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高山善廣支援大会『TAKAYAMANIA EMPIRE2』を必ずチェックすべき理由

"帝王"高山善廣を支援する大会8.26『TAKAYAMANIA EMPIRE2』のAbemmaTV生放送が決定した。この興行はもし最近プロレスをあまり見れていない、新日本以外はあまり知らない人は是非チェックしてほしいのだ。何せ、あの鈴木ですら、「こいつ無茶苦茶言いやがる」と頭を悩ませたような高山のアイデアが詰め込まれたわがまま放題のカードだからである。

高山が怪我をしたと聞いた時、やってしまったか、という気持ちでいっぱいになった。この数年、動くのも大変そうな試合ぶりを見てると、いつかこんな日が来てしまうのではないかと覚悟をしてた。嫌な予想は的中することになる。

ただ帝王は生きた。今週のインタビューでもまっすぐの姿勢で飯を食べて、ゲップが出た。そして、WWEネットワークで好きなだけ、古いアメリカンプロレスを見てるプロレス大好きな男が好き放題しているのだ。その気持ちに応えれない選手は、ここに名前が挙がらないのだ。

 

第1試合 超スペシャル6人タッグ

男色ディーノ、高木三四郎、ストーカー市川 vs アントーニオ本多、アントニオ小猪木、アントン川村

一見して、DDT中心のお笑いメンバーかと思いきや、本物のお笑いアントニオ小猪木が混ぜられてるという難解な試合が組まれた。果たして小猪木はリングという名のジャングルから生きて帰って来れるのだろうか。


第2試合 センダイガールズ提供試合

里村明衣子、橋本千紘 vs 松本浩代、DASH・チサコ

TAKAYAMANIAには欠かせない仙女の面々だが、ここに松本浩代の名前が。前日にはOZアカデミー横浜文体でダブルタイトルマッチ有刺鉄線電流爆破バットデスマッチで王座戦を行う人間が翌日には、"横綱"里村と"エース"橋本との真っ向勝負。男子以上のパワーファイトに目を見張ることになる。

 

第3試合 井上雅央 試練の高山善廣 指名試合

井上雅央 vs 関本大介

高山がしきりに雅央先輩は全日本プロレス仕込みだぞ!関本はあんなスタイルに遭遇したことないだろと言っていたが、大日には何人か同じ系統の選手が浮かぶし、何ならグレート子鹿の血統と考えるとNWAスタイルから全日を通ってきたわけで、関本は孫弟子のようなものである。一体雅央先輩は何分耐える事が出来るだろう。

 

第4試合 邪道 vs 野獣

大仁田厚、樋口和貞、大家健 vs 藤田和之、NOSAWA、FUJITA

ケンドー・カシンさん見ていますか、大仁田と藤田が絡みますよ。完全に高山の趣味が滲み出ているカードである。"邪道"大仁田と"野獣"藤田という時代も世代も育ちも歩みも全く異なる危険な生き物を混ぜたら、どうなるのか。今やIGFからもはぐれた藤田がどんな暴れ方をするのか。

横に控える樋口は角界上がりの巨漢レスラー、藤田に傷を残したいところ。大家は新たな"涙のカリスマ"として大仁田の期待に応えれるか。藤田につく愚連隊の二人は百戦錬磨の曲者だらけ。この1試合じゃ到底終わらない予感。

 

スペシャルトークバトル

前田日明 vs 武藤敬司

あの旅館破壊事件の張本人がまたしても顔を合わせる。高山はまた喧嘩してくれないかなと言うが、色々と面倒なことが起きてしまう。人工関節に換装して再びリングに上がる武藤と、リングからは一歩引いている前田。どんなトークが飛び出すのか。

 

第5試合 新日本&ゼロワン交流戦

永田裕志、大谷晋二郎、辻陽太 vs 小島聡、高岩竜一、北村彰基

つい先日、ゼロワンで大谷が獣神サンダーライガーと絡んだのを皮切りに、今度は第三世代との遭遇。橋本の離脱と共に袂を分かつもののあの頃リングを躍動してた顔ぶれが揃う。なかなか新日内でチャンスが回ってこない第三世代だが、これが何かに繋がると、新たな何かが生まれそうだが。高山も永田はこういう時にはりきると評するだけに、はじけた永田さんが見れるか。


【ここから先が、今後のプロレス界に影響を与える可能性】

今回の興行で驚くべきはこのセミとメインのこの2つのカードである。全てを経験している高山じゃなければ、絶対にこんなカードが通る事は無い。新日本一強の印象が強い今の日本プロレス界だが、この遭遇が10年後、20年後におそらく大きな意味を持つ。そんなカードなのだ。 


第6試合 セミファイナル NOAH vs DDT

清宮海斗、原田大輔、宮脇純太 vs 竹下幸之介、上野勇希、渡瀬瑞基

若干23歳にしてGHC王者の清宮は先日、記事にした通り、所属するNOAHのシングルリーグ戦N-1 VICTORYの参加を辞めた。

運営会社が変更になり、新生NOAHとしての初めてのシングルリーグ戦の不参加に対し、他選手からは非難の声も出たが清宮ははっきりと「全員が敵です」と言いのけた。その上、この試合である。

高山も清宮の若さ、資質を高く買っており、今ベルトを巻いている人間が10年キャリアを重ねた時にどんな進化をしているかを楽しみにしているようだ。そんな清宮に用意したのが、DDTの絶対エース竹下だ。

飯伏、ケニーが去った後、DDTの限界を引き上げ続ける若きエースは現在24歳、キャリア7年。21歳にしてKO-D無差別級王座を巻き、DDTのあらゆるスタイルに対応してみせる王である。

他団体の経験が極めて少ない清宮が、高山が知る限り最もプロレス界の頂きをその目に入れている男、竹下に対して、GHC王者の名に恥じない戦いを見せることが出来るのか。竹下は受けの強さを武器にする新世代のNOAHの顔を苦痛に歪ませることが出来るのか。それぞれの団体の威信とプロレス界の未来を賭けた遭遇となる。

 

第7試合 メインイベント

鈴木みのる、鈴木秀樹 vs 丸藤正道、田中将斗

この試合は、様々な蘊蓄が必要な試合だ。まず新日本プロレスの神であるカール・ゴッチはヨーロッパレスリングの主体であるキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの使い手である。これに影響を受けた前田日明や藤原喜明、船木、高田、鈴木みのるが新日本を離れ、UWFという団体を設立する。この流れは脈々と続き、日本における総合格闘技の夜明けへと繋がる。

鈴木みのるは藤原喜明の起こした藤原組でカール・ゴッチに遭遇、その後、アメリカに住むゴッチを尋ね、徹底的にグラウンドの技術を磨いた。鈴木の強さ、シンプルな技の全てはキャッチレスリングが根底にあり、これが現代のキャッチレスラーであるザックセイバーJrとの繋がりでもある。

タッグを組む"マット界随一の偏屈者"鈴木秀樹も、源流は同じだ。彼が手解きを受けたU.W.F.スネークピットジャパンでコーチをしたビル・ロビンソンは、イギリス・ウィガンにあるビリー・ライレー・ジムの出身である。ここがキャッチレスリングの本流であり、ゴッチもここで学んだ。

日本人のプロレスラーで、最も色濃くキャッチレスリングを受け継いでる2人がタッグを組むのである。2014年1度タッグで衝突しているが、みのるが「シングルでもいい、世界中回って、後ろ側に高円寺とイギリスが見えたのはアイツだけだ」と語っている。(高円寺はU.W.F.スネークピットジャパンがある)

対する丸藤は全日本からNOAHの流れを組む第一人者であり、鈴木みのるとは何度も戦い、組んだこともある。鈴木秀樹とは5月にタッグで一度対戦しており、その後のNOAH継続参戦に繋がった。

"弾丸戦士"田中将斗は今、ゼロワン所属だが、元々の出身は大仁田厚のFMWである。大仁田も元はといえば全日本出身であり、高山の中では全日はアメリカンプロレスの文脈なのだ。田中はECWに渡り、日本人で唯一ECW世界ヘビー級王座を戴冠している。その衰え知らずの体力と頑丈さがどこまで火を噴くのか。みのるとはNOAHのタッグ戦で当たっただけ、互いに新日に同じ時期に参戦もしていたがシングルで当たっていない。秀樹とはゼロワンの世界ヘビー級王座をかけて3年前に対戦し、破れたものの真っ向勝負をしてみせた。

それぞれ歩いてきた道は違うものの重なり合った道が交錯するメインとなっている。さらにこの開催日8.26というのは、40年前「プロレス夢のオールスター戦」でジャイアント馬場とアントニオ猪木が組むBI砲が結成された特別な日。高山はこの日が空いてると知ると、ここしかないとすぐに決めたという。真夏の夜の夢、もし良ければ、この一戦是非見てほしい。

 

個人的に思うところがあるとすれば、N-1 VICTORY開催中だけど、ここに名前が出てこない潮崎は今後どうしたいのかなぁ、と思うところ。



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