見出し画像

多様性のある豊かな環境を強みに 人と人がつながって新たな「生業」を生み出す

世界農業遺産にも認定された「能登の里山里海」に囲まれて暮らす能登町の人々。そこに暮らし、生業を受け継ぐ人たちが、新しいチャレンジへと動き始めています。UIJターンで気づいた土地の魅力、地域を広げた越境交流による事業の広がりは、地域資源をもっともっと活用できるヒントも与えてくれます。

■開催:2021年8月5日(木)19:30~21:00 オンライン開催
■対談テーマ:越境交流で新規事業を創出し、若者が挑戦しやすい能登町の仕掛け 能登ローカルシフトアカデミー説明会
■オンライン動画URLコチラ

■登壇者 ※敬称略
数馬嘉一郎(数馬酒造 5代目蔵元(明治2年創業))
平美由記(ひらみゆき農園 代表)
森進之介(能登町定住促進協議会 移住コーディネイター)

■モデレーター:稲田佑太朗(ソーシャルビジネスディレクター)

画像1


■ゲスト紹介

画像2

数馬酒造 5代目蔵元(明治2年創業)
数馬嘉一郎

 大学進学をきっかけに上京。都内のベンチャー企業に勤めた後、地元能登町にUターンし、24歳で5代目蔵元・代表取締役に就く。「能登を醸す」を経営理念に、新しい時代の酒蔵の在り方を追求すると共に、能登の地でSDGsを実践する企業として、2015年には季節雇用の杜氏制の酒造りから社員がメインの酒造りに移行。その後、わずか5年でIWC(インタナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門純米酒カテゴリにおいて金賞およびリージョナルトロフィーを受賞し、世界に認められる。

「数馬 嘉一郎です。1869年創業の実家の酒蔵を経営して11年目になります。『竹葉(ちくは)』という名前の日本酒の醸造や、廃業したワイナリーを活用したリキュール事業、10数年前に廃園になった保育所を活用した醤油の製造という3つの事業があります。
能登の魅力を最大限活用することを理念として掲げ、『地域社会を牽引する企業になる』ということを目指して日々経営をしています。」

画像3

ひらみゆき農園 代表
平美由記

 1978年生まれ。能登町出身。短大時代は食物栄養学を専攻。金沢での約4年のOL生活を経て、地元柳田にUターン。2010年より父から受け継いだ農園で無農薬ブルーベリーの生産を始める。現在は県内で活躍する若手女性農業者と交流を深めながら、ブルーベリーを活用した商品開発にも取り組んでいる。4児の母。
「平美由記です。私は能登町でブルーベリー農家をしています。農業に携わるきっかけは、父の他界で、農園を継いで11年目になります。農家になって思ったことは、生のブルーベリーの出荷だけでは年間の生業が作れないということ。そのことが後継者不足を生み出していることです。そこで自分が生業を作ることで次の人に繋げられるんじゃないかと思い、それを目標に六次化に取り組み、これまで活動を続けてきました。」

画像4

能登町定住促進協議会 移住コーディネイター
森進之介

 石川県金沢市出身。株式会社リクルートで採用企画や広告を担当後、学生支援の事業で独立。その後、デザイン会社のディレクター等を経て家族6人で能登町に移住。自身の移住経験を活かしながら移住・定住・起業・継業支援等を行いつつ、能登の自然を活かした子育ての地域活動も行っている。
「森進之介41歳です。6年前に金沢市から移住しました。仕事は能登町に移住して暮らすための支援、定住するための支援をしています。能登町に移住したい人から相談を受けるんですが、まず能登に共感を持ってくれるかどうかが大事なポイントです。能登の文化風習そして、よそからみたらまだ活用されていないもったいない資源ともあると思うので、そういうところと、人とつなぐのが役割かなと思っています。」

境を越えて生まれる、新しい文化や仕事

今回は、越境交流をキーワードに、境界線を越えて人や文化が行き来することで、町の活性化を図る仕掛けについて考えてみたいと思います。事業でいうと、他の事業とコラボしたり、人でいえば能登町にとどまらず、他の地域の人と一緒に何かをすることもしかり。
今回は能登町在住の3人に、事業の様子や、能登町の産業の魅力を語っていただきます。

UIJターンしてわかる能登町の面白さ

数馬:食に携わっている業界というのもあるんですが、食卓が知っている人のもので揃いますね。それから四季がはっきりしてそれぞれのライフスタイルが楽しめるという点。それは県外で働いていた時と明確に感じ方が違うなと思います。

平:私が帰ってきたいなと思ったのは、ここで子育てがしたいという思いがありました。自然が豊かで四季がはっきりしていて、自分が作ったお米とか、おばあちゃんが取ってきた野菜とかを食べさせて子供を育てられるという環境はすごくいいと思っています。

森:お二人の話を聞いて、改めてUターンの人のことが羨ましい。数馬さんが言われた、食卓に生産者の顔が見えるというのが、それが当たり前に育っているんですね。そういう土地で育った人はすごく心が広い、人がすごくいい。僕が移住した理由は、子どもにそういう価値観になってほしかったので、ここで子育てがしたいというのが、きっかけでした。

画像5

越境交流での新たな取り組み。違いを得て掛け合わせる

地域を越境し、さらには業種の垣根を超えて越境しながら仕事を生み出しているゲストのみなさん。今どのような新しい取り組みに乗り出しているのか、気になるところです。

数馬:SDGsに取り組んでいることもあって、売り手よし買い手よし世間よし、さらに社員さんにも、地域にも、未来にとってもいいみたいな「六方よし」を経営に取り入れています。そのひとつが耕作放棄地を利用した日本酒の醸造であったり、なくなった保育所を利用した醤油の醸造所など、新しい取り組みにもつながっていると思っています。

平:4年前から廃棄するブルーベリーを染料にするという取り組みで、県内にある北陸先端科学技術大学院大学の先生と連携して、今年の春にブルーベリーで染めたマスクを作りました。今年ひとつ製品化して、いま東京の大学と、北陸先端大と福井の繊維会社の方と一緒に、農作業着の制作に取り組んでいます。

森:僕自身も能登に魅了されて来たんですが、移住希望者の中にはやりたいと思うような仕事が少ないというのがあるんですね。かたや、人手が足りないから受注を減らしている会社さんもありまして、だったら仕事の種類を増やさなきゃなというところがありますね。

楽しさ、やりがいは、人との関わりの中にある

新しい事業を考えたり、準備している時はワクワクして楽しいもの。しかし、ワクワクだけではやり切れない仕事もたくさんあります。そんな時、皆さんはどう乗り越えているのでしょうか。

数馬:一つ心がけているのは、ワクワクしない仕事は自分でしないようにしています。それが得意な人が社内にいるのであれば「任せる」し、社外にいるなら社外に「任せる」という形で、あまり自分で持たないようにしています。

平:ブルーベリーを摘んでいる時も選別している時も出荷する時も、これを届ける人を想像しながら、この人のために摘もう、この人のために届けようみたいなのがあって、それはすごい緊張感なんですよ。その緊張感がワクワクにつながっているのかなと思っています。

稲田:緊張感のあるワクワクって、ある程度縛りがあった中でやっていく楽しさがありますね。経営もある程度の緊張感をもちながらやっていくだろうし、事業も失敗するかもしれないけれどそれが行動の源泉だったりする。一方的にポジティブなことよりも、ちゃんとネガティブがあった上でどう楽しむかという話になってくるんだろうなと思います。

画像6

最後は当アカデミー運営スタッフも登場して、直前に迫った8/8の締切を前に、視聴者へ最後のメッセージを一言ずつ伝えて終了しました。

8月26日より「能登ローカルシフトアカデミー」がスタート。3カ月間にわたり5回のオンライン講座と能登町で1泊2日のフィールドワークを行い、12月にはビジネスプラン発表会を開催予定。
各回の内容は随時こちらのnoteにて報告していきますので、どうぞお楽しみに!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?