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Case10.志免町給水拒否事件〈最判平11.1.21〉

POINT🎯
行政が給水契約を拒否することは許されるのか?


私たちの生活に欠かせない水。
その品質管理や供給の安定性を守ることはとても重要です。
主として、この責務は地方自治体にありますが、人口の集中に伴う需要の増加を理由に、行政が給水を拒否することは許されるのでしょうか。

福岡県志免町(しめまち)では、人口の過密化が急激に進み、認可された水源だけでは需要に応えきれなくなり、供給が不安定になりました。
その後も、さらなる人口増加とそれに伴う将来の深刻な水不足が予測されていたため、町は新たに申請された分譲マンション420戸分の給水契約を拒否しました。
この拒否理由が、水道法第15条第1項に定める「正当の理由」に当たるかどうかが争われたのがこの事件です。

裁判所は初めに、水道の給水はすべての国民に等しく、公正に提供されるべき基本的な公共サービスであるという原則を示しました。
その上で、公共の利益と個々の権利とが衝突する場合、社会全体の持続可能性を守るために、時には厳しい選択が必要であると判断しました。
その結果、この契約拒否は水道法第15条第1項に定める「正当の理由」に該当し、行政の判断は適法であると結論付けられました。

私たちは、限られた資源を将来にわたって持続的に利用するために、常に合理的な節約や管理が求められているのです。

©2024 written by ChatGPT-4


📝雑記①
志免町役場の上下水道課には、水源開発の歴史を綴るパネルやデザインマンホール蓋が展示されていました。

パネル1:水源確保の課題は高度経済成長期に遡る
パネル2:海水の淡水化やダム建設など大規模な取組みも行われてきた
志免町のデザインマンホール蓋:桜と旧炭鉱施設がモチーフとなっている

📝雑記②
かつて日本唯一の国営炭鉱である「糟屋炭鉱」を擁していた志免町は、多くの労働者たちで賑わい、地域経済の中心的な役割を担っていました。
その象徴として欠かせないのが、「旧志免鉱業所竪坑櫓(たてこうやぐら)」です。
竪坑櫓とは、炭鉱労働者たちを地下深くへと送り、また採掘した石炭を地上へ引き上げるために使われた設備の一つで、糟屋炭鉱跡地とともに産業遺産として保存されています。

旧志免鉱業所竪坑櫓

📝雑記③
2019年、志免町にあるアパートの受水槽に無断で入り、中で泳ぐ様子の動画が、SNSで話題になりました。(詳細は「受水槽で泳ぐ」などで検索)
この行為は、先人たちの努力によって発展を遂げたこの町の歴史を踏みにじるもので、まったくけしからん事件だと思います😤


〈備忘録〉


◆この「判例地探訪録」は、ChatGPTに有名判例の概略を平易な表現で解説してもらい、現地を訪れた記録とともに紹介するシリーズです。
◆この判決の詳細については、下のリンクから確認することができます。
🔗 裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan