ラジオ「LL教室の試験に出ないJ-POP講座」(5/2土25:00~O.A)


▼今週の1曲M-1 でんぱ組.inc「もしもし、インターネット」

ハシノ:4月15日リリースのニューアルバムから。諭吉佳作/menが提供した曲です。
矢野:年始にJ-POPをめぐるシンポジウムみたいなものに参加したのですが、そのときも「今年ブレイクしそうな人として諭吉佳作/menの名前が挙がっていましたね。
ハシノ:この人、曲の作り方が他のアーティストと全然違う感じがする」
矢野:色々と感覚が新しそうですよね。去年、崎山蒼志のアルバムに諭吉佳作/menのほか、君島大空や長谷川白紙が参加していて、ジャンルを越えて新世代の台頭を感じました。
ハシノ:でんぱ組.incでいうと、アルバムとは別に、緊急事態宣言に即座に反応してこういう曲をYoutubeで公開しましたね。

「なんと!世界公認 引きこもり!」
https://youtu.be/lAfPuUaSZQc

矢野:これはぜんぶ在宅で?
ハシノ:「そう。企画からオファーからレコーディングまで全部リモートらしい。8日間でやったとか。作詞ヒャダイン、作曲浅野尚志っていう鉄板の陣営で。
矢野:うちで踊ろう」の流れですね。今の時期に聴くとしみる。
森野:もともとリリースする予定だった曲なの?
ハシノ:いや、緊急事態になってから思いついたとのことです。
森野:もう随分前からアイドルの曲が全部同じに聞こえてしまうんだよね。たぶん声の出し方を一番前で受け止めてしまってるからだと思うんだけど。
ハシノ:ここ最近のでんぱ組の活動をみてると、ガバナンスがきいてるなーって感じがする。もふくちゃんがプロデューサーに復帰して格段に動きが良くなった。台湾とかドイツのコロナ対策の動きの速さみたいな。蔡英文とかメルケルみたいな」
矢野:でんぱ組にとってもふくちゃんの存在は大きいですよね。
森野:ディアステとかMOGRAとかアニソンDJのあたりもそうなんだっけ?
矢野:2010年前後くらいのMOGRAの盛り上がりってありましたよね。
森野:これはボニー・ピンクの曲に似てる気がするね、発音がいいやつ!
矢野:A Perfect Sky」ですよね。同じこと思いました。


▼今週のテーマ「猫」
M-2 忌野清志郎「僕の目は猫の目」

森野:ザ・清志郎って感じ。
矢野:これいつぐらいの曲ですか。
森野:91〜92年頃。RCの実質最後のアルバム「Baby A Go Go」が1990年に出て、その後にMG'sとレコーディングをした「メンフィス」ってアルバムに入ってる曲。
矢野:ってことは、バックにはドナルド・ダック・ダンとかがいるわけですね。
森野:そうそう。この後MG'sが再結成していて、清志郎のおかげだなんて話があったんだよ。最初のニャ〜ってのが清志郎っぽくていいでしょ。照れ屋なのにこういうのはやってしまう感じ。
矢野:いいですね。90年代の清志郎のヒット曲ってなんですかね
ハシノ:『パパの歌』とか?
森野:あと、『いつか観た映画みたいに』って曲が武田鉄矢の映画の主題歌でよくかかってたね。あとは篠原涼子とデュエットしたり、ドラマにも出てたり、タイアップや企画モノをいろいろ試してた印象だね。
ハシノ:あと90年代後半の清志郎といえば、フジロックに毎年出てて、99年の『田舎に行こう』って曲がフジロックのテーマ曲みたいになったりして。フジロックの象徴みたいな存在になった。
森野:おじさんロックになりかけてた印象もあったけど、フェスの象徴みたいになって若い人にも人気が出たって感じがするな。でもそれも多くのアーティストが慕っているってことに尽きるのかも」

M-3 Minako with Wild Cats「あなたと、熱帯」

ハシノ:これ本田美奈子の1988年の曲で、当時はもうバンドブームが始まっていて、一方アイドルはもう厳しくなってきてる時代で。菊池桃子のラ・ムーとかと同じで、脱アイドルでロックバンドを結成する流れがありました。で本田美奈子はSHOW YAみたいなガールズハードロックバンドを結成したっていう。しかもこの曲、作詞松本隆で作曲忌野清志郎。清志郎は他にもアイドルに曲書いたりもしてて。中森明菜とか。
矢野:この「熱帯」ってのは「寝たい」とかかってるんですね。
ハシノ:そうそう。
矢野:そこはタイマーズ的なやりくちですね。「大麻だなんて言ってませんよ」「そちらが勝手にそう思ったんでしょ」みたいな。それにしても、松本隆と清志郎って組み合わせは意外と珍しいですね。

M-4 柴田聡子「心の中の猫」

矢野:2019年の『がんばれメロディー』ってアルバムからの曲。柴田聡子さん、歌い手としてすごい才能だと思っているのですが、リスナー層が見えないと言えば見えない。
ハシノ:カネコアヤノとかとかぶるのかな。
矢野:最初はもっとオルタナの渋いイメージでした。テニスコーツの植野隆史とスプリット盤を出したりして。でも、いまだったらたしかにカネコアヤノや中村佳穂とかと一緒に聴かれるのかな。
森野:あんまりそういうふうに聴こえないね〜。
矢野:柴田聡子は好きでもカネコアヤノは好きじゃないという人はいそう。中村佳穂が好きでもカネコアヤノが好きじゃないという人もいそう。でも、カネコアヤノは好きでも柴田聡子は好きじゃないという人もいるかも。なんかじゃんけんみたいになってきた。
森野:中村佳穂は歌声がすごいよね。音楽のジャンル云々でなく、歌い出せば勝手に場ができる感じがするタイプの」
ハシノ:それにしてもこの曲、『心の中の猫』ってことは猫は実在してないのかな?
矢野:おお、たしかに!
ハシノ:猫飼ってると、目の前に猫がいなくても家のどこかにいるんだろうなっていう気配がするようになるんだけど、なんかその気配って曲になるんじゃないかっていう発想でできた曲なのかも。


M-5 猫「さよなら僕はきまぐれ」

森野:吉田拓郎プロデュースの曲ですね。フォークグループだけど、このあたりが最初のソフトロックって言われ方もするよね。ソフトロックっていう言葉が「ソフトロック」というジャンルではなく、ソフトなロックっていう形容の意味で使われてた頃なのかな。

矢野:ソフトロックはいつかちゃんと語らなければならないですね。この曲はカーペンターズとかコーラスワークのきれいなフォークという感じですね。あとはビーチボーイズ的な「ソフトロック」やロジャニコ的な「ソフトロック」の流れもありますよね。

ハシノ:この曲にはどっちかっていうとサイモンとガーファンクルを感じる。

森野:このコーラスワークとかはいいでしょ?

矢野:フィフス・ディメンションみたいなサイケ感もある。

森野:この曲はアルバム曲で、シングルはもうちょっとストレートな感じですね。

ハシノ:フォークにサイケ感が入ってるっていうのは、やっぱりヒッピーの流れってことなんですかね。

M-6 ガールズ「野良猫」★

ハシノ:1977年のガールズバンド。メンバー全員女性で全員楽器を演奏するバンドっておそらくこのバンドが日本で最初なんじゃないかな。
矢野:けっこう売れたんですかね。
ハシノ:いや、ぜんぜん。当時ランナウェイズが流行っててそれの和製ランナウェイズって感じで作られたバンド。ただここのギターがのちのジューシィ・フルーツのイリアっていうね。
森野:当時のバンドって、こういうロックギターじゃないとバンド結成に至らなかったんじゃないかな。偏見かもしれないけど、我々世代ですら不良でませた子たちじゃない限り早いうちからバンド組んだりしてなかったから。音楽的に成熟した感じっていうよりは、10万人ギターを持つ人がいてその中に5千人女性がいて、その中で…って感じでふるいにかけられていってこういうのが残ったみたいなイメージ。

矢野:ジューシーフルーツってきいて近田春夫さんを思い出しました。77年って『電撃的東京』の頃で、近田さんは歌謡曲カバーをやっていますよね。そう言われてみると、この曲は黛ジュンみたいなひとりGS(女性GS)の延長にある気がする。そして、その後イリアはテクノポップにいく。ようするにイリアのような人は、60年代後半にデビューしていればGS、70年代ならロック、80年代ならテクノといったように、各時代のアイコンになりえた人だったのかも。
森野:そうそう、そういう感じ。音楽的スキルっていうよりは、そこまで前のめりなバイタリティがあったんだよ。

M-7 姫乃たま「猫の世界はミラーボール」

矢野:姫乃たまさんは「地下アイドル」を自称しながら活動していて、今はライターという肩書きになります。で、ライターになる直前のアイドルとしての最後のアルバムが『パノラマ街道まっしぐら』で、これはその中の曲。作詞作曲は入江陽さん。他にもカーネーションの直江さんや長谷川白紙さんが参加していて豪華です。


M-8 電気グルーヴ「猫夏」★


矢野:アルバム『A』だとこの次にシャングリラが来るんでしたっけ。
ハシノ:えっと、次は「あすなろサンシャイン」だ。「ガリガリ君」「猫夏」「あすなろサンシャイン」「シャングリラ」って流れ。強いなー。やっぱこのアルバムすごいわ。全体の流れが。
森野:このアルバムの後ちょっと空くんだよね。
ハシノ:そうですね。次の『VOXXX』まで時間空いたはず。
森野:『VOXXX』が出る直前にオールナイトニッポンが特番で復活したんだけど、このあたりでたしかまりんが抜けるんだよね。
矢野:「猫」の特集で歌詞はないけど、聴いたときに曲名にピンと来る人がいたら嬉しい。それにしても、ピエール瀧が逮捕されてサブスクからも電気グルーヴの曲が消えるのはあらためてとんでもないな! こうやって選曲する立場で実感するとまた腹立たしくなる。

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