見出し画像

10.10 AEW Dyanamite -ペイジの前に好敵手襲来!ケニーと有刺鉄線ホウキ!

これは余りにも壮大で、強大なものを見ているのかもしれない。NXTのアスリート性とRAWのストーリー性を掛け合わせたレベルの新たな存在がここに存在している、と言っても過言ではない。(SMACKDOWNは本来その両方を持ち合わせたカラーだったはずなのに、どうしてこうなったのかという思いを含め)

Dynamiteの第二回が放送され、2時間に及ぶ放送で様々なことが起きたわけだが、トピックごとに追っていこう。

【波乱!!ヤングバックス破れる】

ついに始まった初代タッグ王者を決定するタッグトーナメント。前回記事で紹介したようにAEWに集まったタッグチームはとにかくアスリート性に富みつつ、それぞれの個性が際立ったチームが集まったのが分かる。

ヤングバックスやルチャ・ブラザーズ、ベストフレンズのような日本でも名前を知られてるコンビだけでなく、まだ若手や注目を集めてるコンビも一目見ただけですごく華がある。中でもプライベート・パーティーはその名の通り、明るくてハッピーで派手な雰囲気が特徴的だ。

初戦、いきなりのヤングバックス戦。両者の目紛しい攻防、空中戦を織りまぜながら、タッグならではのコンビネーションなどもお互いに出し合いながら、ギリギリのところで阻止をするなど非常に白熱した攻防から一瞬の丸め込みで勝利を奪うと、プライベート・パーティーの二人は会場内を練り歩いて、この大勝利を観客と共に味わった。

まだトーナメントの第一試合だというのに、やはり世界一のタッグ屋と言えるヤングバックスに勝つことの重みを観客も共有しているだけに、会場は興奮の渦に。

【挑戦権は誰の手に?】

先日の記事でも書いたが、ジェリコの持つAEW王座への挑戦権をかけたナンバーワンコンテンダーマッチが行われ、ジミー・ハボックとダビー・エレンが衝突。同じくペイントをし、ダークな雰囲気のヒーローという二人だが、まだ若いダビーに対し、ハボックはキャリア15年、イギリス出身でデビュー前はザックセイバーJrと共に学び、オスプレイともプログレス時代にはスポットを奪い合ったこともあるが、ヨーロッパ、アメリカのハードコア戦線を支える第一人者でもある。

試合はハボックのラフで凶悪なスタイルが随所に牙を剥きながらも、ダビーがスピードとテクニックで切り抜けていくという非常に分かりやすく、ドキドキする展開に。

特に開始すぐにハボックが出したリング内からぶっこ抜きで、エプロンを超して場外に投げ捨てる断崖式ブレーンバスターのあまりにも雑で危険な捨て身技はかつての全日をも上回るキチガイぶりに戦慄を覚える。

薄氷を踏むような勝利を掴んだのはダビー。元プロスケートボーダーからのレスラー転向という異色のキャリア、さらにまだたったの4年というキャリアでレジェンド、クリス・ジェリコとの対戦を掴んだのです。

【赤の女王、元WWEに食らいつく】

AEW女子王者里歩の前に別れたはずの師匠さくらえみ、突然の襲来という話題で取り上げたはずの試合だが、この試合の中心になったのはワールド・オブ・スターダム王者ビー・プレストリーだった。

オスプレイの彼女としてもよく知られる彼女だが、目の前に立つ里歩のパートナー元WWEのブリット・ベイカーを執拗に挑発。さくらにタッチを受けるも里歩を放置して場外でベイカーとやり合うなど白熱した模様。試合には敗れるもその後も殴り掛かるなど遺恨を感じさせる。

オスプレイと共に日本に移住をしたビーだが、スターダムでの活躍だけでなくAEWでもポジションを掴みに行きたいところ、同じくスターダムで戦う里歩とのマッチメイクや東京女子勢との対戦など日本国内では出来ないカードももっと見れるような気がする。

さらにここに志田が加われば、非常に激しい試合が間違いないだろう。志田は自主興行に関するインタビューで、AEWでもタッグを組むなら朱里がいい、と発言していることから、もしかすると元UFCファイターの朱里が今度はレスラーとしてアメリカのリングに上がるという展開もありえなくはない。

【ザ・クリーナー、有刺鉄線ホウキを持って登場】

ショーン・スピアーズvsジョン・モクスリーという元WWE対決。スピアーズはCodyを椅子で殴り、互いの血統をかけた大試合をしてみせたが、WWEでのランクという意味ではモクスリーの方が上。しかし、スピアーズはオリジナル4ホースメンである父トニー・ブランチャードを帯同し、試合でも絶妙な介入を繰り返した。

しかし、そこに不気味な影を落としたのは試合開始直前、実況席にやってきたPAC。彼も元WWEでありながら、205LIVEというクルーザー級の放送に繰り返し出場しており、ハイフライヤーとして世界一の実力を評価しない全てのものへ鬱屈した恨みを抱えている。席に座るや、ハボックとエレンのナンバーワンコンテンダーマッチへの不満をぶちまけ、何故俺じゃないんだと煽る始末。

実際、AEW開始直後、ケニーとの一戦が決定していたものの流れた理由は、当時ドラゴンゲートの王者だったPACが勝敗に関して難色を示したと言われており、この虚実入り交じった危なさが今のPACのスタンスを現しているとも言える。

モクスリーが介入に悩まされながらもなんとか勝利した直後、前回の放送でヤングバックスとの試合中に襲撃されガラステーブルが粉々になるほど叩き付けられたケニーが、エントランスから有刺鉄線ホウキと有刺鉄線バットを抱えて登場。

かつての名”ザ・クリーナー”を彷彿とさせるホウキというアイテムに会場は大興奮。怒り心頭の表情で向かってくるモクスリーの足下に有刺鉄線バットを投げ渡すや、両者がいきなり構え、すぐにでも始まるかと思われたところでなんとPACがケニーに後ろから殴りかかる。PACもケニーとはシングルで対戦しているものの、まだまだやり足りないというところか。

頭を抱えうずくまるケニーを前に、モクスリーはバットを振り上げPACを排除。ケニーに襲いかかることなく有刺鉄線バットをその場に投げ捨て帰って行った。

この三者三様の睨み合い、一体、どのような形になるのか。

【"インナーサークル"始動、ジェリコが凄過ぎる】

放送中に先週のメイン後,ジェリコの元に集まったLAX、サミー・ゲバラ、ヘイガーの紹介をし、インナーサークルというユニット名を告げたのだが、この時のジェリコのプロモ、マイクがこの人の圧倒的な価値を見せつけた。

FITE TVのチャットでも今年のNo1プロモだという声もあったが、1人1人がどれだけ優れたレスラーかを紹介していく流れで、LAXの紹介の流れで"Viva la raza"という単語を入れ盟友エディを浮かばせたり、ヘイガーがMMAに挑戦している事に触れ、今週のRAWで話題になったレスナーvsベラスケスの一戦を牽制するなど、全方位に印象づける非常に良いマイクだった。

ゲバラと組んで、ダスティンとハングマン・ペイジとのメインに挑んだジェリコだが、帯同したヘイガーも絶妙なタイミングで介入。試合を勝利で納めるやリング上のダスティンを全員でタコ殴りに。

【ペイジに好敵手!さらにインナーサークルvsThe ELITE加速】

これを救出しようとリングに入ったペイジだが、実はペイジには1つの疑惑があった。

先週更新されたBeing The ELITEで先週放送時、救出にこなかったペイジをヤングバックスが叱責するシーンがあった。早々に出て行ってしまうヤングバックスにうろたえるペイジだったが、痛む体を堪え顔をしかめるダスティンにも詫びたのだが、この叱責をきっかけにペイジがThe ELITEから離れてしまうのではないかという憶測があったのだ。

しかし、ペイジはインナーサークルに殴りかかる!だが、ヘイガーがこれを押し出し、バックステージにもつれていった。The ELITEとしてペイジを次の世代の業界のエースにしたいという事は常々言っているが、元WWEで屈強な体、レスリングテクニック、MMAテクニックを兼備えたヘイガーと真っ向から衝突するとなれば、ペイジの持つ身体性、才能が一気に開花する可能性もある。この一戦はAEWだけでなく、今後のプロレス界に長く影響をする顔合わせになる可能性がある。

さらに、ダスティンを救出するためにCodyも滑り込んでくるが、やられてしまう。このピンチに駆け込んできたのはMJF。WWEを離れ、インディを渡り歩く中でCodyとは仲をどんどん深めてきたMJFだが、彼は生粋のヒールレスラーとして知られてきた。椅子を手にしたMJFを前に、観客も皆、Codyを裏切るんじゃないかという一瞬の疑念を感じるも、MJFはインナーサークルの面々をブン殴り、完全なベビーターン。これに観客はまるで爆発するような大歓声で迎え入れる。

LAXとヤングバックスまで乱入し、The ELITEがリングを奪い返すと、AEWのベルトを掲げて憎々しげに悪態をつきながら去ろうとするジェリコの背後から、トレードマークのスケートボードに乗ったダビー・エレンが襲いかかり、ジェリコをスケートボードで殴打!!来週、ジェリコと対戦を決めた若き挑戦者がリングに入り、後ろをThe ELITEの面々が固める新たなAEWの局面を感じさせた。

 

非常にオーソドックスなストーリーラインではあるが、ジェリコ、ダスティン、ゴールダストのようなベテランとゲバラ、ダビー、プライベートパーティーのような才能溢れる若手の組み合わせを織りまぜることで、今までに無い優れた空気というのを感じる。

ただこのワクワク感はNWA・TNAの時も同じように感じていた気がする。結果的にベテランの比重が高まったり、親会社やテレビ局の意向が入ったことで方向にブレが生じたというのが大きな要因になり、彼等は訴求力を失っていった。

かつてのTNAの顔とも言えるAJスタイルズがいまやRAWのトップロスターなのは驚きだが、AEWはこの熱をどこまで持続出来るのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?