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バルセロナのルーフトップ活用国際企画コンペ

case | 事例

Reusing Rooftopsは、ミース・ファン・デル・ローエ財団と共同で、バルセロナの屋上を市民の生活の質を高める有用なスペースに変えるための国際コンペを開始した。このコンペティションは、ルーフトップという都市空間を持続可能な形で利用するための革新的なソリューションを提案する参加者を世界中から募るもので、デンマークのビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)、オランダのMVRDV、スペインのポラス・グアディアナといった建築事務所が審査委員を務める。バルセロナ建築週間のプログラムで、審査委員がスピーカーとなったコンペに関するイベントや、業界と行政の専門家によるパネルディスカッションも開催される。

対象となるバルセロナのアシャンプラ(Eixample)地区の建築は、産業革命時代のモダニズムの要素が見られ、アントニ・ガウディなどの著名な建築家による錬鉄、彫刻、陶器で飾られたユニークなファサードの建物が特徴的なエリアである。エリアは正方形に近い街区構造、採光のための均一な建物の高さ、換気可能な屋根や中庭などの建築技術が取り入れられている。屋上利用は見落とされてきたが、持続可能性を求める現代において新たな用途を与え、より良い都市生活や近隣住民・社会にとって魅力的なスペースに変えることを目的に実施される。

コンペの賞金は総額5,000ユーロで、1等から3等賞のほか、それぞれ500ユーロ相当の2つの特別賞が授与される。審査委員によって最も高く評価された提案は、雑誌、ブログ、建築ウェブサイト、ソーシャルメディアに掲載される。

insight | 知見

  • コンペの賞金は高いものではありませんが、バルセロナを題材にした提案がもし最優秀となって雑誌やソーシャルメディアに掲載されるのであれば、参加者にとってかなりのインセンティブになるのではないでしょうか。

  • 都市が抱える課題に対して、世界中から広く提案を受けることを日本国内の自治体はほとんど取り組んでいないと思います。英文での広報や契約などのノウハウに欠けていることが理由だとは思いますが、一度でも取り組まない限りノウハウが蓄積されることはないのも事実でしょう。

  • 海外から自身の都市について考えてもらうことは、多様な提案をもらう可能性があるのと同時に、より深く自身の都市を知ってもらえるきっかけになると思います。バルセロナのこんな少額の(と言ったら失礼ですが)提案競技でも、世界中から診てもらうことを通して、より広く・深くバルセロナを知ってもらうことができるのだと思います。