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テック企業によるカリフォルニアでの新しい都市開発

case | 事例

リンクトインの共同創業者や故スティーブ・ジョブズ氏の奥様の他、ベンチャーキャピタリスト、ソフトウェア開発者など、テック業界やベンチャーキャピタル界の億万長者たちが支援するカリフォルニア・フォーエバー(California Forever)社は、カリフォルニア州北部サンフランシスコから約100km離れたソラノ郡の農業地帯に新都市を建設するという物議を醸す計画の詳細を公開した。同社は、郡に投票を求めるイニシアチブを提案する予定としていることから、今年後半にも住民の賛否を問う投票が行われるかもしれない。

カリフォルニア・フォーエバーは、ソラノ郡に約6万エーカー(242平方km=小樽市ほどの大きさ)の土地を取得しており、様々な住宅が建設される持続可能なウォーカブルなまちを作る計画を提案している。提案されているイニシアチブには、郡平均の125%以上の給与を支払う雇用を少なくとも1万5,000件創出すること、ソラノ郡の住民が新しいコミュニティで住宅を購入するための頭金支援を4億ドル提供すること、アフォーダブル住宅の建設に資金を充てること、大学や職業訓練のための奨学金など人材育成に7,000万ドルの資金を提供すること、公園・緑地・生態生息地の保護・農業支援に3,000万ドルの資金を拠出すること、郡の既存の市街地での住宅・オフィス・商業投資を行うことなどが示されている。

カリフォルニア・フォーエバー社が計画を打ち出す前、ソラノ郡の広大な土地を取得しようとしていたことが、一時的に米軍とFBIの注目を集め(空軍基地があるため)、地主の違法な価格操作を訴えた訴訟も起こしたことから、住民の間に懸念が広がっていた。その後、空軍基地周辺を含む地域の土地買収に約10億ドルを費やし、現在ではソラノ郡最大の土地所有者となっていることが明らかになっている。ただ、地元当局、環境保護団体、大規模な新都市が郡に与える影響を不安視する住民から激しい反対を受けていることから、計画が実現するかは不透明である。

insight | 知見

  • スケールが大きいので全然ピンと来ませんが、都市開発の同意を地域から得るために、新都市での持続可能な開発計画以外に、既存住民への住宅取得や就学支援、既存の市街地の整備支援など多方面で札束をちらつかせているのが分かりやすいですね。

  • カリフォルニア・フォーエバー構想は、農地の開発許可などの課題や記事にあるように様々な批判に直面していますが、サンフランシスコはじめカリフォルニア州の住宅不足という深刻な課題への1つの解決策を提示しているのでもあると思います。札束も必要かもしれませんが、住民や環境保護団体などの懸念に真摯に対応していくことが重要になるのではないでしょうか。