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悲撃のヒロイン症候群に見るアイドルとYoutubeの在り方を再考したい

Twitter、インスタ、Tiktok………etc、今のアイドルは色々なSNSに囲まれて生きている。48系の新進気鋭のSNS仕事に付き合わされるのは本当に可哀想だとすら思うのだが、"悲撃のヒロイン症候群"というアイドルグループはご存知だろうか。

デビューから半年、新宿BLAZEでの初ライブに800人越え、5ヶ月で渋谷O-EASTで1300人の動員を起こし、女性ファンの多さが話題となっている。コンセプトは、いわゆる病みかわ系のアイドルなのだが、エモい楽曲とメンバーの徹底した自己表現で、そういうジャンルに憧れてる子を中心に注目を集めているように感じる。


【このグループの何が凄いのか】

さて、アイドルとSNSの在り方について、このグループを取り上げたのには理由がある。Youtubeのチャンネルなのだが、悲撃のヒロイン症候群の公式チャンネルとは別に、メンバー2組の個別チャンネルが存在しているのだ。

実は、初めて見たのは、グループとしての活動を見る前にYoutube再生中にサムネイルを開いてなんとなく個別チャンネルの方を見たのが始まりだった。後に自分の推しがゴリゴリに悲撃のヒロイン症候群のファンで、Twitterの○○さんがいいねしましたで流れてくるわけだが………

では、Youtubeのチャンネル登録数の状況について見てみたい。

・悲撃のヒロイン症候群公式 3.2万人

・叶と姫乃 10万人

・夜めあ連合 1.9万人

そう、ご覧頂いたように、なんと公式よりも「叶と姫乃」のチャンネルの方が登録者数が多いのである。一方、同じメンバーの「夜めあ連合」は公式よりも少ない登録者数に留まっている。


【何故登録者数が伸びている?】

では、何故、「叶と姫乃」のチャンネルは伸びているのか。チャンネル作成が昨年9月、土曜日週1更新で現在45本の動画を公開。ほぼこのペースを守りつつ、多い時には週2の更新も行うことがある。

まず、”定期的な更新を続ける”というのは、鉄則と言われている。トップYoutuberであれば、毎日更新をしている人も少なくないが週1でも保つのはなかなか大変だ。

次にその内容である。"価値のある投稿をする"のが登録者を増やす手段と言われているが、知名度がない状態でそれをしても反響が少ない。しかし、ここでいう価値というのは、他にやっている人がいないニッチな動画もその中に入ってくる。

彼女達が今まで投稿してきた動画の内容はこういうものだ。

・ピアス動画

・メイク動画

・カメラアプリ加工動画

・デート動画

最初のピアス動画が非常に目の付けどころが良かった。ピアス動画は再生回数の多いトップYoutuberでも何組かやっているが、他にやっているYoutuberはあまり多くはない。つまり、"関連動画として表示されやすい"状況にあった。

かつ、耳へのピアッシングではなく、リストピアスやフィンガーピアスという特殊なピアッシングだったため、"サムネイルが表示された時の注目度が高い"、思わず再生してしまうという現象が起きた。

サムネイルの効果というのはトップYoutuberですら日々研究をしているもので、文字の入れ方、文言などその時のトレンドなどを踏まえながら更新されている。関連動画として表示されてもサムネイルを見る一瞬で、それが価値のある動画かを判断されるというシビアなものになるからだ。

その点、叶と姫乃の場合、病みかわと言っても、叶は青髪ボブの強め系、姫乃は姫カット黒髪ロングという対照的な組み合わせで、サムネイルで見た時のインパクトがまず強い。メイク動画もこういう方向性を好きな人達、"ニッチな需要"をきっちりと捉えた価値のある投稿といえる。

投稿している動画は、ほぼ全て10万再生を越えているが、リストピアス、毎日メイクで80万再生を突破している。再生数で比較するなら、26時のマスカレイドのハートサングラスMVの再生数とほぼ同じものを何本も持っている上に登録者数では、ニジマス公式の3倍近い人数、というわけだ。

 

【SNS時代は"個"の時代】

他のグループアイドルを見てみると、公式チャンネルの中でメンバーが他のことを様々行っているのを見るが、Youtubeでの戦略として再生数やチャンネル登録者数を伸ばしたいという風には見えない。

いや、当然、ライブの動員数とかグッズの売上げの方が分かりやすく数字になるわけで、労力のかかる動画制作なんてしたところで影響力が……という声はあるだろう。

だが、以前話したように信用が重要になっていく時代というのは、まず信用というのは人、個人についていくということを忘れてはいけない。

そして、SNSにおける情報の伝搬というのは、メディア時代とは異なるということを理解しなければいけない。

アイドルグループというのは他のグループとの差異はあれど、個人ではない。かつ、この二人の対照さ、情報の価値などが積み重なったことで、数字になっているのである。

 

【コメント欄には意外と素直な意見がある】

Youtuberとしてものすごいスピードで登録者数を伸ばしたカジサックが全てのコメント欄をチェックしていると言っていたが、Youtubeのコメント欄というのはその他のリプライに比べても、気軽にコメントが出来る環境にあると思う。

確かにその影響で無責任なコメントというのも多いのだが、裏を返せば、忌憚の無い素直な意見とも言えるだろう。そして、これは自分達が投稿した動画だけでなく、他の投稿者の動画でもどんなリアクションが起きているのか、それが肯定的なのか否定的なのか、何が求められているのかということを拾うことが出来る。

例えば、悲撃のヒロイン症候群の公式で上げられてる動画に対するコメントでよく見るのが、歌とMIXに対するコメントである。10年前ならいざ知らず、今、歌ってみたなどの影響でMIX作業がどのように行われ、どのように加工されているのかは誰もが知るところとなった。

少なからず、同じプラットフォームの上で出されるもので、良いか悪いかという判断基準を出された時に満たされていないのであれば、こういう声があるだろう。(そういうアマチュアMIX師のおかげで価格破壊が起きてしまっているような気がするのはあれだし、CD完パケした時まで耐えれるのかという疑問はあれど、インディーズやロコドルの子の音源はどういうつもりでMIXしたのか分からん代物あるよね)

歌に対するコメントも期待の表れと言える。逆に公式Youtubeのコンテンツとして、ボイトレをする様を1週間ごとに出していけばそれはメンバーの成長の物語を描くことが出来る。あるいは、=LOVEのようにメンバー個人にスポットを当ててドキュメンタリー風に描くのだって1つの方法だ。

 

 

SNSは数多あるが、Youtubeというのは上手く使えば、「アイドル」という枠組みを飛び越えて繋がる事の出来るツールである。10代の場合、およそ半数以上が1日1時間以上、平均80分の動画視聴を行っていると言われている。彼等の手にするスマホが占有するタイムラインの中にどう割り込んでいくのか、そのための作戦はもっと重要視されるべきではないだろうか。


個人的には、姫乃ちゃんが実は背高いのが好きです。

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