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オフィスから住宅への転用が縁石空間の利用ニーズを変える懸念

case|知見

アメリカの諸都市では、住宅不足を背景に、パンデミックによって空いてしまったオフィスや商業用途床の住宅への転用が増加傾向にある。RentCafeの調査では、今後数年間によって、オフィスや商業床の転用で約12万戸の住宅が建設され、そのうち37%がオフィス、次いで23%がホテル、14%が工場からの転用と予想されている。

しかし、ゾーニングや、配管と照明のレイアウト、階段の位置などいくつかの要因が住宅への転用を複雑にするという理由から、他の用途から住宅への転用は単純ではないという指摘がある。なかでも、駐車場とカーブサイドマネジメントは見落とされがちな課題といえる。集荷や配達、送迎などでカーブサイドの利用ニーズは高く、住宅への転用で需要特性が変化する可能性があるため、公共交通の停留所や路上駐車帯、マイクロモビリティの駐車空間との競合を調整する必要があるが、その調整は一筋縄ではいかない

オフィスから住宅への転用を比較的多く進めているシカゴ市のコンサルタントを務めるKimley-Horn社のLemmon氏は、「どの住宅への転用プロジェクトでも共通の課題になるのは駐車場とカーブサイドマネジメントだ。」と述べる。また、「オフィスビルにとって物流搬入口は有効な施設だが、アマゾンからの配達を待つ住民にとって役に立つ施設ではない。ステークホルダーのニーズを見極めた対策の立案が必要で、技術依存は注意しなければならないが、データ活用の観点で技術の適用も考慮に入れるべきだ。」と指摘している。

insight|知見

  • 車庫証明は日本特有の制度だと聞いたことがあります。そのため、海外では、自家用車を路上駐車することは一般的ですし、マイクロモビリティのサービスもアメリカの方が導入されているので、カーブサイドの利用需要の特徴は日本とアメリカで異なることに留意が必要かもしれません。

  • 一方で、日本でも大規模再開発で物流の形態は変わりそうですし、宅配ニーズが高まる中で、現状のように路肩で駐停車して捌くというのは必ずしも道路利用にとって望ましいとは思えないので、カーブサイドマネジメントは日本でも考えないといけない課題だと思います。