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ダブリン市の新たな電動カーゴバイク制度

case | 事例

アイルランド・ダブリン市は、市内でのカーゴバイクの利用を促進する新しい取り組みを発表した。
まず、これまでのパイロット・スキーム「Ecargo Bikes for Business」(地場企業が電動カーゴバイクを試用する賃借費用を最長12ヶ月間ダブリン市が60%補助)はそのまま制度化されることとなった。
新たに、コミュニティグループ、慈善団体、スポーツ団体などの非営利団体に電動カーゴバイクを貸し出す制度も立ち上がった(最長12ヶ月間の貸出し期間において、ダブリン市は費用を全額補助)。さらに、一般市民が無料でレンタルできる新しいコミュニティ・カーゴバイクも設置されることになり、市民が買い物など日常的な移動に活用できるか試すことができる。

2021年9月にダブリン市が始めたEcargo Bikes for Businessパイロットプロジェクトでは、22社の地場企業が6~12ヶ月にわたってカーゴバイクを試用したが、パイロット期間中に合計34,691kmを走行した結果となり、小型商用バンを使用した場合と比較して、推定4,372kgのCO2排出の排出を抑制したこととなった。試験参加企業の9割が自社ビジネスにカーゴバイクを活用できると回答し、4割の参加企業がカーゴバイクの使用がその後定着した。
このような実証実験の成功に基づいて今回の制度化となった

ダブリン市長は「カーゴバイクは環境にも健康にも良い。ダブリン市の気候行動計画、開発計画、ダブリン市民と企業の気候変動に対する取り組みに沿うものだ。」としている。ダブリン市は現在、カーゴバイクの試用を希望する企業や非営利団体の申し込みを受け付けている。

insight | 知見

  • 日本でもまち中で宅配業者がカーゴバイクを使って配送する光景を目にすることがありますが、恐らく宅配業者の企業努力だと思われ、自治体がその普及や活用を後押ししている事例はあまり聞かないと思います。

  • 都市内物流の脱炭素化や渋滞の緩和に関して、自治体は共同配送や荷捌き駐車場の設置制度などの仕組みづくり以外に、カーゴバイクのような配送手段の普及促進も施策として考えられるのではないでしょうか。