ソンディア戦記~白刃の団~

ソンディア戦記~白刃の団~

アルヴィン・サンダーブレイド

かつて渾沌の時代至りし時、各領域で渾沌の侵攻に対し、絶望的な戦いの最前線で闘い散っていった名もなきアズィルの騎士達と戦士達…。その彼らが再鍛されたストームホストこそが『ブレイド・オヴ・シグマー』である。
その彼らを率いるロード・セレスタントが、『雷刃(らいじん)』と称されるアルヴィンだ。
彼はかつて、アズィルの門が閉ざされる時、その門前にて討ち死にした騎士の一人である。
アズィルへと退却する民衆を守るため、数多の騎士、戦士達が戦ったが、彼は十人の部下と共にただ十一騎、攻め寄せる渾沌の諸軍の前に立ち塞がった。
彼と彼が率いた十人の勇士達は、己が無事にアズィルへと生きて帰れることはないと知っていた。ただそれは、愚直さが為さしめた蛮勇故にではなかった。
一人でも多くの民をアズィルへの門へと通すために…。
その為に彼と十人の勇士は、持てる限りの全ての勇と智とを振り絞って戦ったのだ。

ある者は、門へと至る峡谷の橋にただ一騎立ち塞がり、時を稼いだ。

ある者は、アキュシーからの魔力の風を操り、自らを囮として渾沌の諸軍を廃村へと誘引し、己と村と共に業火に包み、戦力を削った。

そしてアルヴィン…かつて、アルベルト・ウンベローゲンと呼ばれたアズィルの騎士は、ただ一騎、最後までアズィルへと通ずる門が塞がれるその瞬間まで、一人でも多くの民を逃すため、その門前にて戦ったのである。

最期のその時、彼の首はコーン神に仕える赤黒い肌の巨大なグレーター・ディーモン…ブラッドサースター、ラヴァーザリアスの振るう、彼の身の丈よりも巨大な斧によって断ち切られた。
しかし、彼の魂とその骸とは、コーン神の真鍮の玉座を飾ること、叶わなかったのだ。
禍々しい斧の一閃と共に彼の首が血を引き、宙を舞ったその時…今まさに閉じられんとしていたアズィルの門より放たれた一条の雷撃が、彼を瀕死の愛馬と共に打ち据えそして、シグマーの座す天界へと連れ去った。
そして今…。シグマーの御代来たりて騎士アルベルトは、アルヴィン・サンダーブレイドとして『再鍛』を受け、再び<定命の領域>へと光臨を果たした。彼と共に戦った、十人の勇士達、やがて『雷刃の十勇士』と呼ばれることとなる英雄達と共に…。

『ブレイド・オヴ・シグマー』
ハンマー・オヴ・シグマーと並んで最古に列せられる、白き鎧の戦士たちによるストームホストがブレイド・オヴ・シグマーだ。

しかし、最古参でありながらブレイド・オヴ・シグマーの戦士達は、〈定命の諸領域〉へと降り立ち帰り来る時を『魂魄戦争(ソウルウォーズ)』の火蓋が切って落とされた後まで待たねばならなかった。
それは、彼らこそが最も古の竜たちとの絆を深めることを求められたストームホストであったからだ。

シグマーは拡大する戦線に応ずべく、エクストレミス・チェンバーを解き放ち、サクロサンクト・チェンバーに出陣を命じ、永劫者へ〈八大領域〉に広がる戦火を鎮めるべく力を振るうことを求めた。
しかし、古の竜たちの全てがその力を取り戻したわけではなく、ブレイド・オヴ・シグマーの勇士たちとの間にその絆は十分に築かれるにはまだ、早かった…。

そして、竜たちそのものがまだ、十分な目覚めを迎えていなかった。


魂魄戦争のその前には、スタードレイクは言うまでもなく希少であり、荒々しく猛々しいドラコスもその数は限られる。ストームドレイクはもちろん、ドラコラインすらまだ参陣は叶わずにいた…。
シグマーは、そのような戦況下でのブレイド・オヴ・シグマーの参陣を遂に許さなかったのだ。

そしてブレイド・オヴ・シグマーの戦士達は、ただひたすら鍛錬と修練を積み、竜たちとの絆を築き深めるために、刃を焔と氷にくぐらせて鍛えるがごとくに我が身を鍛え抜いていったのである。

それが故、ブレイド・オヴ・シグマーの戦士たちには、エクストレミス・チェンバー以外のチェンバーやパラディンコンクレイヴ以外のコンクレイヴに属する戦士たちにまで、竜との絆を得た者が幾人も生まれ得た。

彼らはそれを誇り、竜との絆を示す意匠を身に着けることが多い。
例えば、ナイトクエスターのギャラハン・ストームソードが被る兜はまさに、ドレイクスウォーンテンプルに列する栄誉を賜る戦士のみが身に着けることを許された意匠である。

そしていまや、時至れり。

ストームドレイクが目覚め、クロンディスとカラザイが立ちあがりし今、シグマーは遂にブレイド・オヴ・シグマーへの出陣を命じたのである。

『白刃の団(WHITE BLADE COMPANY)』
白きシグマライトに身を包んだストームホスト、『ブレイド・オヴ・シグマー』の精鋭が白刃の団と呼ばれる一団である。
彼らは将たる『雷刃』その人の直卒を受けし勇将猛卒であり、『雷刃』その人が出陣する時、必ず戦場を共にする者どもである。

永劫者の中でも随一の剣の達人である『雷刃』は、垂範率先の将である。どのような小規模の闘いであろうとて、その戦いの重要性を見極めれば自ら出陣すること躊躇わない。
時には境界門をまたぎ、いくつもの領域にわたって転戦することも珍しくない。

エイトポイントにおける小規模遊撃戦のような戦況で『白刃の団』の中核を担うのは、各コンクレイヴよりプライム達精兵を中心に選り抜かれた者どもだ。
直近ではクニーガ・グラードにおける闘いにて、『雷刃』直卒の『白刃の団』が目覚ましい戦果を挙げている。

そして今、〈獣の領域〉へと降臨した『雷刃』アルヴィンの直卒を受けるは、やはり竜との縁深めし者たちである。

なんとなればこの地、この領域こそ…クラグノスと竜との因縁の地であるがゆえに…。

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