまらないなぁと感じたんですよ。しかし何度か訪れるたびに改善されているんですよ。5Gによって支えられるセンサーネットワークでユーザーの行動や考えを集める技術とAmazonが持つ膨大な情報を利用して。日本のスーパーと同じく、大きな棚にたくさんの商品が並んで、ユーザーが選んでいるように見えて、そこにはお店の提案がある。編成力が発揮されているわけです。

このAmazon Goのようなことをあらゆる場面で展開していくのが5Gの世界だろうと思うのですが、「放送業界にとってのAmazon Goって何ですか?」という問いに対する答えは、川上さんのスライドなのかもしれませんね。こちらもパクらせていただきます(笑)

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

なんか、川上さんのスライドに対する評価がどんどん上がっているねぇ。恐ろしいねぇ(笑)

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

勝手な妄想ですけどね(笑)

北海道テレビ放送 三浦氏

三浦様150

これまでは、取材しないとわからなかった情報が向こうから膨大な量、やってくるとなるとそれをどうさばくのか?

誰かが整理しないと情報が埋もれてしまうのであれば、それは私たちがやるしかないのかな、と思いました。間違いなくそれは放送局がこれまでやってきたことの延長線上にあるというのが、新たな気づきです。

毎日放送 齊藤

齊藤浩史氏

ユーザーがどのように番組を観ているのかを知り、その振るまいが変化することで、広告もまた変わるような気がします。

例えば、これまではインターネットで検索をした人に対して、こういう情報が欲しいのならこういうページを表示したら買ってくれる可能性が高いという記号の中でやりとりしていました。

しかし5Gの時代になった時、その人が、今どういう気持ちで何を考えているかがわかる様になるかもしれません。今、視聴者の目の前に生中のジョッキが出されるとその人は飲むはずだとわかると、無駄なCMを流さなくてよくなりますよね?

これまでの話は作る側、放送局における5Gの可能性についてのものでした。

別の視点として、5Gが普及すると皆のビヘイビア(振る舞いや態度)が変わるから、当然それに合わせて世の中のマーケティングそのものも変わっていく。実のところ私たちも含めて、民放の人たちはどれくらいそういうことに対してアンテナを張れているのでしょうか。民放はCMを放送することで成り立っています。考えると怖くなりますよね。

企 クロサカ氏

クロサカタツヤ氏150

確かに従来の広告ではなく、5Gを活用することで集まった消費者のデータを活用してダイレクトに商品を提供しようと考えている企業はあります。

あけすけな表現をすれば、放送局の広告主トップテンに入るような企業には、コンサル会社と会社を作ってデータビジネスに本格的に取り組もうとしている流れは観測できます。

しかし、それですべてがひっくり返っていくかというと、そうではないと私は考えています。テレビ大好き人間である私の希望的観測もあるのですが。

これまで話をしていたビヘイビアの観点と反するのですが、私の娘は「Minecraft(マインクラフト)」が好きで、その動画を1時間くらいずっと観ています。「1時間も?」と私は感じてしまうのですが、この感覚は、私たちが昔、ドリフターズの番組や『オレたちひょうきん族』を観ていたのと同じ感じなんですよ。自分の意識が番組にロックされて、釘付けになる瞬間はまだまだある。

放送局以外の動画が増えていき、より視聴されるようになるのは現実として受け取らなければなりません。また、動画は人間の意識を釘付けにするものだからこれまでどおり安心して広告を流していけばいいという話ではありません。やりようはいっぱいあるはずです。

放送局は編成力、つまり動画に付加価値を与えることによるビジネスはできると思います。5Gをはじめとしたテクノロジーをどうやって味方にしていくかということが、これから大事になるとお話を伺いながら思いました。

LivePark 清田

いちるさん150

なるほど。そのような観点からだと、5Gと絡むことでビジネス面でもたくさんの明るい話があるかもしれないですね。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

逆に絡まないと暗いと思います。

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

そうですね、放送局はインターネットのときに出遅れちゃったもんね。昔、放送とインターネットの融合、連携といった話題がよくでていました。

二元論で語られることが多かったのですが多くの人はそれぞれのいいところだけを便利につかっていくものだから、「これは放送で、これは5Gです」と分けて考えることが間違いなのかもしれませんね。

多くの人の感覚に放送局が寄り添えていないとところかもしれません。


「本当にやるの?」ということができるようになる

LivePark 清田

いちるさん150

深い話になってきたところなのですが、最後にみなさんからひと言ずつコメントをいただきたいと思います。

北海道テレビ放送 三浦氏

三浦様150

地方だと人もいないし、コンテンツをたくさん作っているわけじゃないので、限られたリソースの中で新しいことに取り組んでいます。

5Gの話になると儲かる、儲からないないという話題になってしまうのですが、どうすれば利益を出すことができるのか、本当に真剣に考える、これ以外道はないんだぞというところまで突き詰めて考えないといけないなと今日のお話を聞いて感じました。社内でもブレストしてみたいと思います。

毎日放送 齊藤氏

齊藤浩史氏

放送局だと5Gは「技術の話でしょう?」と捉えられるのですが、実は技術だけの話ではなく、5Gは放送局にとって迫り来るピンチ、もしくはチャンスだと思いました。

社内の「いい時代」を過ごしてきた偉い人達に、きちんと準備しないとだめだと伝えていかなければと。世の中がどう変わっていくのか、きちんと備えておかないと、チャンスになるかもしれないのにピンチになってしまう。

日本テレビ放送網 川上氏

川上さま

5Gに限らず、私はこれまで新しい技術を使ったサービス開発のための実験をしてきました。例えばVRやARなど一見すると放送局に直接関係ないと思われていたりしている技術ですが、私たちが持っているコンテンツやノウハウなどを因数分解していくと、必ず新しい技術とのシナジーが生まれる要素があるわけです。

今日のお話させていただいたように、編成力やスイッチング力が5Gとシナジーを生む可能性があると考えられます。放送局が持っている伝統技能、ノウハウと新しい技術を使えば視聴者、生活者のみなさんとこれまでの一方的な関係とはまた違う関係を築けると思いますし、それこそが放送局がやらなくちゃいけない道なのかと思っています。

少々、話が飛びすぎて会社に戻ったら何と言われるかわかりませんが(笑)、がんばっていきたいと思います。

企 クロサカ氏

クロサカタツヤ氏150

技術は人間を自由にするものだと思います。だからこそ、新しいテクノロジーを使いましょうと提案する仕事をしているわけです。現状、まだまだ「そんなことをやっちゃうの?」といったものも含めて山ほど自由があると思います。例えばこのLiveParkでは、先日、たき火の中継がありました。あれはすごいな、と。たき火のリアリティを考えていくって、これまでありそうでなかったものじゃないですか。そういうものを作り出していく、そしてそれを番組で観るという自由がまだあると思います。

ここ数年、日本社会は結構世知辛くなっているので、技術とは関係のないところで不自由さを感じる瞬間が多々あると思いますが、そういうときこそ技術を使って「それ本当にやるの?」ということができるのではないでしょうか。

今は固くなっていますが、昔の深夜ラジオは23時から朝の5時までとりあえず枠をおさえました、と時間だけ決まっていてあとは本当に自由に番組が制作されたこともありました。ああいったことが5Gの時代、いくらでもできるようになると思います。

5Gは使えば使っただけ、その使い方も理解できるし、アイデアも湧いてくる。いろいろなことが自由にできるようになると思います。

私はその末席、視聴者の立場になりますが、それをみなさんと一緒に考えることができれば、毎日が楽しくなるなと思います。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

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