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かわいそうはかわいい合同補足

雰囲気漫画を愛しており、雰囲気で読ませたかったので敢えて情景を飛ばし飛ばしで描いたみたいな構成になったのですが、あまりにも雰囲気過ぎるので補足の話をします。

補足の話が要らない人は読まない方がいいです




基盤の話

まず大元の基盤はマイ・スイート・ハネムーンです。「世界中がエキストラ」と「口付けしたら『月が奇麗だね』と告げる」のところです。

世界が終わってPとまゆの関係性が崩壊したことで「世界中がエキストラ」になったという感じ。Pとまゆが恋人になってハネムーンを過ごす為にはこの世の全てがエキストラ=犠牲にならなきゃいけないんだというところから始まりました。

内容の補足の話

ここのコマは「自分の恋心に鍵とおまじないをかけていたものが崩れ溶けていく」感じを表現した…つもりです。上から垂れているのは解けたリボンです。

これは白いフキダシが建前で黒いフキダシが本音です。

因みに同じページにあるPの「…嬉しいし可愛いけど」は初めてまゆに直接伝えてます。前々からまゆの好意に嬉しく思っていたしまゆを可愛く思っていたけど、Pという立場から絶対に口に出していませんでした。世界中がエキストラになったおかげで言えるようになりました。よかったね。

ここのシーンのセリフ、「なに?」て思われた方いらっしゃると思うんですが、これは私が広島県民で穏やかな瀬戸内海しか知らずに育って、初めて冬に日本海を見て「海ってこんなに波が立つものなんだ!」と感動して思いついたセリフです。まゆは仙台生まれだから海の波の恐ろしさは知ってるはず。

(本当は「仙台生まれなら」とセリフが入るはずでしたが、3.11の件があり他人の合同誌でそれをやるのは流石に…となり抹消しました)

この後の「早くしないと置いてくぞ」は、まゆが本心では死にたくないことを見抜いていて、「お前が死ぬか死なないかを選べ」とPが暗に言っています。そう、作中にもあったんですがこのPってどこまでも狡猾なんですよね。自分からは言わずに全部まゆに選択させてるんですこの男。マフラーを持っていたのもまゆが土壇場で「死にたくない」って言うのを見抜いていてキスで黙らせるつもりで最初からこっそり持ってきてました。

「月が綺麗」に対して「もう死んでもいい」と返すのがテンプレですが、それもまゆの2曲目のソロ曲ごと利用してます。まゆはPからの「愛してる」を拒絶できないので、「死んでもいい」と口に出させるために敢えて満月が浮かぶ夜の海を選んだんですこの男。まゆに寄り添って優しいように見えて実は残酷なことをしています。

最後にこのシーンは、唯一Pが死に対して恐怖を感じて曇っているところで、まゆもそれに気付いています(だからまゆに一切の色が無い)
どれだけ死を望んでいてもいざ死ぬ時は衝動性が無い限りは恐ろしいものだと思っているので、きっとPも怖かったんだろう、でも大人だからまゆを不安にさせないようにずっとそれを隠してました。最後の最後で崩れちゃうのが人間らしくて良いなと思ってこのコマを入れました。そしてこのPのセリフは自分自身に言い聞かせてます。自殺の正当化と、自分達が特別であると信じ込みたい気持ちからこの言葉が出てきてます。


Pまゆはそもそも存在自体が特別なので何がどうなろうと特別であることに変わりは無いのですが、「普通の2人」として存在するためには「世界中をエキストラ」=「アイドルとPの関係をなくす」としないと出来ないのでは無いのかな…と。


表現の話

今回は現実と非現実、生と死にスポットを当てて描いたので、カラーだったり色ずれがされていたりそうでなかったりするページがあるのですが、まず色ずれがされているページは非現実寄りのシーンです。ていうかほとんどがそうだ。

あと見開き2ページでシーンが転々としています。あんまり長くなるとダレるし合同誌だし。要求を快諾してくれた主催様に感謝ですね…

実は締切もめちゃくちゃ遅れました。Twitter見てた方は分かると思いますがこう…倒れたり…色々してて…本当に主催の方には頭が上がらないです。この場を借りて感謝。

この2ページだけ色ずれをしてないんですが、これは2人が必死に日常を保とうとしているから、死の運命に抗おうとしているから色ずれを敢えてしませんでした。他のページではPかまゆかどちらかの情緒がグラついているので色ずれが施されています。

また、生を近く感じれば感じるほど色が鮮やかになって、死を近く感じれば感じるほど色が無くなっています。この2枚が1番わかりやすいと思います。

読み返してて本当にこのP酷すぎる。になった。死にたくない16の少女に死んでもいいなんて言わせるなよ!でも私は癒し枠でした。

「お前の言う〜救われるのかな」の言葉は自分にもまゆにも言っています。一応謝ってるし…いいのか…いいのか?

没シーンの話

ここにある通りPは自分の手でまゆを殺したかったし、まゆの手で殺されたかったんですが、その描写を入れると本当に個人誌でやれよという長さになるので省略しました。漫画を描く時私はプロットとか抜きでセリフだけメモするんですが、そのメモがこちらになります

     長  す  ぎ


しかし30Pくらい書いてる猛者がいたので入れても良かったかも…とは思いました。結果論。最初で最期の殺人が、自分が愛した相手だというのはとても素敵なことなんじゃないかなぁ〜と思いながらセリフを書いてたんですが…ま、しゃーない。しかもこれ結局まゆは刺してなくて、Pが包丁を持ったまゆに抱きついたから必然的にナイフが刺さったという状況です。

ほんまこの男………………


とにかく現実的な面を前面に出したかったので(出来ませんでしたが)最初は物質でPがまゆを殺そうとしたり(本当にちゃんと死ぬのでぼかしています)色々考えたんですが結局心中に落ち着きました。本当は精神的リョナと身体的リョナ両方描きたかったんですがやはり様々が…いや私も悪いけど…

ということで大体の補足等々は終わりです。読んでくださりありがとうございました。とにかく私がこの漫画の主題としてたものは

人っていざ死のうとするとビビる‼️

です。

Pが何で生に頓着が無いのかとか、そこら辺の補完はいつか漫画にしてTwitterに載せたいなぁ〜と思っています。

楽しかったからまたいつかなんか本が作れたらいいな…お金ないから寄稿の形になりそうだけど(カス)


主催様、購入してくださった方、読んでくれた方、全ての方々に感謝を!ありがとうございます!

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