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「料理人としてのキャリアの選択肢を増やしたい」 異色の経歴の料理人がホテルの厨房から考える新しい働き方

HOTEL SHE,OSAKAやThe Ryokan Tokyo YUGAWARAなどのホテルや旅館を全国で5施設運営するL&G global business には、多様な経歴を持った若い社員が集まっている。しかし、誰もが「ホテルで働きたい」という理由から入社したのかといえば、実はそうでもない。「企業風土に惹かれた」「人事制度を整えたい」「料理人としての才能を生かしたい」など、動機はさまざまだ。そんな多種多様な背景を持つ社員を紹介する連載の第12弾では、HOTEL KUMOIの料理人を務める鶴田尚大をご紹介。料理人としてのキャリアは短いながらも、ホテルにおける飲食業の可能性を探求する彼のキャリアに迫る。(※この記事はwantedlyの転載です)

鶴田尚大(つるた・たかひろ)|1994年生まれ、香川県出身。学生時代はサッカー部に所属。幼い頃から料理に興味を持ちつつも、手に職をつけるために放射線技師を目指して岡山県にある川崎医療短期大学に進学。その後、香川へ戻って実家の定食屋を手伝うように。2年目には実質店長として一人でお店の運営を担当。2018年に料理人としてさらなる可能性を模索するためにL&Gへ入社。現在は層雲峡にあるHOTEL KUMOIでシェフマネージャーを務めながら、他施設のメニュー開発など料理全般に携わる。

安定を目指して放射線技師を志すも、気が付けば実家の飲食店店長に

−−現在層雲峡の料理人を務める鶴田さんですが、いつ料理に興味を持ったんですか?

鶴田
もともと小さい頃から料理が好きだったんですが、高校卒業後も将来の目標がなくて、料理人もありかな、くらいに考えてたんです。それで料理の専門学校へ行くか、料理は趣味として安定した職を探すか悩んで、結局は放射線技師の資格をとるために専門学校へ行くことを決めました。安定をとったんですよね。

−−ということは、当時は卒業後、放射線技師になろうと?

鶴田
はい。そう思ったのですが、卒業後に悩んで、一旦香川に帰ることにしたんです。そうしたら、なぜかそのタイミングで父親が突然飲食店をやると言い始めて(笑)。2カ月後には定食屋兼居酒屋みたいなお店をオープンしたので、僕も手伝うようになったんです。最初は週に1回くらいのつもりが、比較的忙しくなって、気がついたらフルで入ってて。1年経ったら父親も自分の仕事があるからと、僕一人でお店を運営していました。実質の店長ですね。

−−ええ。これまで料理の勉強は?

鶴田
全くしていなかったです。専門学校の時には一人暮らしをしていたので、友だちが来たら料理をしていた程度で。最初は右も左もわからない状態でしたが、とくに凝った料理を出しているわけではなかったので、なんとかなりました。でも、飲食店で働いた経験すらないので、最初半年くらいは本当に大変でした。

--お店はなかなか繁盛したんですか?

鶴田
おかげさまで、オープンから半年くらいはお昼もつねに満席状態で。放射線技師になることなんて、考えられなくなりました(笑)。


この箱を飛び出して修行をしながら、違う世界を見てみたい

−−なるほど。でも、料理が好きだったからこそ、料理の仕事ができたことはうれしかったですか?

鶴田
今思えば、よかったなと。料理の仕事を続けたいと思いました。だからこそ、少しずつ、もっと修行をしたいと考えるようになったんです。それで、丸2年でお店を辞めました。

−−転職を考えた?

鶴田
はい。小さい店ですが、知識がない状態で店を自分で回してきたからこそ、このままだと成長がないんじゃないかと思ったんです。今の箱を出て、修行というか、違う世界へ行きたいなと。技術を学びたいというよりも、もっと楽しくいろんなことがしてみたいと思ったんです。

−−具体的な転職方法は?

鶴田
普通に転職サイトで料理人募集の記事に目を通していたんですが、正直どこもそんなに変わらないなと思ったんです。そんな時にL&Gで料理人の募集があって、この会社の掲載内容はなんか違うなと思って。調べてみたら社員もみんな若くて面白い会社で、これから会社を大きくしていこうという雰囲気だったので、ここで働いたら楽しそうだなと。僕の性格上、一度面白いと思ったらすぐに行動してしまうタイプで、その時すぐにL&Gだけ応募をしました。

−−何が違うなと感じましたか?

鶴田
普通の飲食店には料理長がいて、副料理長や料理ごとの担当がいて、料理人としての修行の道が決められているんです。でも、L&Gはまだ成長過程だから、自分で道を作っていけるんじゃないかと思いました。

−−なるほど。そして、面接を経て入社が決まると。

鶴田
はい。入社が決まるとその後、北海道層雲峡のHOTEL KUMOIで働くことになりました。


メニュー開発と試行錯誤の日々、お題は「8割以上のお客様が満足する料理」

−−入社したばかりのHOTEL KUMOIはオープン直後の繁忙期だったかと思います。

鶴田
最初はとにかく目の前のことをこなすだけで精一杯で。体力的にはハードでしたが、ほぼオープニングメンバーのような扱いで迎えてくれて、一緒に立ち上げの時期を乗り越えられたのは楽しかったですね。またメニューを一新するタイミングで、メニュー開発を一緒に担当することになりました。

−−それは、もっと大変そうですね。

鶴田
だけど、自分が考えた料理を直接お客さまに出せるのはすごくうれしいことなので、やりがいしかなかったです。料理を考えている時間はすごく楽しかったし、日々身につけたことをすぐに使えるというのがありがたかった。

−−メニュー開発で気をつけたことはありますか?

鶴田
「8割以上のお客さまが満足する料理」というお題がありました。層雲峡のお客さまは外国の方が半数ほどいらっしゃるので、和食にしつつも、外国の方でも馴染むようなメニューを意識しました。

−−どうやってメニューを考えるんですか。

鶴田
コンセプトを考えて、アイデアを探して、実践をするという流れです。ちょうど4月にもメイン料理を鴨肉に変更したんですが、“層雲峡っぽさ”を表現することを目標にアイデアを考えました。


料理人としての新しいキャリアを提示していく

−−現在の仕事はKUMOIでの料理全般と、メニュー開発というイメージでしょうか。

鶴田
はい。HOTEL KUMOIの配膳や声かけなどを含めて、全てを担当していたり、今では他の施設のメニュー開発にも入っています。また、生産者とゲストをつなぐような企画を進めています。ホテルはただ食事をする場所ではなく、もっと体験を提供できるはずだと。社内チャットでアイデアを投げて面白ければ実現するというトークルームがあるんですが、この企画に対してもクリエイティブチームの力を借りつつ、(HOTEL KUMOIのある)上川町の生産者と話を進め、具体的なメニューを検討しているところです。

−−それは面白いですね。

鶴田
L&Gのコンセプトでもある“ソーシャルホテル”という考え方をHOTEL KUMOIに落とし込んだ時に、ホテルは生産者とゲストをつなぐ空間になるんじゃないかと思ったんです。生産者はほんとうに手間暇をかけて食材を作っているにもかかわらず、顔も知らずにただ美味しいものとして料理を食べることがほとんどじゃないですか。なぜこの料理は値段が高いのかとか、どれくらい貴重なものかとか、全てに理由があるはずで、それをホテルとして伝えていくことで、驚きや感動などの付加価値を届けられたらいいなと。

−−料理人といいながらも、ただメニュー開発をするだけじゃないところが面白いですね。

鶴田
僕は料理人としての新しいキャリアのあり方を提案したいと思うんです。自分自身がそうだったように、趣味の延長として楽しみながら料理を仕事にできるんだと。とくに、メニュー開発などの現場から離れる仕事は普通経験を積まなければできないものじゃないですか。もちろん最低限の技術を学ぶ姿勢は必要ですが、料理人としての選択肢が増えるような環境を作りたいんです。

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(執筆:角田貴広 企画:金井塚悠生 撮影:延原優生)

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